あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

なぜ私は“勇者ちゃん”を受け入れることが出来なかったのか【恋つづ】

そのとき私は、しばらく健が供給されない悲しみと、なにか縛られていたものから解き放たれたような清々しさを同時に感じていた。後者の気持ちの方が大きかったもしれない。というのも、私はまっすぐな気持ちで『恋つづ』を楽しむことが出来なかったからだ。物語云々よりもヒロインである“勇者ちゃん”のことを最後まで好きになれなかった。


「健のことが好きだから、勇者ちゃんを受け入れられなかったのか?」

 

いや違う。それは嫉妬、醜い嫉妬だ。たしかに佐藤健の公式LINEアカウントを友達登録して友達どころか健と私は既に付き合っているんじゃないかと一瞬錯覚を起こしたことはあるけれど。あるけれど、私は勇者ちゃんに嫉妬していたわけではない。ぜってえ違う。なにか理由が他にあるはずだ。胸に抱いたこのドス黒い気持ちの正体を探るべく、私は全く見返す予定のなかった『恋つづ』を第1話からを見てみることにした。

 

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ツッコミ待ち系ヒロイン・勇者

 

いつ頃から勇者のことを好きになれなかったのかと聞かれると、わりと早い段階で好きではなかった。むしろあまり良くなかった第一印象が最後まで尾を引いていたように思う。決定打となったのは第2話。死を初めて経験した勇者が「辞めます、辞めます……」と泣いたシーンで、私は心のシャッターを閉じた。勇者と魔王が恋人になって、初めてのすれ違いを描いた第5話。勇者が「公私混同してるのは先生の方じゃないですか!」と詰め寄ったシーンで、私は『本日閉店』の札を下げたのだった。

 

 

勇者は仕事が出来ないことは勿論、仕事への向上心も大して感じられたなかった。と、パワハラ上司のような文言を書いていたのだが、改めて『恋つづ』を見返すと、勇者は勇者なりに仕事へ励んでいることが分かった。すまない。(なぜ勇者の仕事への意欲があまり感じられなかったのかは後述)しかし、仕事はやっぱり出来ていなかった。

 

改めて『恋つづ』を見ると、私は勇者が「ツッコミで成立するヒロイン」なことに苦手意識を感じていたようだ。勇者の代名詞と言えば「ドジっ子」。職場でもプライベートでも奇想天外な行動を起こし、誰かがツッコミを入れて、「てへへ~」な感じでオチがつく。私はその鉄板の流れが苦手だった。

このツッコミ待ち行動は、勇者が魔王の彼女に就任してから益々増えたように思う。出来立てのたこ焼きを一口で食べる、アンバランスなソフトクリームを最下層からペロッと舐め上げて鼻にクリームをつける(一生言う)、頼んでもいないのに病院を勝手に辞める、潰してくださいと言わんばかりの場所におにぎりを置く。たーまごかけご飯納豆ご飯まぜると元気の出るご飯ってその歌なんなんだよ。最終回ではダチョウ俱楽部も息をのむような速さで、出来立ての小籠包を一口で食べて、案の定ハフハフ言っていた(ちなみに2回する)

 

 

なぜ勇者は、ここまでぶっ飛んだ行動をとるのか。それは、勇者の奇想天外な行動によって、健の「ヴァーカ」が発動するからだ。「ヴァーカ」「このヴァカ!」「ヴァカか、お前は!」つまり勇者のぶっとび行動は、いつの間にか「ツンデレ天堂(健)」の発動条件になっていたのだ。このように考えてみると、勇者は我々視聴者のためを思って行動していたのかもしれない。あの一連の行動が計算無しの“素”ならば、どう考えても正気の沙汰ではないからだ。しかし私は、勇者の行動がどうしても好意的に受け取れなかった。むしろあざとく感じてしまったために、最後まで苦手意識が拭いきれなかったのだと思う。

 

比較対象となったパーフェクトガール“酒井さん”


勇者に対してのネガティブな気持ちを増幅させたのが、勇者の優秀な同期「酒井結華」だ。クールで真面目で仕事熱心な酒井さんは、ウブでドジっ子で恋に猪突猛進な勇者とは対照的な存在として置かれている。

 

勇者「酒井さん、まさに即戦力だってみんなから褒められてた。羨ましい……」

酒井さん「私は佐倉さんが羨ましい」

勇者「え!?」

酒井さん「母が看護師だったの。でももうやってなくて、医療事故で訴えられて。悔しかったと思う。だからその分、私が優秀な看護師になって胸張らしてあげたいなって。だから簡単にやめるわけにはいかないの。佐倉さんみたいに、動機が一目ぼれとか羨ましい。シンプルで」

勇者「すごいねえ、酒井さんは。(中略)私にはとても出来ない……」

酒井さん「私は勉強したい、あなたは好かれたい。その違いじゃない?」

 

 実はこの酒井さん、原作では中盤から登場するキャラクターだ。見た目も可愛く、仕事が出来るのはドラマでも一緒。しかし原作では、天堂が好きで勇者をライバル視している“ぶりっ子腹黒ライバルキャラ”として登場する。この設定をそのままドラマに採用しなかったのは英断!しかし、ここで酒井さんを「真面目で仕事熱心なキャラ」に軌道修正したために、皮肉にも公私混同しがちなドジっ子ナース・勇者との間に差がついてしまった。酒井さん唯一の欠点と言えば、同期や患者に対してドライに接してしまうところなのだが、職場で浮ついている勇者よりは良いと思う。

 

ドラマ版の酒井さんは、天堂ではなく来生先生に恋をしている。同期の仁志くんの恋愛パートよりも少なく、なかなか上手くいかない恋の行く末を視聴者は親のような目線で見守っていた。たぶん多くの人が「こんなに良い子が報われないなんて……なぜ……」と疑問に思っただろう。その結果、浮かれモードな勇者を見る目がますます厳しくなってしまったのだ。 

 

 

さて、ここまで2500字。そろそろ皆さんもお気づきになっただろうか。私も気づいた。

私が勇者を受けいれられない理由は嫉妬ではないと書き始めたが、私が勇者に抱いた気持ちは間違いなく「嫉妬」だ。勇者がどれだけ仕事が出来なかろうが、一言多い性格だろうが、行動があざとく見えようが、同期の優秀な子に比べてトントン拍子にすすもうが、すべて「嫉妬」という気持ちの上に成り立つものだった。

 

 

しかし。一視聴者に受け入れられないと言われても、勇者が圧倒的「勝ち組」である事実は揺るがない。不特定多数と同じ内容ではなく健からのお言葉を直に貰える勇者……sugarではなく普通の電話で健と話せる勇者……。自称ではなく堂々と“佐藤健(天堂)の女”を名乗れる勇者は、この春一番の勝ち組だ。すくなくとも、こんなにも晴れた三連休初日に嫉妬じみた文章を書いている私よりは。

 

ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。最後はこの歌で終わりましょう。この三か月、好きだった天堂ならびに佐藤健へ捧げます。

 

それでは聞いてください、Official髭男dismで『Pretender』

 


Official髭男dism - Pretender[Official Video]

 

***

▼恋はつづくよどこまでも感想▼

 

 

やっぱり優柔不断な私が決める年間ドラマBEST10【2019】

こんにちは、明日菜子です。皆さん、ドラマ見てますか?今年もお疲れさまでした。

 

一年前の31日に年間記事を書いて「来年こそは余裕を持つぞ!」と心に決めたものの、気づけばまた31日でした。今年こそ間に合うかどうかわかりません。でも今年もやります。そして今回も私だけでは決められなかったので、今年もソートサイトを使ってロボットに決めてもらいました。

 

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ちなみに2018年版です。不朽の名作『アンナチュラル』を基準に決めましたが、年末一挙再放送を見て、もっと上でも良かったなと思ったり。この記事を見ると去年完走したドラマは54本、今年2019年は74本でした。大河と朝ドラを含めたら76本。たぶん去年の数え方が間違ってますね。今年は正真正銘、74本の中から選びます!

