あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

「隣の家族は青く見える」を兎にも角にもオススメしたい

私事だが約一ヶ月半のニート生活を終え、2月から再び働き始めた。その前まで不定休だったのが数年ぶりに土日休みのフルタイムで働くことになり、多くの人が感じる金曜夜の高揚感や、サザエさんが齎す焦燥感が分かるようになった。しかし、そんな私が一週間で一番楽しみにしているのは、金曜の夜でも土曜日でもない。ましてやサザエがやってくる日曜日でもなく、それは木曜日。「隣の家族は青く見える」が放送している木曜の夜だ。

 

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今回の#となかぞ(長いので略)は私のTL上では見ている方が非常に多く、毎回トレンドにも上がるのだがハチャメチャに視聴率が悪い。前作のゆがみより悪い。恐らく私みたいに録画勢やTVer等で視聴している方が多いのかもしれないが、も、もしかしたらこんな素晴らしい作品をご存知ない方もいるのかもしれない…!!と思い、今回に至った。
私がオススメした友人の3人のうち2人がどハマりしているので(母数が少ないのはさておき)未視聴の方には是非見ていただきたい。


まず脚本を担当されている中谷まゆみさんについてお話ししたい。


中谷さんと言えば、前作は私の大好きな石原さとみ主演の『地味にスゴイ!校閲ガール』で、かつての『WATER BOYS』シリーズを手がけていた御方だ。中谷さんはフジテレビ木曜22時枠に非常に縁がある方で、柴門ふみ氏原作の「お仕事です!」や同じくさとみ主演の「ディアシスター」そして…あの「ラストシンデレラ」も中谷さん脚本である。あのラストシンデレラ、私が再放送含め2度沼った不朽の名作、あの、ラストシンデレラだ。

 

中谷さんの脚本はテンポが良く、嫌な複雑さがない。内容はストレートなのに、じわじわと心に来るような台詞が多い。登場人物が複数いてもオムニバス小説のように各々のキャラクターを立たせ、それを一つの話に上手に織り混ぜることが出来る。
#となかぞってどんなドラマ?と聞かれると「妊活の話」と言うだろうが、妊活は今作が掲げるテーマの内の一つ。コーボラティブハウスという集合住宅を舞台にした「4組の家族の物語」なのである。


メインは深キョンと松ケンが演じる「五十嵐奈々・大器」夫妻。
深キョン×松ケン夫婦といえば、大河ドラマ平清盛」以来2度目の夫婦役。実年齢と同じく、奈々(35歳)大器(32歳)の姉さん女房だ。スキューバーダイビングインストラクターをしている奈々に大器が一目惚れし、結婚。マイホーム購入をきっかけに子作りを始めてみると一年以上経っても出来やしない。不安に思った奈々は大器と共に産婦人科に向かうが、早々に医師から「不妊症」と告げられてしまう。奈々と大器は戸惑いつつも悩んだ末に妊活を始めるところから、物語は始まる。

 

深キョンは何を演じても可愛いが、今作の奈々は凄まじく可愛い。女優といえば私は石原さとみが大好きなのだが、心のノートの「来世に生まれ変わりたい有名人」のところに石原さとみと同じく深田恭子と書こうと決めたくらい可愛い。深キョンと同年代や近い歳で活躍されている女優さんは沢山いるが、深田キョンだからこそ出来た、今となっては深田恭子無しには考えられないベストキャスティングだと思う。

 

 そして同じくどハマりしているのが大器役の松ケン。松ケン演じる大器も松ケン自身が持っているのであろう人柄の良さが溢れているというか、もう駄々洩れしている。
初回こそ数々の検査に戸惑い無神経な発言もしていたが、回を増すごと妊活への理解を深め、良い旦那っぷりが炸裂しているのだ。大器の半分は、というかほとんどは奈々への愛で構築されている。

 




私も毎回この類のツイートをしていて、恐らくドラマの最終回では「日本中皆んな松ケンがいい」と言いだすんじゃないかと自分でも思うし、もう言う。日本中皆んな松ケンでいい。松ケンがいい! 
アンチヒーローや何かと問題を抱えた主人公が登場する作品が増えている中、#となかぞの奈々・大器夫妻は好感度抜群で思わず応援したくなる二人。毎週自分の事のように幸せを願わずにはいられない夫婦なのである。

 

しかし一口に「妊活」と言っても、二人が置かれている環境は中々酷なもの。
子供がいないのにも関わらず、大器がおもちゃメーカー勤務の為に部屋にはおもちゃが沢山あるし、大器の妹の琴音はできちゃった結婚。勿論妊活していることを周りにも言えず、高畑淳子さん演じる大器の母には「あんた達の子供が早く見たいわぁ~」と言われ、まさに困難の役満状態だ。
他の面々はというと、平山浩行×高橋メアリージュンの「子どもがいらない事実婚カップル」や眞島秀和×北村匠海の「同性カップル」、そして小宮山一家がいる。言うまでもなく、私が沼った原因はわたさくと言われる同性カップルだ。沼の原因なので少し触れておく。

 

正確に言うと、朔を演じる北村匠海くんに沼った。詳細は割愛するが#となかぞ放送前に見た『勝手にふるえてろ』で沼が見え、一話で見事に沈み、気が付いたらDISH//のCDを購入していた。お相手の眞島さんは、私の中では「残念なイケメンばかり演じるイケメン」という印象でやっと普通の人の役がきたのか…!と素直に嬉しかった。放送済みの6話では仄かにマザコンの香りがするし間違いなくマザコンだが今作の眞島さんは普通にいい人そうなので安心している。

 

公式が呼ぶ「わたさく」とは、舞台となったコーポラティブハウス建築士・渉と、バー店員・朔の男性同士カップルのこと。ここもオサレ事実婚カップルと同様、当人達が幸せそうだから問題ないと思っていたが、中々大変なことになっている。

ナイスバディで且つ「得意料理は肉じゃが」と宣言した橋本マナミが二人の仲を引き裂こうとしたり、渉の母が早く結婚しろと詰め寄ったり、セクシュアリティに対する各々の見解の違いで本人たちも度々衝突する。当事者でないとわからないことだろうが、このセクシュアリティに対する考えの不一致はかなり致命的な問題だ。保守的な渉に対して今時な考えの朔。対称的な二人だが、朔の物怖じしない本質を真っすぐに捉えた発言は渉じゃなくとも心に響く。
放送済みの第六話で「事実婚だと思えばいいじゃない」と言ったちひろに対して、「好きで事実婚を選ぶのと、事実婚しか選べないのは違うんだよ」と返した朔の言葉には考えさせられた。
誰に対してもフラットな世界のように見えて決してそうではないのが世の中。今期では『女子的生活』や今期一番の摩訶不思議ドラマ『明日の君がもっと好き』でもLGBTのことを取り扱っており、昔のようにタブー視されることは減った。しかし、彼らが住みやすい世界なのかと言われるとそうとも言い難い。今の時代、まだまだ不条理な世の中で彼らがどういった未来を選んでいくのだろう。いろんな意味で目が離せない二人だ。

さらっと言ったが最後の小宮山一家が相当根が深い。商社マンの夫と綺麗な妻、可愛い子供…が表の顔。実は夫は求職中で妻は承認欲求の為にインスタに奮闘しているという非常に強烈な家庭だ。先ほど「友達3人にすすめたら2人ハマった」と言ったが、一人が初回リタイアした原因がここ。小宮山さん家の強烈すぎる奥様だ。

