あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

えっ、『グッドワイフ』まだ見てないんですか?

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……えっ『グッドワイフ』の視聴率、低すぎない?

 

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日曜劇場『グッドワイフ』|TBSテレビ

 

現在放送中の『グッドワイフ』。「倍返しだ!」でおなじみの『半沢直樹』や、顔が濃すぎる町工場の社長・阿部寛が活躍する『下町ロケット』を世に出した、日曜劇場の作品だ。日曜劇場は「原作が池井戸潤」か「原作が池井戸潤じゃない」の二つに分かれ、『グッドワイフ』はじゃない方の作品に入る。原作は人気の海外ドラマシリーズで、韓国でもリメイクされた。

新ドラマが始まると、私は初回感想の記事を書くようにしている。『グッドワイフ』は“そこそこ”で、初回感想のほとんどは「常盤貴子かわいい」で埋め尽くされた。ところがどっこい。「そこそこ」だと言った『グッドワイフ』は、いつの間にか私の推し作品になっていた。第2話を見た直後、初回感想でつけた星の5段階評価も躊躇うことなくしれっと足した。そして最初へ戻る。

 

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『グッドワイフ』の視聴率、低すぎない?

 

 

「1話を見逃して見ていなかった」「興味がないから見ていなかった」など、あらゆる理由で“見ていなかった人”に向けて。現在視聴中の皆さんの振り返りにもなれば嬉しい。

 

「でも、結局Paraviとかで最初から見ないとわからないんでしょ?」

 

安心してください、代わりに「Paravi」入りましたよ。

 

※該当の場所にジャンプします! 

主な登場人物

『グッドワイフ』は、「贈収賄疑惑(+不倫)で捕まった夫に代わり、専業主婦だった主人公・杏子が16年ぶりに仕事復帰をし、弁護士として活躍する」話だ。話の主軸は二つ。

 

  • 弁護士・蓮見杏子が受け持つ案件(一話完結)
  • 蓮見壮一郎をめぐる贈収賄事件(一話から続いている)

ここに【蓮見夫妻をめぐる人間関係】が入る。

 

人物相関図|TBSテレビ:日曜劇場『グッドワイフ』

↑とてもキレイな相関図はコチラ!

 

蓮見杏子と関わる人たち

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(汚い字ですみません)

蓮見杏子(常盤貴子)

収賄疑惑で捕まった夫・壮一郎に代わり、16年ぶりに弁護士として仕事復帰する。優秀な弁護士だったが、長年のブランクで雇い先が見つからず、多田の誘いを受け『神山多田法律事務所』で働くことに。収賄事件が明るみになったことで、杏子や家族も被害を被ってしまう。

 

多田征大(小泉孝太郎)

『神山多田法律事務所』の共同代表。頭脳明晰で頼りになる性格。司法修習時代に会った杏子に心惹かれるが、成績優秀だった杏子に見合う男になって想いを伝えようと、ずっと心に秘めていた。

 

円香みちる(水原希子)

パラリーガル。検察内部まであらゆる人脈を持つ、情報収集のプロ。前職は検察事務官で、壮一郎にクビにされた過去を持つ。

 

朝飛光太郎(北村匠海)

自信家の新人弁護士。正式採用の椅子を争う杏子をライバル視している。

 

神山佳恵(賀来千香子)

『神山多田法律事務所』の共同代表。何よりも利益を求めるヤリ手の弁護士。

 

蓮見壮一郎と関わる人たち

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蓮見壮一郎(唐沢寿明)

杏子の夫で、東京地方検察庁特別捜査部の元部長。ある事件の捜査をしていた時、ひとりの女性記者と知り合い、酔って一緒に朝を迎えてしまう。この一件でマスコミが汚職と不倫関係を報じ、職を追われることになった。

 

脇坂博道(吉田鋼太郎)

東京地方検察庁特別捜査部の新部長。検事として優秀な人物だが、二期下の壮一郎の方がより優秀で特捜部長の座を奪われてしまう。壮一郎の脱落を心底願っていた。

 

佐々木達也(滝藤賢一)

東京地方検察庁特別捜査部員。同期内では抜きんでた優秀さで、壮一郎も目をかけていた。

 