 

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第10位『腐女子、うっかりゲイに告る。』(NHK)

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原作:浅原ナオト『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』

出演:金子大地、藤野涼子etc

脚本:三浦直之

 

LGBT」を扱ったドラマもそろそろ飽和状態だろう……と思った春先に彗星の如く現れたフレッシュな作品。『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』をドラマ化したら、『腐女子、うっかりゲイに告る。』になると誰が想像したでしょう。タイトルからセンスの良さが溢れ出しています。

主人公の純(金子大地)は自分がゲイだと自覚しつつも、将来は結婚して子供がいる“普通の家庭”に憧れる男子高校生。ある日、クラスメイトの三浦さん(藤野涼子)がBL本を買っている姿を目撃してしまい、「このことは絶対他の人に言わないで!」と釘を刺されるものの、本性を知られた三浦さんと共に行動をするように……。

 

“ゲイ”と“腐女子”。一見交じりそうで交じわらない二人が抱える悩みは共通して「擬態」。周りの人から見られる自分と、本当の自分とのギャップに悩んでいました。二人が年齢を重ねていけば、もっと楽に考えられることもあるかもしれない。決して簡単ではないセンシティブなテーマを丁寧に、かつ軽やかに描いていたのが印象的でした。『明日の約束』で目を引いた金子大地のミステリックな危うさが全開で、そこに対する“普通の女子高生”三浦涼子が最高!「自分は何なのか」と問うアオハルな二人をバックに流れるQUEENが最高にエモイ作品です。

 

 

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第9位『みかづき』(NHK)

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原作:森絵都みかづき

出演:高橋一生永作博美

脚本:水橋文美江(『スカーレット』、『母になる』etc)

 

家庭教師をしながら女手一つで娘を育てていた千明(永作博美)は、私塾を開いて子供たちに勉強を教えていた小学校の用務員・大島吾郎(高橋一生)に才能を感じ、共に学習塾を経営する。昭和から平成に渡り、学習塾業界に身を投じた夫婦の姿を描きます。

私は今作を見た時すでに「秋から始まるスカーレットは大丈夫だ」と謎の確信を持っていました。それくらい良かった。わずか5回という短い回数ながら、作品の良さがギュッと凝縮されていて、見た後はなんとも心地よい余韻が……。グイグイ攻めつつも、ふとした時に弱さが見える千明がなんとも愛おしかった。『カルテット』の高橋一生が好きな人は『みかづき』の高橋一生もストライクど真ん中でしょう。タイトル「みかづき」の意味を、じっくり感じてほしいです。

 

 

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第8位『わたし、定時で帰ります。』(TBS)

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原作:朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』

出演:吉高由里子向井理etc

脚本:奥寺佐渡子(『夜行観覧車』、『Nのために』、『リバース』)

  清水友佳子(『リバース』、2020年朝ドラ『エール』)

 

「絶対定時帰宅」がモットーの東山結衣(吉高由里子)が働くWEB制作会社では、現代の日本が抱える労働問題が続出。パワハラ上司・福永(ユースケ・サンタマリア)を筆頭に、社員たちが抱える悩みを結衣が解決しつつも、誰一人として“モンスター”扱いしないのが新鮮でした。扱う問題はどれも重たくてウッとするようなリアルさを帯びているものの、ヒロイン・吉高由里子の持ち前のゆるさで緩和されていた。主人公が無敵状態ではなく学びがあるのも良くて、新時代のヒロイン像を見た気がします。あと何と言っても向井理が最高。向井理がいる職場ならば馬車馬の如く働いきたい(矛盾)。

 

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第7位『デザイナー渋井直人の休日』(テレビ東京)

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原作:渋谷直角『デザイナー渋井直人の休日』

出演:光石研岡山天音etc

脚本:ふじきみつ彦(『バイプレイヤーズ』)、松本佳奈

 

「まわりは僕をこだわりの人と呼ぶ。否定するつもりもなければ、肯定するつもりもない」

 

いつもこうして語り始めるのは、主人公・渋井直人。職業はデザイナー。仕事だけではなく料理やDJも嗜み、休日にはカフェやお洒落な書店に赴く。意識が高くてどことなくいけ好かないオジサンの話かと思えば、蓋を開けてみれば惚れっぽいおじさんが毎度毎度返り討ちに合う話でした。それのどこが面白いのかと聞かれれば未だによくわからないのだけど、松重豊が黙々とご飯を食べる姿と同じくらい、光石研が立て続けにフられていく姿も見ていたいと思ってしまう。『バイプレイヤーズ』でオジサンの魅力的な描き方を完璧にマスターしたふじきみつ彦が描くアイタタおじさん・光石研が最高です。テレ東のセンスも爆発していて、肩を落としながら夜道を歩く渋井直人の姿が、なぜか小洒落て見えてしまうのだから不思議。

 

 

放送当時、すごく面白くて沢山の人に見てほしいなぁと思い記事を書いたけれど「何が面白いのかはよくわからない」という着地点になっています。でも脚本のふじきさんが読んでくださって、とても嬉しかったです!

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第6位『グランメゾン東京』(TBS)

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出演:木村拓哉鈴木京香沢村一樹及川光博玉森裕太etc

脚本:黒岩勉(『モンテクリスト伯』、『メゾン・ド・ポリス』)

 

一度は全てを失ったフレンチ料理のシェフ・尾花夏樹(木村拓哉)が、味覚だけは抜群の料理人・早見倫子(鈴木京香)と共にビストロを開き、ミシュランの三ツ星を目指す。ドラマでは珍しく30日に最終回を迎え、今期一押しの作品ながら私も毎度固唾を飲んで見守りました……。

一言で例えるならば「レストラン版ONE PIECE」。離れた仲間を呼び戻して夢を目指す尾花はめちゃくちゃルフィ。これでもかと言わんばかりの王道激アツ展開は爽快そのもので、登場人物一人一人の造形も深く、全員がハマリ役でした。いつ何時も仕事熱心な木村拓哉の姿は最高にカッコよかった。私はクールベストで平古祥平役の玉森さんを助演男優賞に選びましたが、最後の最後まで京野役の沢村一樹さんと悩んだ。作品を彩る料理のカットも美しく、レストランドラマとしては100点満点。ただ、内容が詰まりすぎてて、最後は駆け足感が否めず。もう少し削っても良かったし、逆に深く掘り下げてほしいところもあったり。でもなぜか満ち足りた気持ちになりました。ありがとう、ありがとうグランメゾン……!