TLでは必ずと言っていいほど悪い意味で小宮山さんの名前があがる。インスタ大好きおばさんだけならまだしも、彼女には相当古風な価値観が根付いており、それを他人に押し付けるのだ。

「女は子供も産むのが普通」「同性カップルなんて子供に良くない」と腹の中で思うならまだしもまだしも、本人達にいってしまうのだから相当タチが悪い。
友達には「必ずスカッとジャパンされる日がくると思うのでその日までしばし耐えてくれよ」といったが、小宮山さんも中々ハートが強い為に何を言われてもめげずにゴーイングマイウェイしている真っ只中。

 

そんな強烈すぎる小宮山さんを演じているのは元宝塚のトップスター・真飛聖さん。私は真飛さんが大好きだ。あんなに御上品な御顔立ちなのに中々下世話な役まで演じられてしまうのだから、本当に素晴らしい女優さんなのだ。皆の敵・小宮山さんだが、彼女は視聴者への反面教師の材料として作られたようなキャラクターだと思う。小宮山さんのようになっちゃいけないと意識させてくれるし、全視聴者の怒りやイライラを全て小宮山さんが背負ってくれている。個人的には、ドラマにおいていなくてはならない人物だと思うし、真飛さんは素晴らしいのでそんなに嫌わないであげてほしい。


ちなみに小宮山さん家の小宮山さん、つまり旦那さんを演じているのは野間口徹さんだ。野間口さんが出ているだけで面白いし、とても癒される。しかし海外勤務が多く子供達の側にいたいから早期退職したというのは分かるが、6話の時点で仕事が決まっていないというのはどうなんだ。しかも次はボランティアの塾講師になりたいとか、本当にそれはどうなんだ…!小宮山さんが良いところに再就職できたら問題は解決するのかと思うが、そう簡単にはいかないし、多分まだ就職できない。


小宮山家は「他人からは幸せそうに見えるごく一般的な家庭でも決してそうではない」ということを暗示させている。そしてそれが、ヒリヒリと痛いほどに伝わる。どうしたら小宮山家の皆んなが幸せになれるのかは検討がつかないが、とりあえず早く、一刻も早く、小宮山さんには就職していただきたい。

 

個性的な面々にキャストも最高、そして脚本も最高。初回を見ていた時、ハチャメチャに面白い作品だと思った。しかし時々入る性教育ビデオのような内容が、この作品の熱をふと冷ますように感じていた。

何かと言うと須賀健太くん演じる大器の部下だ。「主任、〇〇って知ってます?」と切り出し、必ずと言って良いほど性教育知識を披露する。こんなに詳しいやついるのかよ!と思っていた。

 

しかし回が進んでいくと、自分が不妊症や妊活について実は何も知らないことがわかってきた。あんなに沢山の検査をすること、副作用が出る薬を飲まなくてはいけないこと、助成金の条件に年齢制限があること。その時に思った。この作品もまた、世の中に知らせる為に、啓発の為に作られたのだと。そしてこれも思った。 須賀健太くん、余計なやつだと思ってごめんと。君はいるべき存在だったんだ…!

 

渉が同性愛者だということが判明した際に、奈々は「知らないことを知ろうとせずに批判だけするなんて最低」とプンスコ怒り、須賀健太くん演じる部下は大器に「無知こそが、いらぬ偏見や差別を生むんです」と説いていた。女子的生活の時も感じた。私たちは何でも知っているようで、知らないことばかりだ。自分が体験していないこと、自分には当てはまらないことは知らない。知らない事は怖いことだ。だから自分と異なるものを見たら避けたり、排除したり、その対象を奇妙に思う。その何気ない行動がや考えが、誰かを傷つけてしまうこともあるかもしれない。自分だけは違うと思いながらも、心の中には小宮山さんの奥さんが棲みついてる可能性があるのだ。

 

 #となかぞは作品を通して「多様性の提案」をしている。コーポラティブハウスの人々のように、自分と異なる環境に置かれている人が私の近くにも、例えば私の隣の家にもいるかもしれない。ドラマとして勿論面白い作品だが、それだけではなく、作品を通して多くのことを教えてくれ、考える機会を与えてくれる。本当に本当にすんばらしい作品だということを、声を大にしてお伝えしたい。

 

ちなみに、この記事を書こうと思ったのが水曜日。anoneを見ながら書いていたが、ほぼほぼ内容は入ってこず、ひたすらこんなことばかり考えていた。

 

奈々と大器の所に早く赤ちゃんが来ますように。

 

となかぞの視聴率が上がりますように。

 

松ケンみたいな人が500000人くらい誕生して、私のところにも来ますように。

  

アラサー独身の身で人の家庭の幸せを願っている場合じゃないのは百も承知なのだが(しかもドラマの夫婦)、奈々と大器には1話でも早く幸せになってほしいと作品を見るたびに思う。

会社帰りにポツポツと文字を打つ。体は疲れているのに心が妙に弾んでいた。そうか。今日は、私が大好きな木曜日だからだ。

今期、一歩先を進んだドラマ「女子的生活」

NHK「バリバラ」という番組をご存知だろうか。
 
私の大好きなNHKのバラエティ「ねほりんぱほりん」も、民放では考えられない攻めた番組だと言われているが、この「バリバラ」もなかなか鋭利な角度で攻めている番組だ。「障がい者の為の情報バラエティー」というジャンルで、私もネットニュースなどでは目にすることはあったが、昨年初めて番組を見た。
 
その時は「LGBT温泉」という回だった。レズビアン、ゲイ、トランスジェンダー、そして男性の放送作家で温泉に入ろう、という内容である。番組のお言葉をそのまま拝借すると、これが何ともややこしい。参加したドラァグクイーンの方も「ぐったり」な、見ているこちらとしても非常にカオスな光景だった。これを話し出すとLGBT温泉で終わってしまうので、気になった方は是非検索ほしい。
 
というわけで今回は、「攻め」のNHKが生み出したドラマ「女子的生活」について。
 
 

NHK金曜22時「女子的生活」

 

主人公・小川みき(志尊淳)は、見た目は美しい女性だが元は男性、というトランスジェンダー。彼女はファストファッション会社に勤めており、「女子的生活」というブログを担当している。その題名通り、みき自身も#ハッシュタグをつけたくなるような、女の子らしいキラキラした生活を満喫していた。トランスジェンダーの友達とのルームシェアが解消した矢先、みきの部屋の目の前に現れたのは、高校の同級生・後藤(町田啓太)だった。「幹生」ではなく「みき」となった姿に驚くものの、行く当てがないので泊めてほしいと頼む後藤。最初は渋ったものの、根負けして部屋にいれるみき。こうして、みきと後藤の奇妙な共同生活が始まるのだった。
 
 
今作は、何といっても「戦うヒロイン」のみきの魅力が溢れまくっている。
その魅力がみきがLGBTだからあるものではなく、みきという人間だからこそのものだと、本編を見たらばっちり伝わることだろう。
 
 

主人公・「小川みき」

 

まずみき自身のセクシュアリティに触れておくと、彼女はトランスジェンダー(性違和)で、元は男性だが女の子になりたい人。しかし恋愛対象は女性。
これがみきを”複雑な“トランスジェンダーと表現する理由で、みき自身をも悩ませている。
第一話では合コンで出会ったTHEオーガニック女子(一昔前でいう森ガール)・ゆいをまんまと落とすことに成功。そのまま一晩を共にするのだが、ゆいは普通の女の子。しかも彼氏持ち。
この関係が長く続くものではないと理解した上で、みきはその場の恋愛を楽しむのだった。
 
