この間TikTokを見ていたら「万年モテ期の私が男を沼らせる方法を教えます」という動画が流れてきて、つい見てしまった。その答えはなにかというと「男性に対してママのような気持ちで接する」「なんでしてくれないのではなく、これしてくれたの?!ありがとう〜のマインドでいる」というもの。なるほど、理にかなってる。20代半ばくらいだろう女の子が、その境地に至って、それを本当に実現できていることが本当にすごい。
明日菜子どんなTikTokを見てるねん……とツッコんだ方もいるでしょうが、私はふと流れてきたその動画を見て、とあるドラマのキャラクターを思い出した。現在絶賛放送中月9『海のはじまり』に出てくる弥生(有村架純)さんが、まさにそのメソッドを体現したようなお人なのだ。「弥生さん絶対モテるだろうな…」と毎週思っている。平成のモテ女がサエコさんなら、令和のモテ女は弥生さんです。
大学時代に付き合っていた恋人が亡くなったことがきっかけで、自分に子どもがいることが判明した月岡夏(目黒蓮)が、どのようにして父になっていくか、その過程を描く『海のはじまり』。弥生は夏の年上の恋人である。現在進行形で付き合っている彼氏に「実は子どもがいる…」なんて打ち明けられた日には、白目剥いて卒倒しそうなものの、弥生さんはそんな彼を受け入れ、その子の母親になろうと奮闘する。
長編ドラマ3作目にして、こんなにも世間を語らせる生方脚本すっごいなと感じる反面、主人公の夏が典型的な“顔だけ良い男”で「こいつ〜!!」とグーパンしたくなる。しかし鑑賞後にどうしても語りたくなってしまうので、そういう意味ではもうハマっちゃってるんでしょう。村瀬プロデューサーの手の内です。気づけばずっと『海のはじまり』の話をしている。
放送済みの第5話では、いよいよ夏が自分の家族に娘がいることを打ち明けたり、海ちゃん(娘)とお試し生活を始めたりと、徐々に夏が“父”として覚醒することを周りが待つフェーズになったと思う。しかし、血のつながらない恋人の子どもを受け入れようとしている弥生は、たびたび「お前は本当に母親になれるのか?」(いや無理です)という絵踏みをさせられているように見える。大竹しのぶ演じる亡き恋人の母親が、娘の死を受け入れられないのは分かるが、はっきりと娘を引き取ることをいまだ明言していない夏には積極的に父親になるようアシストをするのに、血のつながらない弥生に対しては邪険な態度を取ること、あまりにも血縁史上主義すぎん?と思ってしまう。
ふわふわと夏が漂っている分、全ての業を背負うように見える弥生に対して、同情の声も多い。
けれど、私はそんな弥生を“可哀想なヒロイン”のように捉えたくないのだ。彼女には中絶経験があり、昔の恋人に「これ…俺…(中絶)いつするの?」と散々な対応をされたことも明かされたけど、それでも彼女を可哀想だと思いたくないのは、もしかしたら自分と恋愛思考が似通っているからかもしれない。好きなものに手を伸ばさずにはいられない。好きになったものはしょうがない。弥生さんもきっとそんなタイプの女でしょう???と勝手に共鳴しているのである。(ちなみにこのマインドはアイドルなどが好きなオタク女性にありがちなんじゃないかと推察)。あまりにも口下手で優柔不断で(主語を話さない君はそもそも仕事が出来ているのか?クライアントに対しても大事なことを先延ばしにするのか?夏)でもそんな彼が好きなんだよな、主に顔面が好きなんでしょ、タイプには抗えないよね弥生…!!と私は弥生のイマジナリー女友達となって毎週彼女に声をかけています。
月岡夏さん、周りの友達には「顔が良いだけの男」「主体性はないが大きなマイナスではない」という評価ではあるが、弥生はそんな彼が頑張ってやってくれたことだけを抱きしめながら生きているんだよね…自発的にやってくれることをもう期待してないんだよね…
— 明日菜子 (@asunako_9) 2024年7月30日
弥生は夏のなにがそんなにいいのか?と聞かれたら、顔である。私が弥生の代わりに答えてあげよう、顔である。今のところ顔しか良いところがないので多分そう。大好きな彼と別れて(ちなみに私は稲葉友さんの顔がすごく好き!)、もう恋なんてしない…する資格ない…と思ってた矢先に舞い降りたのが夏だったんだ。そして彼と付き合って、ん?と思うことはたまにあれど、女遊びがすごいとかギャンブル癖があるとか暴力を振るうとか、そんな致命的な欠点ではないからこそ、私がリードすれば良い、私がママになればいいのだと、あのTikTok女子のモテメソッドを弥生さんは地で行っているのだ。
ナタリーの座談会で「ああいうタイプの子は絶対に恋人を離さない」と話したんだけど、文字列だけで見るとあまりに偏見に塗れた発言だったのでさすがに削除してもらったのだが、勝手に弥生はすごく芯のあるヒロインだと思っている。だから可哀想な人として見たくない。カリスマ美容師に髪の毛ツヤッツヤにしてもらって海ちゃんと表参道を闊歩しよう。授業参観に行って「綺麗なママさんね」て言われて心の中でドヤ顔しよう。
何が言いたくて書いた記事なのか自分でもよくわからないけど、『海のはじまり』最新話を見ていてもたってもいられなくなったんだ。こうなったら全てを掴み取れ、弥生。好きな人も好きな人の子どもも全部掴み取ったれーー!!!
【連載】「#ナタリードラマ倶楽部」🏝️
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) 2024年7月30日
明日菜子×綿貫大介が2024年夏クール🌻を語り尽くす!<前編>https://t.co/zIAlhmOLA0#あの子の子ども #笑うマトリョーシカ #降り積もれ孤独な死よ #ブラックペアン #海のはじまり #新宿野戦病院 #ギークス #ビリオンスクール #ひだまりが聴こえる pic.twitter.com/Q153gRIRNW
↑座談会の記事もぜひ読んでください〜