 

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第5位『だから私は推しました』(NHK)

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出演:桜井ユキ白石聖etc

脚本:森下佳子(『おんな城主 直虎』、『義母と娘のブルース』)

 

キラキラOLの愛(桜井ユキ)はふとしたことをキッカケに、地下アイドルの世界へどっぷりとハマっていく。発展途上のグループ「サニーサイドアップ」の中でも、愛が推そうと決めたのはグループの端っこで自信なさげに踊るハナ(白石聖)だった。人が誰かを推す理由は千差万別いろいろあれど、愛はグループに馴染めてなさそうなハナの姿に無理をしている自分自身を重ねてしまうのです。これは沼、この理由は間違いなく沼行き……。

NHKが誇るアイドルを作ろう」との意気込みでオーディションを実施して、選ばれた「サニーサイドアップ」のメンバーはガチ。期間限定なのは惜しいけれど、刹那的なものだからこそより輝かしかった。暗いトンネルを抜けた先にある光が差し込むような暖かいラストが印象的です。

 

 

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第4位『トクサツガガガ』(NHK)

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 原作:丹羽庭トクサツガガガ

出演:小芝風花倉科カナetc

脚本:田辺茂範(『表参道高校合唱部!』、『レンタルの恋』)

 

OLで特撮女子・中村叶(小芝風花)のヲタク生活と苦悩を描いた作品。特撮ヲタクをターゲットにしたニッチな内容かと思いきや、ヲタクの人もヲタクではない人も、全方向から楽しめます。実写化したのがNHKで良かったと原作未読の私が思うほどに、特撮へのこだわりが凄まじい!特撮パートは勿論、特撮ソングやグッズ、そして携わるスタッフまで特撮づくし。日曜のテレ朝で流しても違和感が無いクオリティの映像が、金曜の夜にNHKで流れていました。語彙力豊富なヲタクならではの名言も続出。「スーツは尻が命ですから」と断言する吉田さん(倉科カナ)の言葉が忘れられません。

 

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第3位『グッドワイフ』(TBS)

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原作:CBC Corporation制作『The Good Wife』

出演:常盤貴子唐沢寿明小泉孝太郎etc

脚本:篠﨑絵里子(『紙の月』、『まれ』)

 

夫・壮一郎(唐沢寿明)の逮捕をきっかけに、16年ぶりに弁護士として職場復帰をすることになった蓮見杏子(常盤貴子)。杏子がブランクありの弁護士として奮闘する様を描きながら、壮一郎の事件の真相に迫っていきます。人気海外ドラマの日本版リメイクときいて、誰もが「やめとけ……」と思っていただろうマイナスな前評判を一蹴!日曜劇場に相応しく、ドラマチックで、現代の日本の現状にも訴えかける爽快な作品になりました。

主人公の杏子を演じた常盤貴子も民放連続ドラマへの登板は久しぶりで、日曜劇場に関しては『ビューティフルライフ』以来19年ぶり。彼女の“ヒロイン力”(と私は呼んでいる)は健在で、杏子の台詞に何度も心を動かされました。他にも水原希子賀来千香子など、働く女性がとてもカッコいい!放送当時はあまり視聴率が芳しくなく、一人でも多くの人に見てほしくて、このご時世にアナログな相関図(手書き)付きの記事を書きました。これも一年クールでしてほしかった、セカンドシーズン待っています!

 

 

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第2位『きのう何食べた?』(テレビ東京)

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原作:よしながふみきのう何食べた?

出演:西島秀俊内野聖陽etc

脚本:安達奈緒子(『サギデカ』、『透明なゆりかご』)

 

弁護士のシロさん(西島秀俊)と美容師のケンジ(内野聖陽)、ゲイカップルの日常を描いた大人気漫画。原作そのものも素晴らしいですが、実写化されるべくして実写化された作品だと思います。このキャスト、このスタッフ、そしてテレ東で良かった……!

 

“ゲイカップルの日常”と聞くと一瞬マイノリティなイメージを抱く方もいるかもしれませんが、倹約家のシロさんが作るメニューは普段の食卓でも作れるものばかりだし、シロさんとケンジが抱えているものは家族や老後のことなど、誰にでもあてはまる問題です。嬉しい時も悲しい時も喧嘩をした時も、二人で一緒にご飯を食べる。「きのう何食べた?」というタイトルながら、「明日何食べようかな」と思わせてくれる明日への活力をくれる作品です。

 

現在も連載中の原作漫画・16巻から厳選したエピソードがどれも秀逸!ケンジを演じた内野聖陽さんが内野さん以外考えられない程のハマり役で、チャーミングで真っすぐなケンジの姿に後半はたくさん泣かされました。あまりの人気っぷりに、レシピ本や「何食べ展」なるリアルカフェ企画も実施、このお正月には宮沢りえさんをゲストにスペシャルで帰ってきます。アマゾンプライムなどでも見れるので、まだ見ていない方は原作と併せて是非見てください!

 

 

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第1位『G線上のあなたと私』(TBS)

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原作:いくえみ綾『G線上のあなたと私』

出演:波瑠、中川大志松下由樹etc

脚本:安達奈緒子

 

大人のバイオリン教室で出会った無職の也映子(波瑠)、大学生の理人(中川大志)、主婦の幸恵(松下由樹)。バイオリン三銃士が織りなす、恋あり友情あり涙ありの多重構造物語です。今作は“時間の無駄”という重い言葉が一つのキーワードで、也映子たちが通う「大人のバイオリン教室」はまさに“時間の無駄”の象徴。主人公・也映子と同世代のアラサーだけではなく、あらゆる世代の胸を打つ物語です。アラサーどんピシャの私は胸を打たれすぎて三度くらい死亡。『G線』を見るといろんな思いが溢れ出して、さまざまなところで書きました。

 

 

『G線上のあなたと私』感想まとめ

 

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というわけで2019年ベストドラマは『G線上のあなたと私』に決まりました!10作品どれも責任を持って推せる作品ばかりで、特にTOP5からは非の打ちどころがありません。ソートサイトで決めても優柔不断な私はグラグラしてて、わりと序盤からワケがわからなくなってしまったのですが、1位だけは心に決めていました。ちなみにTOP10に入れようか迷ったのは、『インハンド』(TBS)と『これは経費で落ちません!』(NHK)の2作。正直言うとあまり大差ありません。

しかしおもしろいくらいNHKとTBSに偏っている。2020年こそフジテレビ批評に出演しておススメドラマを語りたいのですが、なかなか雲行きが怪しいですね……!まず16作品くらいまで絞った中で、フジテレビ製作は『ルパンの娘』くらいだったでしょうか。今年も名作ぞろいで層が厚い一年になりました!

 

総合:『いだてん』(NHK)

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出演:中村勘三郎阿部サダヲetc

脚本:宮藤官九郎

 

3か月の連続ドラマと一年の大河ドラマを同じ土俵で比べるべきではないと常々思っているので、ランキングにはあげませんでしたが、『いだてん』抜きには語れない2019年になりました。大河ドラマは後から見返そうと思っても、そう簡単に見返せるものではありません。「いだてん見ればよかった……」と後悔をしてる方へ。もし再放送の機会があれば是非トライしてほしいし、『いだてん』に限らず面白いドラマはたっくさんあるので、今後ともチェックしていただきたいです。

 

 

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今年一番衝撃的だったことは「Twitterアカウントが凍結状態になったこと」といの一番にあげるくらい、Twitterづくし、ドラマづくしな2019年になりました。何か一つのことを続けてみようと、『なつぞら』の感想を全156話毎日更新して無事完走。あんな大変なことは二度としません。フォロワーさんと会ってご飯を食べに行ったりと、Twitter発信で新しい出会いもありました。これからも新しいことがたくさん待っているのかと思うと、3時間後に飛行機で飛び立つことなど忘れて無性にワクワクしてきますね。まだ準備は出来ていません。

 

2019年も本当にありがとうございました!来年も、いろんなところからドラマの良さを発信できたらと思います。2日ごろにはテレビの前にいる予定です。2020年が皆さんにとっても私にとっても素敵な一年になりますように、そして素敵なドラマに出会えますように!