みきを演じる志尊淳は可愛いし、志尊淳演じるみきも可愛い。ただお顔が可愛いからという可愛さだけでなく、女の子に憧れ、理想を追い続けたからこそ身につけられた可愛さを持っている。
 
同僚はみきを普通の女性として接しているし、みきの上司も「うちの服が似合うなら男も女も関係ない!」と採用を決めた(しかし直後に「で、ついてるの?」と聞くのだからデリカシーは全くない)
 
近所のコロッケ屋さんはみきを「綺麗なお姉さん」と呼んでいるし、ゆいも後藤も、みきのことを最初は女性だと思っていた。
しかし、実際の志尊くんは178センチと意外にも高身長で、みき自身も「デカい女」と言っている。椿姫彩菜さんや佐藤かよさんのような「言われなければ全くわからない系」かと思いきや、そうでもない。
日常に溢れている差別や偏見と、みきは「戦っている」のだ。
 
 

戦うヒロイン・みき

 

第二話ではみきを取材したいというテレビ局のディレクターから「君、男だよね?」とぶっこまれ、続いて高校の同級生だった高山田からは失礼千万な言葉を浴びせられていた。
 
続く第三話では仕事先でいった(しかも散々悩みをきいてあげた)女性に「あの…男の方ですよね?すごいなぁ、都会だったらこういうの許されるんですね!頑張ってください!」と励ましのようで一ミリも励みにならない言葉をかけられる。前者の二人も凄いが、この女性は無自覚なゆえに破壊力が凄まじかった。
 
しかしみきはどんな時でも、笑顔でかわすのだ。
人間こんなもんだ、と言い聞かせて。
 
 
そのみきが家族と向き合い、己とも向き合うことになる第三話。
先ほど失礼ぶっこいた女性と同じく、兵庫の田舎にいるみきの家族。ひょんなことから、みきの父とみきをよく思っていない兄と再会することになる。
今まで色んな言葉をかけられても、それはあくまでも「他人だから」と割り切ってこれたのかもしれない。しかし今回対峙するのは、切っても切れない家族。兄は地元の公務員として働いており、田舎ならではの保守的思考で固められていた。
 
「そんな姿、ここで見せるな!」
 
「地元のやつに見られてみろ…お前のせいで俺たち家族が一生苦しむはめになるんだよ!」
 
高校から沸々としていたものを、一方的にぶつけるみきの兄。
そこで「それは…嫌な思いさせた、って思ってる」と返したのは、みきの強さだと思った。今まで他人に好き勝手言われて、他人の物差しで評価されても黙ってさらりと交わしてきたみきだったが、今回は違った。
 
言いたい放題の兄をがつんと殴る。
 
「別に逃げてるわけじゃない!私はこの格好が好き、ファッションが好き!だからこの仕事をしているの、だからこの服を着るの、こういう格好をしてるの!」
 
「別に逃げてるわけじゃない…」
 
「じゃあ、兄さんが好きなものは何?兄さんが大好きなものは何なん!?」
 
放送された第一話ではキラキラした女子的生活の裏側で、みき自身が背負うことになった宿命と孤独も見え隠れしていた。
好き、という気持ちはどんな建前よりも強い。このセリフは、自分が男なのか、女のか、何者なのかと彷徨っていたみきが出した、一つの答えだった。
 
その後、兄はみきに掴みかかるが「女に、手を挙げるもんじゃない」という父の男前すぎる一言で、いったん喧嘩は止まる。
田舎で住む父も、おそらくLGBTについてはよく知らないし理解はしていないだろう。
しかし自分の子供だから歩み寄ろうとした。最後に慣れない感じで呼んだ「みき」という一言が、何よりもその証だった。
 
 
 
 
ちなみにこの兄妹喧嘩を止めたのは父ではない。
家族の誰よりも号泣した、部外者の後藤だ。
 
 
 
 

そこらへんにいそうでいない男・後藤

 

今作を語るにあたって、後藤の存在を忘れてはならない。
町田啓太くん演じる後藤だが、そこらへんにいそうなTHE平均点の男として描かれている(しかし現実世界に町田啓太はそこらへんにいない)
 
第一話では思わず口がダダ滑りし何度もみきに幻滅され、第三話では居候の分際でトイレを詰まらせる。しょっぱなこそ後藤の単細胞っぷりにヒヤヒヤしたが、この男…なんとも出来る男なのだ。
 
 
まず衝撃のカミングアウトをうけた第一話。衝撃を受けた割には即座にみきのセクシュアリティについて理解をしようという姿勢が見えた。
みきがオーガニック女子・ゆいにロックオンし、明らかに「お持ち帰りしました~」みたいな翌朝にも「ゆいちゃんと付き合うことにしたのか?」とにこやかに聞いた後、「俺お前の性生活応援するよ」と言い出したのである(自分は合コンで誰も持ち帰れなかったのに…)
 
二話でも同級生・高山田に詰られ、自分の体を見せようとしたみきを「女のすることじゃない」と制止した。
その後なぜか女装に目覚めた高山田を見て驚くも、「せっかくおしゃれしたんだから外出ようぜ」と誘うなど柔軟性を見せる。
 
特に私が後藤の男っぷりを感じたのは第三話。
田舎から帰った後、なんとあの兄から名物のカニが送られてきた。
後藤は「お兄さんもお前のことを理解しようとしてるんだよ~」と隠れた兄妹愛にときめいていたが、みきは「違う(ネイルをした)この爪で食べてみろってことなの、嫌味なの」と受け取っていたのだ。
 
 
そうかなぁと言いつつ、はいどうぞ、と剥いたカニを渡す後藤。
剥いたカニを渡す後藤剥いたカニを渡す後…
 
 
ここで私は一度悶え死んだ。
 
後藤の男前っぷりに、その人間力の高さに眩暈がした。同時に私は思った。
 
 
 
「出来ないなら俺がすればいいか」
 
そう思って実行できる人が、実際どれほどいるのだろう。かくいう私もその場で出来るのだろうか。
LGBTという自分と異なるセクシャリティの人を目の前にして、その人の考えを尊重し、フラットに人付き合いができる人は決して世の中に溢れていない。後藤はやっぱりそんじょそこらに溢れていないのだ。
 
きっと後藤は、「バリバラ」などで数多くのジャンルの人と接してきたNHKが考える、一つの「理想」ではないのだろうか…。
というと少し大げさかもしれないが、先ほど話した「バリバラ」のテーマである「みんなちがってみんないい」というメッセージを、後藤には強く感じた。
 
 
最終回である第四話は、そんな愛すべき単細胞・後藤が「俺、部屋を出ようかと思って」と告げるところから始まる。
恐らく最終回でもみきに対して心無い言葉をいう人はいるし、後藤の単細胞っぷりは発揮されるだろうし、劇的に何かが変わることはないかもしれない。
最終回でもLGBTについて何が正しくて何がいいのかなんて結論は出ないだろうし、そもそも今作ではそんな不毛な議論はしていないのだ。
 
 
 
バリバラのLGBT温泉回で、結局温泉ツアーに参加した人たちの中で「何がいいか」という結論は出なかった。
しかしスタジオでVTRを見ていたMCの方が、こう言った。
 
「なんかVTRを見てると慣れてくる。慣れてくるパワーって凄いよね」
 
そう。
正解は出ずとも、この光景が当たり前になって、いずれ「慣れ」になる日がきっと来る。
 
みきがきっと、今よりもずっと、生きやすくなる時代が。
 
女子的生活は、その「慣れ」への為に作られた、作品の一つではないだろうか。
…と思ったり。
 
 
今期、一歩先を進んだ作品「女子的生活」
みきのラストファイトを、私も楽しみにしている。
 

「転売されてる0巻を買うなら映画館で見ればいいじゃない!」実写・鋼の錬金術師を見てきました

「思ってたより、悪くなかった…」

 