遠山亜紀(相武紗季)

毎朝新聞の記者。壮一郎の女性スキャンダルの相手。

 

蓮見壮一郎の事件を振り返る(1-5話)

杏子が受け持つ案件は予備知識がないまま見ても楽しめるので、壮一郎の収賄事件を一話ごとに振り返る。壮一郎への疑惑も二つ。

 

  • トミオカ製鋼からの賄賂疑惑
  • 毎朝新聞記者との不倫疑惑 である。

 

 第1話:家族の裏切り

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杏子の案件(以下同):人気キャスター・日下部への名誉棄損。幼女行方不明事件を取り上げた際に、日下部は「母親が犯人の可能性が高い」と生放送で主張。風評に追い詰められた母親は自殺してしまい、父親が名誉棄損で訴えるべく事務所を訪れた。 

物語は、杏子の憂鬱そうな顔から始まる。テレビで流れているのは、夫・壮一郎の記者会見だ。現在も(六話放送時まで)、壮一郎は「賄賂は受け取っていない、でも不倫(一夜の過ち)はした」スタイルを貫いている。不倫はしてもいいのかと毎回思うが、壮一郎が絶対やっていないと主張するのは収賄疑惑のみだ。

 

第2話:その男、黒か白か

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神山の父・大輔が、酒酔い運転と警察官への公務執行妨害で捕まる。飲酒運転は認めるものの、大輔は公務執行妨害はしていないと主張する。

“結婚記念日に貰ったネックレス”はキーワードの一つ。壮一郎が購入した履歴を見るために、杏子はジュエリーショップに向かう。「個人情報だから」と店員には断らてしまうが、履歴を見ていた店員の指がふと止まる意味深なカットがあった。帰宅した杏子は怒りに震えた表情で、ネックレスの箱を投げつける。現時点でも、ネックレスの謎は明かされていない。

 

第3話:隠された罠

 3話では、杏子が受け持つ案件と壮一郎が初めて交差する。

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2話の最後に、壮一郎が林先生に頼んだ“やってほしいこと”が脱線事故の根回し(林先生が遺族に杏子を紹介し、壮一郎は杏子に事件の真相に繋がるヒントを与えた)。皮肉にも、杏子が壮一郎のことを信じてみようと思った矢先の出来事だった。

壮一郎に利用されたことに気づき、涙する杏子を「もうやめろよ……」と抱きしめる多田。報われそうにない片思いをする多田を、「お前もな……」と抱きしめたくなった瞬間だった。

 

第4話:過去との決別

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高校生が起こした傷害致死事件。容疑者の母親は、かつての杏子の友人。収賄事件が発覚した時、杏子を最初に裏切った人物だった。

4話で登場するのが「イーデンス」という会社。収賄事件はトミオカ製鋼だけの問題ではなく、裏で糸を引く人物がいるのではないかと壮一郎たちは推測する。しかし崖っぷちの脇坂により、壮一郎の起訴はすでに決まってしまった。

なぜか多田が壮一郎の元へ面会に来る。多田も収賄事件に関わっているのかと思いきや、杏子のためを思って、壮一郎に釘を刺しに来ただけだった。壮一郎は頻りに「妻」というワードで多田をけん制。多田も負けじと「僕は蓮見(杏子)を守りますアピール」で対抗し、拘置所の面会室にて恋の火花を散らしていた。

 

第5話:夫婦の条件

5話では、二件の離婚協議が同時に進められる。大物ロックスター・東城と、まさかの脇坂夫妻の離婚協議だ。

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資産20億の大物ロックスター・東城の離婚訴訟。東城は売れない時代からずっと支えてくれた妻・ちなみと別れ、若い恋人と結婚するつもりだと言う。杏子は財産分与などを含め、11億円を請求した。
脱線事故から踏んだり蹴ったりな脇坂。妻からのいきなりの離婚宣告に脇坂は壮一郎の関与を疑うも、今回はノータッチだ。「吉田鋼太郎のパソコンの中に名前が付いたフォルダがある」と聞くと『おっさんずラブ』が頭をよぎるが、壮一郎フォルダにあったのは蓮見家の盗聴データだった。これまた皮肉なことに、脇坂は自分の行いで足元を救われてしまう。