 

キムタク世代が織りなすリブートの物語『グランメゾン東京』

俳優・木村拓哉が好きだ。画面を通して“非日常の世界”へ連れて行ってくれる、唯一無二の存在だからだ。私の隣にキムタクはいない。でも、私の世界にもいてくれたらいいのに、といつも思う。例えば、なにかの事件に巻き込まれた時に取り調べを受けるなら久利生公平にしてもらいたいし、空港で新海元とすれ違ってみたいし、初めて行った美容院で「今日担当します、沖島です」って愛想のない挨拶をされてみたい。私の世界にキムタクはいない。でもなぜだろう。彼の作品を見ているときだけは、あのキラキラとした世界に、私も足を踏み入れたような気分になる。

 

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日曜劇場『グランメゾン東京』|TBSテレビ

 

令和になって初のキムタク主演ドラマとなった『グランメゾン東京』。彼が今回演じる役どころは、フレンチのシェフだ。パリの三ツ星店で修業した後に開業した「エスコフィユ」というレストランで二ツ星を獲得し、シェフとして絶大な人気と地位を確立していた尾花夏樹(木村拓哉)。しかし2015年の日仏首脳会談の昼食会にて、仏首脳がアレルギーのナッツを何者かが混入した。店の従業員に対して差別的な発言をした仏官僚に対して暴力事件を起こした尾花は逮捕され、“日本人シェフの恥”として料理界から追放されることになる。3年近くパリで堕落した生活を送っていた尾花の目の前に現れたのが、同じ日本人シェフの早見倫子(鈴木京香)だ。料理の腕こそは普通だが、彼女は抜群に優れた舌を持っていた。ミシュランの星が取りたかったと話す倫子に、尾花は一緒に店を開こうと声をかける。「世界一のグランメゾンを作ろう」と。

 

ナッツ混入事件で各地に散らばった仲間を呼び戻し、ミシュランの三ツ星という名のひとつなぎの大秘宝を目指す展開は、さながら『ONE PIECE』のようだ。かつて「エスコフィユ」で尾花と共に働いていた最高のサービスを提供するギャルソン・京野(沢村一樹)、WEBレシピの貴公子・相沢(及川光博)も再集合し、ついに「グランメゾン東京」がオープンする。誰もがすぐさま仲間になるだろうと思っていた尾花大好き祥平(玉森裕太)が、未だに仲間になっていない(グランメゾン東京のメンバーではない)ところがミソだ。対立構造もわかりやすい。「グランメゾン東京」のライバルとなる二ツ星店「gaku」のオーナーシェフ・丹後(尾上菊之助)は、パリ修業時代からの尾花のライバルだ。「gaku」のオーナー・江藤(手塚とおる)も、視聴者の矛先を受け止めるために生まれてきたような胡散臭い関西人で、憎んでくれと言わんばかりにあらゆる罠を仕掛けてくる。

 

主役の木村拓哉からスポットで登場する冨永愛まで、あーこれこれと頷きたくなるキャスティングの良さ。しかし、オーナーシェフとして店を引っ張る倫子を演じるのが、なぜ鈴木京香なのだろうと暫く疑問に思っていた。演技力が足りないとか役に合わないとか、もちろん問題はそこではない。木村拓哉と店を開くパートナーが、なぜ“あえての鈴木京香なのか”ということだ。

 

(でも「ロンバケ以来のキムタク×山口智子の共演!!」という激アツカードは既に他作品で切られてしまっている……)

 

 

見ての通り、当時の私は鈴木京香にしっくりきていない。

早見倫子はそこそこの料理人だが、食べると食材と料理工程が一瞬でわかる“超ド級の能力者”だ。母の死をきっかけに倫子は自分の店を畳み、単身でパリへ渡る。三ツ星レストラン「ランブロワジー」で一から始めようと採用面接を受けるものの、開始早々に言われてしまう。「もうすぐ50歳ですか。やる気のある若い料理人はいくらでもいますよ」。ここでオーナーシェフが「料理に年齢は関係ない」と断言したので救われたが、一緒に並んでいる若い男性料理人たちにニヤニヤされるのを見て辛かった。一番の自信作を披露した倫子は実技テストに落ち、自分に足りないものは何だったのかと「ランブロワジー」に勤めていた尾花の料理を食べにいく。手長エビのエチュベ(蒸し煮)を口にしてなにかを悟った倫子は、涙を流しながら言葉を絞り出すのだ。

 

おいしい。すっごく…おいしい。なんで私には作れないんだろう…。

 

このシーンは、第1話のハイライトと言える名シーンだと思う。本当に良いシーンだけど、余計に胸が痛くなった。鈴木京香は美しい人だ。その彼女が年齢を理由に哂われたり、そう見たくはないのに、彼女の頑張りが空回りに見えてしまうことがイヤだった。尾花と「オジサン」「オバサン」と言い合うのもイヤだ。……こう、もうちょっと、シュッとする方法が、他にあったんじゃないか。どちらかというと、鈴木京香には超クールな女経営者みたい役で関わってほしかったのである。

しかし、抱いていた違和感は物語が進むにつれてなくなる。『グランメゾン東京』は、40~50代のミドル層が再び立ち上がる【Reboot=再起】の物語だった。今作は全世代が力を貰えるエネルギッシュな作品だが、制作陣が特に背中を押したいのが40~50代の“キムタク世代”なのではないだろうか。50歳でゼロから出発しようと立ち上がった早見倫子は、今作の最適なヒロインであり、尾花の最適なパートナーだ。マネージャー側として登場してほしかったなんて恐ろしいほどに見当違いだった。現役のプレイヤーであり続けたいと奮闘する50歳の倫子だから意味があるのだ。

 

私のようにキムタクドラマが好きな人もいれば、苦手な人もいるだろう。木村拓哉が存在する世界の中でもやっぱり木村拓哉は稀な存在のようで、多くの作品は彼を”別格”として扱ってきた。仕事に対しては熱心かつ超一流だが、普段は飄々としていて癖も強い。作品に登場する多くのパンピーたちは、たいてい木村拓哉にヤキモキしている。『グランメゾン東京』も他と同様に、そっち系のキムタクドラマだ。しかし、今までのキムタク作品とは明 ら か に違う点がある。『グランメゾン東京』では、あの木 村 拓 哉 が「頭を打つ」のだ。

例えば第2話。銀行先から融資を受けられない倫子たちは、知名度のあるシェフを勧誘しようと、人気WEB料理研究家として成功を収めた相沢(ミッチー)の料理教室を訪れる。そこで尾花は相沢に即席料理対決を挑むが、まさかの惨敗。尾花が作った超高級じゃがバター(みたいな料理)は、審査員の奥様方から「トリュフなんか使われても家にねーよ」と酷評されてしまうのだ。

 

 

「最高級の料理を作るためには最高級の食材を」がモットーの尾花に対し、「ここは日本。高級食材はもはや敬遠されてると考えた方が良い、時代は変わっているんだ」と現役時代は大きくリードを取っていた相沢から、逆に諭されること。しかしこの一件が、プライドの高い尾花の価値観を大きく変える転機となる。

 

 

キムタクっぽくないドラマを作ろうとしていた昨今に対し、『グランメゾン東京』は王道ど真ん中のキムタクドラマを貫こうとしている。しかしその中で、新たな「木村拓哉」像を打ち出そうとしていることも確かだ。再起を図る尾花夏樹の姿に、今の木村拓哉を勝手に重ねてしまうのは私だけではないと思う。まだ折り返しの第5話だが、私の中では早くも「令和のキムタク代表作」になる予感がしている。大人も子供も、おねーさんも、キムタク好きにも、キムタクアレルギーにも見てほしい。そしてやっぱり今作でも思ってしまうんだ、「グランメゾン東京」がこの町のどこかにあればいいのにって。

 

 

tver.jp

 

明日まで無料配信の第5話、ラストが激アツなのでとりあえず見てください。

 

【2019秋ドラマ】初回感想③俺の話は長い・ニッポンノワール・G線上のあなたと私etc

「ドラマは最初から見たほうが絶対おもしろい!!」を信条にしている私が、各ドラマの初回感想を足早に話します第2弾~!あくまでも初回感想なので、途中から急激に面白くなったら各所でゴリ押ししますね。★3で普通です。

 

放送終了後一週間までは、TVer(https://tver.jp/)などの各配信サイトで無料配信を行っているので、気になる作品はぜひチェックを!しかし今回は既に間に合っていない〜〜くぅぅうううう〜!!!