映画が終わった途端、自分と同じ世代であろう目の前に座っていたお兄さん二人が話していた。エンドロールが終わり明るくなった瞬間、友人と私が言った第一声もそれだ。

というわけで、映画「鋼の錬金術師」を公開初日に見てきたので少し感想。

 

0巻がどうしても欲しいと友人に言われ、公開初日に見に行くことにした。

 

2001年から連載が始まったので、その時私は小学生だった。ハガレンを知ったのは中学生の時で何がきっかけだったかは忘れてしまったが、なぜかアニメからハマった。そして原作をその当時全巻揃えて、もちろん最後まで見届けた(ちなみに私が好きなのは何と言ってもマスタング大佐×ホークアイ中尉だ)

 

毎度の大前提だが、これは私個人の感想である。

 

この映画は原作「鋼の錬金術師」を知っている人こそが見る映画だと思う。

その人が見てどんな感想を抱くかはさておき、前知識がない方が見ると中々わかりづらい映画になっているからだ。

もしかしたらパンフレット等で捕捉されているのかもしれないが、映画単品としては分かりづらい。冒頭で物語のチュートリアルのように村人Aが説明セリフで丁寧に話してはくれるが、初見ならばスっとは入ってこないだろう。

更に言うと「賢者の石ってなんだ?」という確信に触れるのが遅かったし、ホムンクルスたちの目的もはっきりとしていなかったし、真理の扉が何なのかを説明するのが難しすぎるのでボヤっとしている。しかしあの作品を二時間半で且つ単品で収めるならば仕方ないのではと思う。

 

そう。「あれほど作りこまれている原作なので全部表現できなくても仕方がない」ということが少しでも頭によぎれば、最後まで気にせず…というかちょいちょい「おっ?」と思うことはあっても最後まで見れる作品だった。私の中では「よく纏めたな」というのが、先ほどに続き二番目の感想だ。ちなみに「おっ?」で収まらず「ええwwww」となったのは、個人的には内山君のグラトニーだけである。笑った、ただの悪い内山君で笑った(褒めてる)

 

話はそれたが、「漫画の実写化をどうとらえるか」という個々の考え方も関係しているような気がする。そりゃ原作に忠実で内容も良いのに越したことはないが、そんなもの恐らく奇跡に近い。

私の中で漫画の実写化は「作品を元として作っている何か」であり、二次創作的な感じのモノというふわっとした受け止め方だ。花より男子』や『DEATH NOTE』が受け入れられたのも、「原作をそのまま忠実に再現できた」というよりは二次創作的な亜種として成功したからだと思っている。松潤の道明寺も、藤原竜也夜神月も最初は受け入れられてなかったはずだ。もし原作をそのまま忠実に再現してほしい!という人から見たら、あの二作への評価はまた別のものになっている気がする。そう思う人の気持ちも至極当たり前のことだと思うので、否定する気はないと再度お伝えしとく。

 

冒頭は幼い兄弟と母のシーンから始まり、人体錬成に移る。原作の冒頭の見せ場でもあるが、それを映画で再現すると難しかったのか、突拍子もなく(言っては悪いが)チープなCGが入る。それがウケる。あ、ここでも笑ってた。思わずウフフと笑ってしまった。

ちょくちょくそのチープなCGは入ってくるのだが、そう思っていて舐めていたら私のように驚くだろう。大人になったエドVSコーネロのバトルシーンは圧巻だった。普段アクションものなどを見ない私は単純に、CGすごい!と興奮した。鎧姿のアルフォンスの完成度も高く、アルはあの世界に確かに存在していた。

 

私の中では、エドもあの世界に存在していた。

情報開示の時から「エドを演じるなら、そりゃ山田君しかいないよな」と思っていたので、元から山田君のエドには賛成だった。見た目もさることながら、身長…そして、小柄な体に似合わない隠された筋肉。そのミスマッチさが何よりもエドワード・エルリックぽいのだ。所々喉を閉めて発声するところも、アニメでエドを演じてらっしゃる朴さんを意識しているのかなと思った。

アニメと言えばエドだけでなくアル役の釘宮さんも絶対的な存在だが、映画版でアルの声を担当した水石さんも良かった。「くぎみー以外のアルフォンスなんて受け入れらるのだろうか…」とかつての声優ヲタクな自分が久しぶりに顔を見せたが、水石さんのアルフォンスも良かった(二回目)真理の扉にいた片目しか見えなかったアルフォンスも美少年だった。

ヴィジュアルが出た当初から評判が良かったホムンクルス三人衆は、もうこの人たち以外はあり得ないと言うほどのクオリティだった。大総統が登場しない為かホムンクルスの存在理由や目的は非常にあやふやだが、あの三人を見ると小さいことは気にすんなと私の中のゆってぃが踊っていた。

ちなみに私の一押しは、勿論エンヴィー役の本郷奏多さんだ。

使い古したモップみたいな髪型をさせられているのにそこからチラリと見えるお顔は非常にキュートで、普段グミしか食べないという異質さが生んだあの繊細な体は見事だった。

よくわからない髪型に加えよくわからない服装で耐えれる画の本郷奏多は選ばれた存在だと思わずにはいられなかった。

某TMレボリューションさんのようなタイトな服装をしているエンヴィが火に包まれるシーンで、つい「これが本当のHOT LIMITや…!」と心の中で叫んでしまったのは私だけではないと信じたい。

 

想像したらわかると思うが、ヒューズな佐藤さんもロス少尉な夏菜さんも良い。想像以上にロス少尉はハマっていた。

 

個人的には大佐をするなら及川ミッチーしかいないと考えていたが、おディーン様の大佐も格好良かった。

格好いいのだけれど、それは軍服をきたおディーン様だった。ウィンリィ役の本田翼さんも然りで、私の中ではポニーテールの本田翼さんだった。

私の中での永遠の大佐・大川透さんはとても快活よく話す方なので、おディーン様の癖のある話し方にいつにも増して癖を感じてしまった。なぜかマスタング大佐は、終始イケメンで友人思いな人物として描かれていた。ハガレンを映画で初めて見た人は、なぜ大佐の手から火炎放射が出るのか理解できなかっただろう。原作のように少しキザな一面や無能なところはカットだったので、性格的にもマスタング大佐らしさは全くといっていいほどなく、やはり軍服を着たおディーン様だった。

ホークアイの蓮佛さんもねぇ…個人的にはホークアイにしては若すぎるなという印象。ちなみにタッカーな大泉さんは大泉さんだった。お芝居は言うまでもなく見事だが、ちょいちょい出てくる本人の存在感がデカい。ボコボコに殴られるシーンでは、ただ大泉洋がボコボコに殴られてる画にしか見えず、そこでもまた笑ってしまった。

 

こうして帰宅後に急いで感情の赴くままに記事を書いたのも、某サイトで転売され高値で落札されている0巻を見たからである。「そんなに映画見るのが嫌なの…!?」と思い、案外そうでもないよという記事を書いた(つもりだ)