 

 『俺の話は長い』

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岸辺満(生田斗真)は、喫茶店を営む母、房枝(原田美枝子)に寄生しながら暮らすニート。ある晩、姉の秋葉綾子(小池栄子)が夫の光司(安田顕)とすき焼き用の牛肉を携えて岸辺家にやってくる。今回の訪問の目的は、マイホームの建て替え完成までの3か月間、娘の春海(清原果耶)も加えた家族3人がここで同居する許可を取り付けるためのものだった。

(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★★.5(3.5)

 

『俺の話は長い』は、30分2本立ての珍しい構成だ。私が今のようにドラマを見始めた2017年頃まで遡ってみても、同じような構成で作られたドラマは…ない。

コーヒー屋として起業するも失敗し、ニートとして暮らしている満(生田斗真)と満の家族を描く。満は、一を言ったら十は返ってくるほどの屁理屈屋で、タイトルの『俺の話は長い』はもちろん満のことを表している。日常の何気ない会話から構築されるホームドラマは、このご時世に新鮮ではあるけれど、どこかでみたこともあるような。頭の片隅にある記憶を引き出すために、私は目を閉じた…。

 

 

ちなみに、TLは概ね高評価だった。30分×2本の異色構成は、疲れ切った土曜の夜にちょうど良いし、出演している役者は誰をとっても素晴らしい。生田斗真×清原果耶の絡みマジ尊い。「ながら見できる“ゆるっとしたドラマ”」を見たい人にはおススメしたい作品だ。

一方で私には、これだけのキャスト(生田斗真小池栄子原田美枝子安田顕、清原果耶etc) と脚本家・金子茂樹が組むのなら普通に1時間枠で見たかった……という少し残念な気持ちの方が残った。会話劇として成立してるのかも謎だった。しかし、びっくり。第2回(3話・4話)が思っていたより良かったので、早々に手のひらを返そうか、まだ待つか。今真剣に悩んでいるところだ。

 

ちなみに2話め↓

 

『ニッポンノワール

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生い茂る木々。風が吹きすさぶ森。その中にある一軒の山小屋。うっすらと瞼を開けた男、遊佐清春(賀来賢人)。彼の目に最初に飛び込んできたのは一人の女性刑事:碓氷薫(広末涼子)の亡骸――。そして、自分の右手には拳銃が握られていた。確実に自分が彼女を殺したこの状況。しかし、清春はなぜかここ数ヶ月の記憶が綺麗に吹き飛んだようになくなっていた。(公式HPより引用)

 

初回満足度:★☆☆☆☆ 

 

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↓2話

 

『ブラック校則』

 

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2019年11月1日(金)公開の同名映画のオリジナルストーリーを、Huluと同作で展開する。とある高校で、クラスの空気のような存在の創楽(佐藤)と、お調子者の中弥(高橋)。そんな正反対の2人が、規律を重んじる高校の“ブラック校則”をつぶすために立ち向かう姿を描く。(ザテレビジョンより引用)

 

初回満足度:★★.5(2.5)

 

ジャニーズに詳しくない方はご存じないかもしれないが、あのキラキラアイドルたちも、えっ…と驚くような深夜ドラマに出ている。日テレの「シンドラ」。自他ともに認めるジャニーズ専用枠で、その内容のカオスっぷりには「ジャニーズもこんなドラマ出るんだ…」と衝撃を受けるかもしれません。 というわけで回りくどい言い方をしたけど、シンドラは大抵ひどい。シュールをというものをはき違え、特にヤマもない話が10話も続きます!つら!

 

今回の『ブラック校則』も同じような感じかと思えば、あ、あれ?ちょっとおもしれーじゃん…。

舞台は、とある高校。朝から教師たちが校門の前に立ち、髪型やスカートの丈をああだこうだと厳しくチェックしている。茶髪の希央(モトーラ世理奈)も勿論注意される。黒髪に染めるか、地毛証明書を提出しろと。数日後、希央は似つかわしくない真っ黒な髪で、教室に現れる。「学校の体裁を守るためだけの“生徒いじめ”では?」今の校則に疑問を持った真面目で気の弱い創楽(佐藤勝利)と、おチャラけキャラの中弥(高橋海人)が、ブラック校則を変えるために立ち上がる。

あ、あれ?ちょっとおもしれーじゃん…。しかも、いきなりレジスタンス運動を始めるのではなく、徐々に、ほんと徐々に、ささやかな抵抗を始めていくところにイマドキっぽさとリアリティを感じた。ただ、映画と連動している作品なので、ドラマだけでは完結しないのではないかと懸念だけしている。

 

 

『G線上のあなたと私』

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「ごめん、今になって」「すきな子がいる」と、小暮也映子(波瑠)は寿退社間近に婚約者から婚約破棄を告げられる。放心状態でフラフラと立ち寄ったショッピングモールで「G線上のアリア」の生演奏を耳にしたのをきっかけに、大人のバイオリン教室に通い始める。教室で同じクラスになったのはイマドキの大学生・加瀬理人(中川大志)と主婦の北河幸恵(松下由樹)。人間関係もバイオリンも一筋縄ではいかない3人を取り巻く人間模様と、それぞれの想いが交錯していく…。(公式より引用)

 

初回満足度:★★★★✰

 

ドラマを見たあとに原作を読んで驚いた。ここと、あそこと、ここが合わさって、あの第一話が生まれるの…?そもそもあのシーン、原作になくない?

 

原作は、主人公・也映子の婚約破棄のシーンから始まる。ごめんなさい、なかったことにしてくださいと頭を下げる婚約者に(できるかボケがぁーーーー!!)と呆然する也映子。次のページを捲ると、ぎこちなくバイオリンを弾く也映子たち3人の姿が既に描かれている。

一方ドラマの始まりは、ショッピングモールのイベントスペースだ。後に講師となる眞於のバイオリンの音色に、それぞれ聞き入る也映子たち。也映子は婚約破棄のことを思い出し、幸恵は姑に急かされて席を立ち、理人は切なげな表情で眞於を見つめる。たったわずかなシーンでも、3人を取り巻く事情がすんなりと入ってくるのだ。

 

いくえみ作品は言わずもがな名作揃いだが、原作通りにドラマを始めていたら、もう少し唐突な印象を受けていたと思う。原作を読んだら、より感じる。今作は原作の再構築がめちゃくちゃ上手いのだ。誰だ、こんな脚本を書いた方は!誰か!誰か脚本家を呼んでくれ!と、まるでシェフを呼んでくれ的なテンションでクレジットを覗いた。

 

脚本・安達奈緒子(『透明なゆりかご』、『きのう何食べた?』etc)。

 

ああ、納得……。幸恵の年齢を41→46に上げて、松下由樹をキャスティングしたのもすごく良い。全4巻の漫画で連ドラ実写化なんて無謀だとは思っていたけど、このスタッフならば、たぶん、いや絶対何とかなる気がしてる。欲を言えば『あなたのことはそれほど』を引きずってほしくなかったなーと、思ったり。

 

 

『死役所』

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目を覚ました三樹ミチル(黒島結菜)は、見知らぬ場所にいた。ここはどこなのか?戸惑うミチルに声をかけたのは、総合案内係として働くシ村(松岡昌宏)だった。シ村の言葉で殺されたことを思い出したミチルは、他殺課でイシ間(でんでん)に「どうすればあの女に復讐できるのか」と訴える…。その頃、シ村はベンチに座る中学3年生の鹿野太一(織山尚大)に声をかけていた。シ村は、曲がった脚を見て、自殺課へ連れていく。成仏するには、成仏許可申請書に具体的な自殺理由を書かねばならない。ためらいながらも書き始める太一だったが、自殺の要因となった陰湿ないじめ、無関心な両親など嫌な過去が蘇り錯乱してしまう。(公式より引用)

 

初回満足度:★★★★★

 

Twitterでも書いたけど、「いつかドラマ化したい漫画ランキング」があるならば、必ず『死役所』はランクインすると思う。原作自体がおもしろいし、間違いなく“実写映え”する作品だからだ。特に日テレやテレ朝あたりが狙ってそう。

 

でも結果、テレ東で大正解の初回だった!夜が深くなっての30分という時間帯もかなり効いて、よりおどろおどろしくなっている。松岡昌宏のシ村も世界観を壊していないし、むしろ、かなり不気味だ。ニシ川役の松本まりかも、あのアニメ声が非日常的な台詞によく合っている。シ村やニシ川、死役所の役員たちの過去って…?と今後の視聴欲を搔き立てるラストもすごく良かった。CGには笑ったけど。

 

ドラマをあまり見ない人にあえてドラマを勧めるならば、今期は間違いなく『死役所』を選ぶ。しかしビビリな私は絶対リアタイできない!

 

***

というわけで、だいぶ遅くなりましたが第3弾。今期こそは「.5」を生まないぞー!と思っていたが、優柔不断な私は生んでしまった。それでは皆様、素敵なドラマライフを~!まだまだ続きます!

 

 

【2019秋ドラマ】初回感想②同期のサクラ・4分間のマリーゴールド・時効警察はじめましたetc

「ドラマは最初から見たほうが絶対おもしろい!!」を信条にしている私が、各ドラマの初回感想を足早に話します第2弾~!あくまでも初回感想なので、途中から急激に面白くなったら各所でゴリ押ししますね。今期はいつもより時間に追われています!

 

放送終了後一週間までは、TVer(https://tver.jp/)などの各配信サイトで無料配信を行っているので、気になる作品はぜひチェックを!といっても『同期のサクラ』は本日放送ですね、あちゃー!

 

『同期のサクラ』

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病院のベッドに横たわり、意識の戻らないまま人工呼吸器につながれた女性・北野桜(高畑充希)。知らせを受け彼女の元に駆けつけたのは、携帯にたった4人だけ連絡先が登録されていた会社の同期、百合(橋本愛)、葵(新田真剣佑)、菊夫(竜星涼)、蓮太郎(岡山天音)だった。その10年前の2009年、春―。大手ゼネコン・花村建設の新入社員となったサクラは入社式に急いでいた。(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★☆✰✰

 

脚本家・遊川和彦が手掛ける令和初のテレビドラマが、高畑充希×『過保護のカホコ』チームが再集結した『同期のサクラ』だ。タイトルが「○○の○○(名前)」となっているのも、一風変わった主人公が周りの人たちに影響を与えていく流れも、遊川作品のドドドドドドドドド定番と言える。……私はど~~~~~も『○○妻』以降の遊川作品が苦手で、見るたびに難癖をつけてしまう。(でも『初めまして、愛しています』は良い)今回もフラットな視点を心がけて、一応心がけて、書いていきます!

 

まず、内容自体に新鮮さや真新しさは無かった。主人公のサクラは、超がつくほどマイペースで、おかしいことにはおかしいと声を上げる“忖度”しない性格だ。新入社員のサクラが始めに取り組んだことは、配属先を左右するグループワーク。グループワークでも一切妥協しないサクラに対し、グループのメンバーたちは疲れと不満が募っていき、まさかの発表前日に仲違い!当日になってサクラが不在のまま発表を進めるも、上司に盲点を突かれたメンバーたちが慌てふためいたところに、遅れてサクラが登場する。手にはバージョンアップした橋の模型。最後まで妥協できなかったサクラは、一人で徹夜をし、指摘をカバーする完璧な模型を作り上げてきたのだ。しかしなぜか社長賞に選ばれたのは、めちゃくちゃ手抜きな他グループの作品。誰もがおかしいだろ……と思っていたら、そこへ「なぜあれを選んだのですか?他の作品の方が社長賞に相応しいです」と物申すサクラ。いやいや君ぃ、自分たちのグループが選ばれなかったからって文句を言うのは……と上司の椎名桔平がニヤつくと、サクラ「いえ、私たちではなく○○班(他グループ)こそ社長賞に相応しいと思います」とあ~~~~~~ここまで全部想像つく~~~~~~~!!私は遊川和彦なのか?私が遊川和彦なのか!??(違う)

  

内容はオーソドックスかつベーシックだが、制作陣が注目してほしいのは話の構成の方かもしれない。今作では1話=1年と見立て、サクラと同期たちの10年間を振り返っていくそうだ。なぜ“振り返る”形になっているのかというと、現在のサクラが意識不明の状態で人工呼吸器を繋がれているからだ。うーん、こういうのもねえ…すごく遊川さんらしいんですよねぇ…。『純と愛』のように、ヒロインが最後まで目覚めない展開だけは勘弁してほしい。

 

しかし、なんといっても『同期のサクラ』はキャストが豪華!高畑充希を始め、橋本愛、新真剣佑、竜星涼、えっ岡山天音まで……!?20代の手慣れ勢を、これでもかと言わんばかりに集めている。第一話では「あんたのこと、仲間なんて思っていないから」と吠えた橋本愛がすんばらしかった!というわけで、こんなに言いつつも私は『同期のサクラ』を諦めきれない。頼む、頼むよ遊川さ~~~~~~ん!!!!!!

 

 

『ミリオンジョー』

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千道社 『週刊少年グローリー』編集部・呉井聡市(北山宏光)は、累計発行部数3億冊突破の国民的大ヒット漫画『ミリオンジョー』を担当するマンガ編集者。そして、グローリーで10年以上連載を続け、人気NO.1を走り続けるモンスター級のマンガ『ミリオンジョー』を生み出すのは漫画家の真加田恒夫。極度の人間嫌いで、対面できるのは呉井とチーフアシスタントの寺師のみという変人だ。呉井はたまたま真加田の担当になっただけのやる気も愛情もない編集担当だったが…。締め切り間際のある日、呉井の元に一本の電話が…。(公式HPより引用)

 

初回満足度:★★★☆☆

 

えっ、ドラマParavi枠なのに「もう一つのエピソードはParaviで配信!」とかしないんですか!?それだけで好印象。元漫画家志望の編集者が、担当中の人気漫画を作者不在の中でどうやって支えていくかという話。なぜ作者不在なのか……は、メインビジュアルを見たら御察しですね。続きは気になる。

 

 

『4分間のマリーゴールド

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救急救命士として働く花巻みこと(福士蒼汰)には、手を合わせた人の「死の運命」が視えてしまう特殊な能力があった。最期の様子をビジョンで視てしまった患者に対し、みことはあらゆる手を尽くすのだが、一度視た運命はいつも必ず現実になってしまう。助けたいのに助けられないジレンマを抱えながら、それでも日々救急救命に全力を尽くしていた。(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★☆✰✰

 

 

主人公(福士蒼汰)はなぜか、手を合わせた人の最期が見えてしまう特殊な能力を持つ。しかしなぜ救急救命士といういばらの道へ……!?と頭を抱えていたら、彼が正式に能力を自覚したのは就職後のことらしい。私なら辞めてしまいそう!