でもツッコミどころは勿論あるので、純粋に作品をそのまま映画に求めてる人は覚悟がいるのかもしれない。 前にも述べたが、私はチープな邦画を見ることが趣味なので、そういった面で言うと楽しかった。

 

私のように昔ハマっていて今はボヤッと…という感じの俄かが言っても説得力はあまりかもしれないが、少なくとも私はこの映画を見て「原作を読みたい」「アニメもみたい」という衝動にかられた。見なければいけないと思った。

もし私と同行した友人が原作を一度も見たことがない人だったら、私はこの映画を見た後「とりあえず漫画見てよ!!」とごり押ししたことだろう。映画で感じたモヤモヤを解消するには原作しかない。起爆剤としてならば十分な作品だ。

 

先述したが、音楽やあのCG技術を味わうならば絶対映画館だ。言葉を選ばずにどストレートにいうと、レンタルして見る価値はさほどない。レンタル待ちするならば絶対映画館で見たほうがいい。

そして何といっても、メ〇カリなどで高値で入場者特典の0巻を購入するならば、確実に映画館に行った方がいい。

近くに映画館があるならば尚のことだ。

 

私の手元にある0巻も、そして転売されている0巻も内容は同じだ。もちろん同じだ。

しかし、上映前に渡された0巻を座ってからすぐ開き「うわ、ハガレンだ」と久々に感じたあの高揚感を、メ〇カリ経由で買った0巻では感じることができない気がするのだ。

漫画を読み終わって「ネタバレ注意」と真理くんが煽ってくる荒川先生×監督の対談を読みたい衝動をグッとこらえ、映画を待ち望むあの気持ちも、自宅では味わうことが出来ないだろう。

0巻は鋼の錬金術師の新作ではなく、あくまでも映画・鋼の錬金術師への導入だ。プロローグだ。何よりも、あの荒川先生がこれから映画を見る私たちを盛り上げてくださっているモノこそが、0巻なのだ。

 

「0巻欲しいかわりに見に行けなんか等価交換だよ~!」という思っている方がいたら、こういう感想のやつもいるよってことを知ってほしい。

映画館に行く前「持ってかれるぅぅぅ」という気持ちだったとしても、映画を見終わった後に松雪泰子のラストは良かった」というはずだ。

 

2017年秋は3大学園ドラマがおもしろい③「オトナ高校」

①②はこちら。今更ながら順番は関係なし。

asunako-hakusho.hatenablog.com

asunako-hakusho.hatenablog.com

本題に入る前に捕捉する。

突然だが、私はチープなドラマが好きだ。

チープと表現すると作品を批判していると感じる方もいるかもしれないが、そうとも限らない。チープといっても色々ある。脚本か、テーマか、作風か、それとも全部なのか。どれが良くて何が悪いかは一概には言えないが、たいして何も考えずに視聴でき、茶番のように見え実は果てしない伸びしろを潜めているのがチープドラマの良さだ。

 

今までもそうだったが、ここからは私の個人的すぎる見解。

チープなドラマと言えばテレビ東京を想像するかもしれないが、私はテレビ朝日もお勧めしたい。遊び心あるテレ東は確かにチープな作品が得意で、毎クールある一定の層にとても好まれる作品を送り出している。しかしテレ朝は毛色が違う。テレ東のアングラな雰囲気に対し、テレ朝はなぜか堂々としているように感じる。

テレ東が下北沢の劇場で茶番をしてそこに通うマニアたちに披露するならば、テレ朝は東京ドームで好み関係なく堂々と茶番劇をするような…この表現があっているかはわからないが、妙な華やかさと堂々たる感じがテレビ朝日のチープドラマにはあるのだ。

相棒」や「ドクターX」の放送局がこんなゆるい作品を放送するのか!?とテレ朝の深夜枠には度々驚かされるもので、現に今放送されている「重要参考人探偵」はその典型的な例だ(そして重要参考人探偵も何が面白いかは不明だが何か面白い)


しかし、侮っていると三周くらい回って「迷作」が「名作」へと進化する作品もある。昨年放送された「不機嫌な果実」や「奪い愛、冬」は量産されまくっていた不倫ドラマ界に、突如彗星の如く現れ我々に強烈なインパクトを残した。「家政婦のミタゾノ」はTOKIO松岡君の女装姿が見れる上に生活の豆知識まで知れるとよくわからない奇妙なお得さを感じたし、前クールの「あいの結婚相談所」での山崎育三郎さんの使い方には各局が嫉妬したことだろう。

そんなテレ朝深夜枠が次に生み出した作品がこれだ。

 

③オトナ高校(テレビ朝日/土曜/23時5分)

2017年政府は深刻な少子化に歯止めをかけるため、性経験のない30歳以上の男女を公的教育機関「オトナ高校」に強制入学させる「第二義務教育法案」を打ち出した。政府から突然、オトナ高校への入学を義務付けられたトップバンク行員の荒川英人は戸惑いつつも入学。卒業条件である「童貞卒業」を目指して30代から50代まで様々な学友と悩みながら人として成長していく。(wikipediaより)


OPは主役の荒川英人を演じる三浦春馬さんが、何とも言えないチャーミングな笑顔で小粋にステップを踏む。このわずか10秒程度のOPを見るだけで感じる。このドラマ、センスがいい。

少子化対策の為に、童貞・処女を卒業させる」という非常にシンプル且つチープなテーマだが、実は奥深い。ゴールデンボンバー歌広場淳さんも毎週ドラマに関する考察ツイートをされる程の熱狂っぷりだ(私はこの歌広場さんの思いが、最終回直前で作品に何らかの形で結ばれるのではないかと予想している)


なぜあの三浦春馬が、黒木メイサが、そして高橋克実までもが未経験なのか。各々の未経験の理由が様々で皆色々なことを拗らせているのだ。
そのオトナ高校の教師陣は、5人の子宝に恵まれた翔馬先生(竜星涼さん)、可愛い顔をして実は百戦錬磨のさくら先生(松井愛莉さん)、見た目と裏腹に5人の愛人を持つ持田先生(正名僕蔵さん)と生徒に負けず劣らずの強烈な設定である。
「性行為をする」ということが目的且つ卒業の条件だが、その授業は実生活での人への接し方やアプローチ方法など基本は他者とのコミュニケーションが主な内容だ。画面越しの私たちも、過激な三人の先生から何か学ぶことがあるのかもしれない。

 

普段のツイートや今回の記事の文章でちょいちょい気持ちがはみでるかもしれないが、私は三浦春馬さんが好きだ。前から好きだったが、この度の「ラストシンデレラ」再放送で再び沼にはまった。その「ラストシンデレラ」では究極の年下彼氏を演じ「直虎」では稀代のスケコマシを演じた彼の次作が、「チェリート」とあだ名のついた童貞だなんて誰が予想しただろうか。
「イケメンが童貞を演じてもな…」と言う方もいると思うが、童貞なのは荒川英人だ。英人は高学歴高収入高身長で且つ御顔が三浦春馬という類い稀なポテンシャルを持っているが、重度の拗らせを発症しており当初の性格は事故物件レベルでひどかった。
「ピンク英人」といわれるピンク背景で英人が心の内を喋るカットは、少なくともモテる人が言わないような言葉・持たない思考のオンパレードだ。
しかしその英人が嫌がっていたオトナ高校で学び、壊せなかった自分の殻を徐々に破っていく。「自分の信念を持った大人が頑張って変わる」というテーマは「先に生まれただけの僕」と通ずるものがあり、きっとあなたもチープドラマにありがちな謎の感動を味わうことになるだろう。
三浦春馬さんを始め、今作は役者全員の芝居が振り切っていて気持ちがいい。安定の高橋克実さんや久々のドラマ出演の黒木メイサさんを始め、竜星さんや夕輝さんなど役者さんそれぞれの新たな魅力に気づくはずだ。

 

話は逸れるが、私の知り合いにも高学歴30歳童貞がいる。しかし残念ながら、三浦春馬でもなければ三浦春馬の「み」の字もない。

そう。現実世界ではありえないことなのだ。しかし今の段階で残すところ数週間は「三浦春馬が童貞な世界」が存在している。更に言うと先週は城田優までもが童貞な世界」がそこにあった。
一息つけた土曜の夜にはテレ朝にチャンネルを変えてほしい。

その時間軸にしか存在しない童貞の三浦春馬が、きっとあなたを待っているはずだ。

2017年秋は3大学園ドラマがおもしろい②「明日の約束」

前回の記事はこちら

 

asunako-hakusho.hatenablog.com

 ②明日の約束(フジテレビ/火曜21:00)

藍沢日向(井上真央)がスクールカウンセラーとして勤務する椿が丘高校で、吉岡圭吾(遠藤健慎)という生徒が自殺した。前日、吉岡に「先生のことが好きです」と告白された日向は生徒たちのケアをすると共に自殺の真相を調べることにした。クラスやバスケ部での虐め、母親の執拗な愛情…彼が最後に出したSOSはいったい何だったのだろうか…。

 

ジャンルとしてはヒューマンドラマだが、ミステリー要素もある。先述した「先に生まれた僕」とは違い、今回は一人の生徒の死を中心に様々なことが明かされるタイプの作品だ。この手の重いドラマが苦手な方もいると思うが、見応えもあり一話を見たら必然と続きが気になってしまうので、是非是非一度チャレンジしていただきたい!

 

今作は内容もさることながら、俳優陣のお芝居がとにかく凄い!
主演の井上真央さんは「花燃ゆ」以来の作品だが全くブランクを感じさせない、等身大でナチュラルな芝居が相変わらず素敵だ。今作の日向は強烈な個性がある役柄ではないが「何事にもめげず芯がある女性」という女優・井上真央の専売特許は受け継がれている。自身も複雑な事情を抱えながらも、生徒のことを思い生徒に寄り添う姿はまさに理想的なスクールカウンセラーだ。


その日向先生と行動を共にしているのが、自殺した吉岡君の担任で及川ミッチー演じる霧島先生である。私の周りにはどこをどう見渡してもミッチーはいないのに、ドラマや映画の中では病院でも警察でも学校でもはたまた戦国時代でも溶け込めるミッチーは本当にすごい。今回も溢れんばかりの王子オーラを封印して、ミステリアスな霧島先生を演じている。


豪華キャストに負けず劣らずの存在感を表しているのは、生徒役の若い役者たちだ。
複雑な家庭の子を演じさせたら右に出るものはいないのでは?と思う山口まゆさん、ゼクシィのCMでも御馴染み・佐久間由衣さんなど、既に注目されている若手も出演している。
しかし、バスケ部の孤高のキャプテン・長谷部役の金子大地さん筆頭にこれからバンバン色々な作品に出演するのだろうなという役者さんも多い。
中でも、重要人物中の重要人物である吉岡くんを演じた遠藤健慎さんは、今作が初めてのドラマ出演でWikipediaにすら項目がない。今の時代に金八先生が放送されていたら、彼は間違いなくメインで笑えないくらい複雑な家庭の事情を持つ生徒を演じているだろう。

かつての「女王の教室」のように、数年後メインを張っていそうな将来のエース候補が多いのも見どころだ。青田買いするなら間違いなく、今期ではこの作品だ。

 

「生徒の自殺」と同じく、この作品の鍵となるのが「毒親」である。
最近は毒親を題材にしたドラマも多く、言葉の意味は知らなくても何となく雰囲気はわかるという方も多いと思うし、現に私もそうだ。私が思うに毒親は2パターンある。

A:過保護・溺愛タイプ
自分の子供が愛しているがために、必要以上の束縛や干渉をする。
代表的な例は、NHK「お母さん、娘をやめていいですか」の斉藤由貴さんだ。自分の娘の写真を待ち受けにし、デートにも尾行していた。麦野くんフィーバーを起こした「過保護のカホコ」のママ、黒木瞳さんもライトなAタイプだ。

B:サイコパスタイプ
ふとしたことをきっかけに発狂し怒鳴りだし、時々考えもしないような過激な行動に走る。
代表的な例は、TBS「Nのために」の山本未来さんだ。未だに彼女の顔を見るとあの名物お母さんを思い出してしまうのは私だけではないだろう。

 

なんと「明日の約束」では一作品で2タイプの毒親に会える仕様になっている(ちなみに公式グッズで「毒親黒まんじゅう」という何ともそそられないネーミングの饅頭を発売中)


Aタイプの毒親は、井上さんと共にこの作品の看板を担ってる仲間由紀恵さんだ。自殺した吉岡君の母親で彼がいじめによる鬱病の為に自殺したと考えており、学校と敵対関係になる。

仲間由紀恵というワードを見てピンと感じた方もいるだろう。そう

 

私たちは潜在意識の中で「仲間由紀恵」と「東方神起」が揃うと、とてつもなく怖くなることを知っているのだ(美しい隣人、サキ)

 

そんな本作の主題歌もまさかの東方神起である。「鬼に金棒」ならぬ仲間由紀恵東方神起な今作の彼女もとてつもなく怖い。あの色気のある声が逆にゾクゾクと底冷えするような怖さを醸し出している。今は学校を提訴しようとしている最中だが、今後とんでもないようなことをしでかすに違いない要注意人物だ。
その仲間さんに負けず劣らずのBタイプの毒親が、日向の母親役・手塚理美さん。日向と同居しており、普段は穏やか(という設定だが正直普段から怖い)だが日向が少しでも自分の意見を言おうとすると急にスイッチが入り、まくしたてるような物言いで日向のことを罵倒する。初見時、これは「Nのために」と肩を並べるほどの超ド級のモンスターだと思った。人間の姿をしたモンスターだと…。日向は外でも毒親と戦い家でも自分の毒親と生活しているというのだからドラマとは言え、驚きである。個人的には実母の手塚さんの方が明らかに厄介そうだ。


タイトルの「明日の約束」だが、学園ドラマにありがちな無難な理由でつけられたのではなく日向の母親と関係しているもの。これまた公式ショップでこのタイトルに関係するクッキーが売られているが、ドラマを見たら「何でこれをクッキーにしたんだろう」と思うだろう。購買欲は湧くかもしれないが、食欲は失う。

暗い内容かと思われるかもしれないし正にその通りだが、毎週気になって気になって仕方がない作品だ。ひいき目だが定評ある関西テレビ制作なので、私は最後まで期待している。

 

最後になったが、日向や学校を追い詰める記者役で六角精児さんみたいな人がいる。
その人は六角精児さんではない。

俳優の青柳翔さんだ。

 

繰り返す。
六角精児さんでは な い。
(見ればわかる)

 

2017年秋は3大学園ドラマがおもしろい①「先に生まれただけの僕」

前回の記事は小生意気な記事を書いたため、今回は今季おすすめドラマに触れる。

以前、こんなツイートをした。

上記の通り、私の今季のおすすめは「明日の約束」「先に生まれただけの僕」「オトナ高校」だ。今季は各局ごとに面白いドラマがあるのだが(ドラマ好きな方やコアな作品が好きな方は「監獄のお姫さま」や「刑事ゆがみ」がおすすめ)ドラマをあまり見ない人にも見やすくハマりやすい三大学園ドラマについて書いてみる。