全体的に少し歯に浮く感じがしてて、それが原因なのかは不明だが、2000年代前半くらいのノスタルジックな雰囲気を感じる。いいか悪いかではなく、血の繋がりがない“義姉”の描写もすっごく青年誌っぽい。この手の主人公に福士蒼汰はドドドドドドドドド鉄板だけど、悪女を脱却した菜々緒はどうなのか。希望を言うと、菜々緒様にはまだまだ意地の悪い女を演じていてほしい。

 

 

時効警察はじめました』

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 時効になった事件を“趣味”で捜査する男・霧山修一朗(オダギリジョー)はある日、総武警察署の食堂で働く女性から、冷蔵庫に入れっぱなしになっていた遺留品の箱を預かる。それは箱に書かれた「要玲蔵(かなめたまぞう)」という文字を誰かが「要冷蔵」と読み間違え、時効を迎えてから10年にもわたって冷蔵庫に保管していたものだった――。(公式より引用)

 

初回満足度:★★★★✰

 

結婚できない男』と同時期に『時効警察』シリーズを履修した。チープとディープのの狭間を行く、他では作れない唯一無二の作品だと思う。「要玲造(かなめたまぞう)」を「要冷蔵」と間違えるって、どんなセンスをお持ちなのですか…!今回が初見になる方々も、わりと付いていける内容だとは思う。楽しむコツは「考えるな、感じろ」。

変わらないキャストと変わらないテンションの中で、今作から新規投入されたのが、新米刑事の彩雲(吉岡里帆)と鑑識の又来(磯村勇斗)。欲を言うならば、彩雲は又来と同じくらいの比率で事件に関与してほしい……。吉岡里帆の無垢なあざとさが炸裂しちゃってるのよ…新ヒロインポジション来ちゃう?来ちゃう?今回のメインビジュアルが3人横並びなのもすごく気になる。三日月の対抗馬にはならないでほしいなぁと。でも相変わらず、良い感じに岩松了わけわかめなので最高です!

 

 

 ***

というわけで、初回感想第2弾でした!2話以降はTwitterで実況をしています。ぜひ第3弾もお付き合いください~!

【2019秋ドラマ】初回感想①チート・シャーロック・まだ結婚できない男etc

新ドラマが始まる季節になりました。「ドラマは最初から見たほうが絶対おもしろい!!」を信条にしている私が、各ドラマの初回感想を足早に話します。あくまでも初回感想なので、途中から急激に面白くなったら各所でゴリ押ししますね。

放送終了後一週間までは、TVer(https://tver.jp/)などの各配信サイトで無料配信を行っているので、気になる作品はぜひチェックを!

 

『チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~』

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星野沙希(本田翼)は、詐欺師たちを逆に騙し返して悪事をぶった切るスペシャリスト集団「チート」の頭脳。「チート」とは、年々被害件数が増加する特殊詐欺をはじめ、様々な詐欺事件を撲滅するために警視庁捜査二課の刑事・安斎和毅(風間俊介)が創設した秘密の組織だった。(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★☆☆✰✰

 

記念すべき第1作目にもかかわらず、「よくわからなかった」という漠然とした気持ちだけが残った。投げやりなようにも聞こえるが、作品を見た感想で「よくわからなかった」は一番言いたくない。気を入れなおして2回見た。ちょっとイタイ作品なのはわかった。

 

 

詐欺師を題材にしたドラマといえば、フジテレビ『コンフィデンスマンJP』が人気を博し、NHK『詐欺の子』『サギデカ』が圧倒的なクオリティと凄まじいリアリティで視聴者を「ウッ…」と言わせた。どちらかと言うと、今作は『コンフィデンスマンJP』みたいにしたいのだと思う。ダー子達は騙して金をぶん取る側だが、チートはありとあらゆる手を使って詐欺師を懲らしめる側だ。

 

ラストでは、本田翼がことの種明かしをしてくれる。これら全ては詐欺師の皆さんを捕まえるための罠だったんですー!騙されていたのは詐欺師の皆さんの方だったんですー!!全ては繋がっていたんですー!!!と。確かに伏線らしいものは回収していたけれど、「あっあれがこうでそうだったんだー!」と、今まで取り組んでいたパズルのピースがピタッと完成する爽快感はまるでない。積み上げてきたものがひっくり返される驚きもない。な ぜ な の か。3回見ても核心をつけないことが歯がゆい。ただ、これだけはわかる。このドラマ…すごく日テレっぽい……。

 

 

 

 

『リカ』

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花山病院は、看護師補充の面接をしていた。終わり間近に、コツコツと靴音を響かせやってきた女、それがリカだった。28歳と本人が自称する年齢に違和感は抱いたものの、豊富な経験は申し分なく、日本医師協会前会長からの推薦状まで持参したリカに、大矢は思わず「あなたみたいな優秀な方が何故うちに」と尋ねると、リカは嬉しそうに「運命なんです」とつぶやく。(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★☆✰✰

 

東海テレビはヤバイ人が大好きで、定期的にヤバイ人を主人公に置く。今回のヤバイ人の名前はもちろん“リカ”。好きな人と同じ病院に勤めるために推薦書を偽造し、煩わしい患者の呼吸器を勝手に外しては死亡させ、他部署に左遷しようとした婦長を躊躇いもなく階段から突き落とした。しかし、数々のドラマで数多のヤバイ女を見てきた人は思うだろう。ここまでは、他のヤバイ女もしてたじゃん……?

 

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※参考(東海テレビ出身の他のヤバイ女)

リカと他のヤバイ女の違う点は、愛する人と同じくらい"28歳"という年齢に執着していることだ。採用面接を皮切りに、リカは事あるごとに"28歳"を主張する。誰も聞いていないのに主張する。最初は怪しんでいた周りの人たちも、「年齢より落ち着いて見えるるし…」と言うようになってしまうのがリカの恐ろしいところだ。逆に「年齢より落ち着いて見えるよね」と言われたら、つまりはそういうことなのだと肝に銘じておきたい。

 

というわけで、リカがどんなにぶっ飛んだ行動を起こしても、「28歳です」By高岡早紀を超えるインパクトはなかった。土曜の夜、カオスな世界に足を踏み入れたい人はぜひ。正直に言うと、小池徹平が高級レストランで持っていた馬鹿でかいジョッキの方が本編より気になって仕方ない。

 

 

『Re:フォロワー』

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「依頼者の悩みを解決してくれる」という噂がSNS上で広まり、圧倒的フォロワー数を誇る巨大インフルエンサーになった「クレシダ」。リーダー的存在の池永一十三(西銘駿)を中心に、原田優作(塩野瑛久)と鯨岡友木(和田雅成)、城江公人(佐藤流司)ら4人のメンバーが運営している。だが、「クレシダ」の正体を知る者はいない。(公式より引用)

 

初回満足度:★✰✰✰✰

 

いわゆる“2.5次元俳優”が中心のドラマを、地上波でもよく見かけるようになった。今作も既に舞台化が決まっている。ドラマと舞台、両方で楽しめることが売りの一つらしい。ネタバレすると、母親は男子高校生を売春していて、息子(DK)はママ活をしていて、その姿を父親がTwitterで暴露するというのが第一話。文字に起こすとカオスだが、ドラマ自体は薄かった。俳優と既存ファンが地上波で盛り上がることが一番の狙いならば、これはこれでいいのかもしれない。

 

 

『シャーロック』

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誉獅子雄(ディーン・フジオカ)は頭脳明晰で容姿端麗な、犯罪捜査専門のコンサルタント。難事件の捜査を、警視庁捜査一課の警部・江藤礼二(佐々木蔵之介)から特別に依頼され、請け負っている。罪と悪に興味があり、謎解きは彼の生きがいでもある。だが、その性格は難ありで、一般の人が対等に渡り歩けることは、まずない。そんな獅子雄にとって、運命的な出会いを果たす事件が、いま幕を開ける。(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★★☆☆ 

 

シャーロック・ホームズ』シリーズの舞台を現代の東京に移し、大胆にリメイク!ここまで変えてくるとフジ月9『コンフィデンスマンJP』以来5作目ぶりのオリジナル作品、といってもいいのでは?

 

ホームズシリーズは未読なので、あくまでもドラマ単品で。

キャラクター設定は良かった。どこか浮世離れした役のおディーン様は最強だし、岩ちゃんの役も意外としっくりくるし、佐々木蔵之介はさすがの安定感で、ちょいちょい笑わせてくる。今作を見ての一番の収穫は、“ディーン・フジオカ×岩田剛典=思っていたより悪くない”という解が得られたことだ。少しぶつかるんじゃないかと思っていたけど全くぶつからず、バディ感は出ていた。音楽も映像もオサレ。おディーン様の代表作『モンテ・クリスト伯』のパロディも多く、月曜の夜とは思えぬテンションで実況してしまった。

 

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モンテ・クリスト伯』元ネタ

 

いろんな意味で楽しませてはもらったが、肝心の推理ターンは今いっぽ…に感じた。あまり書き込まれていなかった『チート』に対し、『シャーロック』では初心者でもわかるようなTHE伏線を各シーンに散りばめ、一つ一つを丁寧に回収してくれる。けれど、その丁寧さが逆に間延びに繋がった気がするし、そもそも今回の事件だってあんなk「しゃらくせえ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

え?

 

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「しゃらくせえんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

(※ネタバレになるので画像はイメージです)

 

そう。ああだこうだと考えたところに突如襲来するのが、松本まりかの怪演だ。もしあなたが折り返し地点あたりで「今回の月9は微妙だな…」と思ったとしても、その後に物凄い速度でやってくる松本まりかで胸に抱いた微妙な気持ちは秒で忘れてしまうだろう。つまり何が言いたいかというと、『シャーロック』の第一話は松本まりかだけで十分に楽しめる。…しかし残念ながら、松本まりかはゲスト出演だ。延長枠だったから間延びに感じたのか!?初回だからテンション高めにトンチキネタのオンパレードだったのか!?まりかがいなくても楽しめるのか!??作品の真価が問われるのは2週目以降になりそうだ。

 

 

『まだ結婚できない男

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 桑野信介(阿部寛)は腕のいい建築士。ルックスもさることながら収入も人並み以上だが、「メリットがない」という考えから結婚の経験はなく、さらに、偏屈で皮肉屋、プライドが高くこだわりも強いので、恋人を作ることもなく、気楽なシングルライフを送っていた。そんなある日、日課エゴサーチで、桑野を非難している“やっくんのブログ”の検索ランキングの順位が上がっていることに気がつき、桑野は怒りをあらわにしていた(公式HPから引用)

 

初回満足度:★★★★★


前作『結婚できない男』が放送されたのが2006年、私が前作を見終えたのが約一週間前のことだ。

 

 

そう、私は桑野に出会って一週間しか経っていない。なんなら先週会った、という感覚。けれどその私でさえ、その私でさえっ、13年経っても変わらない桑野信介の姿にグッときた。ああ桑野だ、53歳の桑野だ…と。もし私が前作をリアルタイムで見て桑野と同じように13年の月日を過ごしていたならば、感極まって膝から崩れ落ちるかもしれない。前作を見た人にとって、『まだ結婚できない男』は桑野との13年越しの再会の場だったのである。今作が桑野との初遭遇になった人も、初回を見ただけで桑野信介の生態は十二分におわかりいただけただろう。

 

 

桑野は相変わらず偏屈で不器用な生きものだ。さすがの夏美先生もそりゃあ愛想を尽かす。けれど"13年"の時は、確実に桑野へ変化を齎した。シンポジウムでのスピーチは、空白の13年間を埋める、桑野の集大成を感じた印象的なシーンだった。

結婚できない男』が扱うテーマは、時代が変わり、更にデリケートになった気がする。「人間100年時代」桑野信介と制作陣はどんな答えを出すのだろう。あーおもしろかった!

 

 

***

 

というわけで2019秋ドラマ初回感想①でした!『チート』にだいぶ手こずってしまった。2回目以降の感想はTwitterにて!この後もぜひお付き合いくださいー

【なつぞら】134話感想~夏を駆け抜けていった、天陽くんへ~

134話「なつよ、天陽くんにさよならを」

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前回はこちら↓ 

asunako-hakusho.hatenablog.com

 

天陽くんは、常になつの一歩先を歩く人だった。

時々振り返って手を差し伸べてはみるけど、そこから手を繋いで、同じペースで隣を歩く印象はあまりない。天陽くんは、なつが手を引かずとも自分のペースで歩けることを知っているし、何よりも、なつ自身の力を信じているからだ。一方で、なつにとっての天陽くんは“同志”であり、“憧れの人”でもあった。根底にあるものは一緒だけれど、なつが手を伸ばしてみても届かない場所にいた。一歩先を歩く天陽くんは、なつにとっての目標で、眩しく誇らしい存在だったはずだ。

 

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天陽くんが紡ぐ言葉は、繊細で小難しくて、どこか哲学的だった。また、その言葉を吉沢亮という圧倒的な美を持つ俳優が語ることで、より芸術的なものにさせた。でも不思議なことに、彼の言葉に繊細さを感じても“脆さ”は感じない。それは山田天陽が地にしっかりと足をつけた人間で、彼の中に一本の芯が通っていたからだと思う。

 

天陽くんは、自然に逆らうことをしなかった。絵が好きで、自分に絵の才能があっても、家のために十勝に残った。絵描きではなく、泰樹のような“開拓者”を目指した。それは彼が開拓者になりたかったからではなく、家を守るためには天陽くんが開拓者となり、道を切り開いていく必要があったからだ。

なつへの気持ちが恋だと気づいた時も、なつの東京行きを止めはしなかった。「行くなよ」とは言ったけど、賢い天陽くんはなつがどの道を選ぶか分かっていた。なつが東京へ行くことが自然の流れであり、必然だったことも。その後、天陽くんは靖枝と結婚する。開拓農家の娘である靖枝と結婚することも、彼にとっては自然の流れだったのだろう。

 

「俺、ずっと思ってたんです。なっちゃんはいつか、この土地からいなくなる。なっちゃんにとってはそれが自然なことだろうって。自然には逆らえんでしょ」(40話) 

 

宿命は、天陽くんの“好き”をも飲み込んでいく。最初は好きで描き始めた絵も、最終的には絵を描かないと家が回らなくなってしまった、と零す彼の姿が切なく見えた。天陽くんは元々少し早めに歩く人だったけれど、背負っていたものが彼をより急かしたんじゃないか。やっと一息つけた場所が空の上なんて、やっぱり少し酷すぎる。でも彼は抗うことなく、自分の運命を受け入れるように、畑で静かに息を引き取った。

 

「おかしなもんだな。好きな絵を描くために農業をしてたつもりが、絵を売らんと今は農業がままならんようになってしまった」(132話)

 

なつぞら』の幕引きまで、残り一か月。なつだけではなく、天陽くんは私たち視聴者をも置いていってしまった。さすがに週末だろうと思っていたが、週が始まって二日目の火曜日早々に去っていくのも、急ぎ足の天陽くんらしいかも。遺作の絵が完成したのが、せめてもの救いだ。最後は一番好きな天陽くんの台詞をお借りして、私も彼の運命を受け入れたい。

 

「俺にとっての広い世界はベニヤ板だ。そこが俺のキャンバスだ。なにもないキャンバスは広すぎて、そこに向かっていると自分の無力ばかり感じる。けど、そこで生きている自分の価値は、他のどんな価値にも流されない。なっちゃんも道に迷ったときは、自分のキャンバスだけに向かえばいい。そしたらどこにいたって俺となっちゃんは、なにもない広いキャンバスの中でつながっていられる。」(42話)

 

135話以降の感想はTwitterにて更新します(やっとこさアカウント復活しました!)