 

「医療モノ」「刑事モノ(推理)」「学園モノ」は、ドラマにおいて【三大かぶりがちジャンル】だ。特に医療モノや刑事モノは一話完結で世代を選ばず楽しめるため視聴率も上がりやすく、各クールに大抵一つは入っている。今季ではテレ朝鉄板の「ドクターX」とTBSが力を入れている「コウノドリ」が医療ドラマでは被っているが、どちらも視聴率が高い。

ちなみに「刑事モノ(推理)」でいうと、2017年春期にフジテレビが「貴族探偵」「CRISIS」「犯罪症候群(東海テレビ)」「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」と自局で四作品も被らせるという狂気の沙汰としか思えない所業をしていた。週刊フジテレビ批評に投稿しようかとあの当時は随分考えたものだ。

 

今回取り上げる学園ドラマは、日本テレビ・フジテレビ・テレビ朝日と放送局も分かれているが、内容的にも見事な住み分けをしている。「学園ドラマの中で三つおもしろいもの」ではなく「面白いとおもった作品三つが全て学園ドラマ」という奇跡の世代ならぬ奇跡のクールだ。まだ見たことがない作品があったら是非一度見ていただきたい、しかしネタバレしてしまったらごめんなさい。

 

①先に生まれただけの僕(日本テレビ/土曜22:00)

 

やり手の商社マン・鳴海(櫻井翔)が次に出向を命じられた先は、会社が経営している私立・京明館高校だった。偏差値40台、毎年定員割れギリギリの京明館高校の校長に赴任した鳴海は、教育現場に戸惑いつつもビジネスマンの観点から学校改革を試みる。

 

主演は嵐の櫻井翔さん(普段は何故か"くん”呼びしているので以下:櫻井くん)初回を見た私の感想は「ニュースZEROの学校立て直しドキュメントみたいだな」というもので、ただ周りの先生役の役者がバイプレイヤー揃い(蒼井優さん・木南晴夏さん・荒川良々さん等)で面白そうという印象だった。

しかし、今までの学園ドラマと一線を画すところがこのドラマにはある。

これは、教師と生徒たちの友情・愛情を描くありきたりな学園ドラマではありません。教育を施す、教師たちの人間物語なのです!(公式サイトより)

 まさに「それだ!」という感じだったので、私のつたない表現ではなく公式の文言をそのまま引用させていただいた。

これまでの学園ドラマと言えば「金八先生」にしろ「ドラゴン桜」にしろ、「特殊な生徒たちを圧倒的カリスマを持つ教師が指導していく」というコンセプトの作品が多かった。しかし、今作のテーマは「生徒や学校を変えるために、まずは指導者である教師たちが変わる」ことだ。未熟で柔らかな頭を持つ生徒たちではなく、自分たちなりの信念を掲げプライドを持って仕事をしてきた大人たちが変わることは容易ではない。しかし、鳴海校長と出会って「変わりたい」と思い、不器用な大人たちが努力する姿に毎回胸が熱くなるのだ。

 

第一話では上司に命じられるがまま学校に左遷された鳴海が、商社マンっぷりをゴリゴリに発揮し自分のビジネス論を展開する。「生徒はクライアントであり商品だ」とまで言い放ったりと案の定教師陣からは反感を買うが、視聴者からすると「教育者ビギナー」の鳴海の発言や提案は的を得ているのだ。

試行錯誤しながらも彼が入れたメスによって新しい風が吹き、一歩ずつだが着実に前へ前へと学校全体が進んでいく様子は、見ていて爽快に感じるはずだ。

 

櫻井くん演じる、この「鳴海涼介」という役がクレバーで尚且つリーダーとして非常に優れている人物だ。有名商社で赤字だった子会社を立て直すなど敏腕のビジネスマンという設定だが学校ではその華々しい経歴に奢ることなく、あくまでも「新人校長」として学校が抱える様々な問題に真摯に立ち向かう。今まで地味で目立たなかった先生の言葉に耳を傾け積極的に新しいことに挑戦したり、一会社の社長のように校長として教師陣を守ったりと、やることなすこと上司としては「完璧」だ。

この役も櫻井くんにあてがきしたのかなと思うくらいのハマりっぷりである。

個人的な意見だが、ジャニーズの中でも櫻井くんはキャラクターが立ちすぎていて(アイドルもだがキャスターとして成功しているのでそのイメージが強い)自分以外の誰かを演じる「俳優」としては役を選ぶタイプの人だと思う。ジャニーズやアイドルが演じるとその役柄のどこかに「アイドル」っぽさが出てしまうように、櫻井くんはそれに加え「キャスター」っぽさが出てしまう可能性があるのだ。

しかし、今回の鳴海涼介という役柄はそれをまんまと逆手に取った。大勢を前にして人を惹きつけるカリスマ性は「アイドル・櫻井翔」の一面が、他人の意見に耳を傾け自分の考えを伝える人間性は「キャスター・櫻井翔」での一面が活かされ、そのまま「鳴海涼介」という役の魅力に繋がり、まさに「櫻井翔しか考えられないキャスティング」なのだ。

 

先述したが、脇を固める教師陣のキャストも面白い。これでもか!というくらい名バイプレイヤーが揃い、生徒以上に気難しく個性があふれんばかりの教師を演じている。中でも荒川良々さん演じる郷原先生がいい。彼は最後まで鳴海反対派として抵抗するのだが、彼が鳴海に反発する理由や抱える事情が何だか人間らしくて、まあそんな考えを持つ人もいますよね~と思わず共感してしまう。その郷原先生にスイッチが入り「変わろう」と決意する瞬間が何なのか。この回は今作の山場とも言えるくらいの神回であった(当社比

 

「先に生まれただけの僕」というタイトル通り、このドラマは元は先生でも何でもなく一社会人として生きていた鳴海が、生徒たちに人として何を教えるか、そのためにはどうやって学校という組織を変えていこうかと奮闘する物語だ。

生徒世代のティーンエイジャーよりも、きっと社会人として数年過ごしてきた大人たちの方が胸に刺さるかもしれない。

 

ちなみにこれだけベタ褒めした鳴海校長だが、恋愛に関してはポンコツでドラマの世界の中でも完璧な人間なんて存在しないんだということを改めて思い知らされた。これからは鳴海校長の恋愛も話の核として描かれていくようだが、少しすると二周くらい回って「まあ、なるみん(鳴海)も人間だもんな…」と男としてのポンコツさが気にならなくなってくると思う…ので、まだ見たことがない方に今期、是非おすすめしたい作品だ。

 

「奥様は取扱い注意」がなぜ人気なのか、真剣に考えてみた

2017年秋ドラマも始まって一ヶ月が経ち、各ドラマの[色]が見えてきた。「このドラマの為に一週間生きている!」みたいな作品もあれば、「この時間帯に見るものがないから、何となく見ている」作品も出てきたことだろう。

 

今期ドラマの特徴といえば、「オリジナル脚本が多い」ことだ。

 

月9の「民衆の敵」に始まり、フジテレビは何とプライム帯3つのドラマが全てオリジナル脚本でかなりの気合の入りようを感じるし、TBSも今となっては[こけられない枠]になってしまった火曜22時にクドカン脚本をぶつけてきた。
ドラマ好きにとっては、なんとも贅沢なシーズンなのである。

 

そこで今回気になったのは日本テレビ水曜22時「奥様は、取扱い注意」

 

主演は日テレ水曜枠にゆかりある綾瀬はるか(ホタルノヒカリ、今日会社休みます)。今季ドラマの中では鉄板の「ドクターX」、TBS大本命の「陸王」に続く高視聴率作品となった。

 

内容としては、施設育ちの菜美(綾瀬はるか)は幼少の頃からずば抜けた身体能力を持ち、ひょんなことから某国の工作員として暗躍していた。スリルがある毎日を過ごす反面、穏やかな家庭生活に憧れた菜美は、工作員としての自分を殺し日本へ帰国した後パーティーで出会った伊佐山勇輝(西島秀俊)と結婚する。高級住宅街で昼はママ友(広末涼子・本田翼)たちと習い事をしたりと穏やかに暮らす彼女だが、その「愛すべき町」に度々事件が起こる。平穏な生活にも少し飽きてきた菜美は、今度はその街を、そして困っている住人(主に主婦)を救うために動き始めた。簡単に言うと「暇を持て余した仲良し主婦三人が町で起こった事件を解決する」という話で、普段は可愛らしい奥様が夜は違う意味でスゴイというギャップを楽しむというコンセプトのようだ。

 

しかし毎週見ていて毎回私は疑問に思う。

 

「なぜこのドラマがこんなにも好調なのだろうか」


端的に言うと「このドラマ、そんなにおもしろいか…?」ということだ。

 

確かに一話完結で見やすいが、私の中では既に「とりあえず使命感で見る枠」になってしまった。

毎回菜美の過去の自分を語るモノローグから始まり、いつも肝心なところで「それはまた別の話」とはぐらかされるのだが、話のキーになるであろう彼女の過去もそんなに気にならなくなってきた。西島さん演じる夫は明らかにタダモノじゃない感が最初から出ているが、何というかその曖昧な立ち位置にもやっとする。キャストは魅力的で、綾瀬はるかも広末も本田翼も可愛いし西島さんもイケメンだ。ああイケメンだとも。

しかし、「地味スゴ」の石原さとみのように毎週服装が楽しみだとか、「カホコ」の竹内涼真演じた麦野君のように視聴者を釘付けにするキャラクターもジャニーズもいない。にも関わらず、なぜ人気なのか真剣に考えてみた。

 

①前枠からの信頼

 

「なぜこんなに人気」と思った枠は前シーズンにもあった。TBS火曜22時の「カンナさーん」である。コミックスからの実写化なのでストーリーは無難といっちゃ無難だったが、深夜枠でも放送できそうな手軽さがあり、そんなに心ひかれる展開もなく、はたまた今をときめく若手イケメン俳優を起用しているわけでもなかった。

恐らくTBS的にも「ちょっと一息」的な気持ちで挑んだ作品のような気がするし、本当にそのモチベーションで作ったならば結果的に万々歳の「コスパがいい作品」だったはずだ。
「カンナさーん」がなぜ安定して数字を出す作品になったかと考えたとき、私個人としては「『カルテット』『あなたのことはそれほど』から見てきた視聴者がそのまま『カンナさーん』を見ていたのではないか」という結論に達した。


今回の「奥様」で置き換えてみると、前作は麦野くんフィーバーを起こした「過保護のカホコ」だ。(ちなみに「カホコ」もなぜ人気なのだと考えたことがあり、その時の結論は「みんな麦野君がすき」に行きついた。)やはり前シーズンの作品が安定して人気があると、その影響が次作にも少し反映される気がするのだ。
その法則でいうと「監獄のお姫さま」は?と思われる方もいるかもしれないが、あれはもう「一般受けするには癖が強いんじゃ…!」と私の中の千鳥ノブが叫んでいる。

ではでは「民衆の敵」は?というと、初回放送が他作品より遅く、また野球延長の為かなり遅れたというのが視聴率が低い一つの理由だと思う。

その点でいうと「奥様」ならびに日テレ水曜22時枠は、比較的いつも他局より初回放送が早く「新しいドラマ始まるらしいから見てみるか」というライト視聴者を掴みやすいのだ。

話は逸れるが面白いかどうかはさておき、「民衆の敵」にかけるフジテレビの情熱は好きだ。前作コードブルーでかつての月9の勢いを取り戻し、負けられない今作に安定の篠原涼子を主役に掲げ、他局でフィーバーを起こした高橋一生石田ゆり子を起用するというミーハーな感じ、貪欲な姿勢が好きだ…!
なのでどうにか報われてほしいが、制作陣で方向性を再度話しあったほうがいいとは思う。

 

②可もなく不可もない内容

 

あえて箇条書きにすることでもないというのは百も承知だが、「奥様」の場合はこれが功を奏している。
個人的には重い内容のドラマ(今期でいう「明日の約束」みたいなジャンル)やそれとは打って変わってチープなラブコメが好きなのだが、世間では「力を抜いて見れるドラマ」が好きな人や「何もないから見る」人もいる。今回の「奥様」はその枠の方々にぴったりとはまるのだ。
水曜22時枠でいうと以前あった「母になる」は、主演のエリカ様筆頭にキャストのお芝居も見事で、毎週考えせられる内容に三週に一度は泣かされた。しかし私みたいに好きな人もいれば「話が重たい」「シリアスすぎる」と避ける人も勿論いて全体視聴率は9.2%とあの枠にしては振るわず、まさに賛否両論な作品だった。一話完結ではなかったので、いきなり見ると話が分からないという点も視聴率に繋がらなかった理由だろう。(最近知ったのだが、ドラマを毎週欠かさず見たり見れなかったから追っかけ再生したりと、私のように一般の人は暇ではないらしい)話が作り込まれている続きものは、いかにして最初の視聴者の興味を持続させるかが重要であり、最初から見ていた視聴者こそが数字を左右しているのだ。
そう考えてみるとテレビ離れが嘆かれる昨今、「続き物」よりは「いつみても何となく話がわかる一話完結」で「賛否両論あるテーマ」よりは「何となく楽しめる作品」の方が視聴率に反映しやすいのかもしれない。

 

話は色々なところに飛んだ挙句、こんな大層に書くものではなかったと思うが書いてみると疑問に思っていた点は解決した。
でも仮に「前枠からの信頼感があり、スタートダッシュが成功した」作品が内容に関係なく安定した視聴率に繋がるのだとしたら、ドラマ界も中々世知辛い。第一印象が良くないとその後どれだけ良くても伸びないだなんて、まるで我々人間社会と同じやないか…!
「カルテット」のように最初ボチボチでも、ネットやTwitterで話題になり最終回直前で奇跡の二桁を出す!なんていうのは、本当にまれな例なのだ。
かくいう私も、毎回リアルタイムで視聴できてもCMを飛ばしたいが為に録画をするので、視聴率には全く貢献できていない。
なのでせめて、あの小さいアカウントから誰が見るというわけでもないが、好きなドラマの良さをひたすら呟いていこうと思っているし、そのつもりであのアカウントを作った。

 

とは言えど「奥様」について内容は全く褒めてはいないが、それでもある一定の層には評価され今のニーズにあっているからこそ数字が出るのだから、日テレ的には当たった作品なのだろう。
まさかの玉鉄も投入され殺人事件も起こってしまった以上、次に起こるのは爆破テロとかレベルの規模じゃないともう何も驚かなくなってしまうのではないかと思うが、今後も「ふわっと」期待しながら最後まで見届けることにする。