トミオカ製鋼とイーデンスの繋がりに続き、イーデンスと官房長官・南原の繋がりも明らかになる。佐々木は、“ある捜査”に気付いた南原が、捜査を止めるために贈収賄事件をでっちあげたのではないかと推測。“ある捜査”とは何か、第6話で判明する。

 

5話放送終了段階までをまとめると、

  • 壮一郎は保釈
  • 結婚記念日に杏子が貰ったネックレスが“賄賂”かもしれない
  • トミオカ製鋼はイーデンスと繋がっていて、更に糸を引いているのが官房長官・南原?(ある捜査を止めるために南原が仕組んだ)
  • 壮一郎とみちるの過去はまだ不明
  • 壮一郎と記者・遠山の関係性は未だ不透明だが、壮一郎は謝罪している

 

次回の放送は第7話。TVerでの無料配信が終わる前に(23日の20時59分まで)、鳥肌が立つほど美しい杏子が活躍する6話をぜひ、ぜひ見てほしい。

 

グッドワイフ|民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」

 

これまでの壮一郎周辺をまとめた公式動画もあるので、それも貼っておきます。


『グッドワイフ』5分で大解説!! 壮一郎事件の全貌 SPダイジェスト 2/24(日) #7【TBS】

 

最初から貼っとけば良かったのでは?奇遇ですね、私もそう思います。

 

第6話:崖っぷちの選択

(※ネタバレになるので、6話視聴予定の方はここからジャンプしてください)

賠償金15億円を見込める健康被害に対する訴訟。3年にわたり、無料相談を受けてきた多田が満を持して臨む案件だった。しかし、そこにもう一人の弁護士が現れる。車椅子に乗った三栗谷は人づてに聞きつけて、首を突っ込んできたのだ。

 

  • ある捜査:一年前から、壮一郎と佐々木はタレコミをきっかけに南原の汚職を追っていた。【タレコミ:経済特区に選ばれた企業は政府から優遇措置を受ける。南原はその見返りに、イーデンスから莫大な裏金を貰っている】→不正の証拠をつかむ直前に壮一郎が逮捕された。
  • 壮一郎は応援演説をする南原と接触。「例の件で情報提供者が見つかった、これで明らかになります」とカマをかけてみたところ、南原は情報提供者にたどり着けていなさそうだった⇒壮一郎たちはタレコミの情報提供者を探す。
  • 盗聴データで、壮一郎の件は政治絡みだと知った脇坂→南原は脇坂を呼び出し「蓮見の件は有罪にすべき」と告げる(南原と脇坂が会う現場を壮一郎は目撃)
  • 壮一路のスキャンダルの相手・遠山がインタビューを受け、「蓮見とは以前から関係を持っていた」と暴露→自宅にマスコミが殺到する。
  • 隠し事をする壮一郎に見切りをつけた林先生が弁護を辞退。
  • 事態を収束させるために、壮一郎は記者会見を開く。杏子は弁護士として同席する。 

 

グッドマザーでグッドウーマンで“グッドワイフ”な蓮見杏子

今作のタイトルは『グッドワイフ』だが、「グッドマザー」でも「グッドウーマン」でも「グッドガール」でもいけるんじゃないかと思うほど、どこからどう見ても蓮見杏子は完璧な人物だ。

 

若手優秀弁護士だった杏子は結婚を機に家庭に入る。病弱だった息子の為、そして母親の三度の結婚を目の当たりにした杏子自身に、家庭への強い憧れがあったからだ。16年ぶりに仕事復帰をした日、杏子は会議室を間違え、聞きなれない“cloud”という言葉にポカンとする。神山には「多田先生の推薦が無ければ採用していなかった」と初日から釘を刺されてしまうが、杏子の勘は決して衰えていなかった。

第1話では、番組のとある傾向に杏子が気づき、キャスター・日下部が水面下で行っていたことが明らかになる。妻と娘を失い憔悴しきった父親に、「まずは日常生活を取り戻しましょう」と杏子はエールを送った。

「 16年間は弁護士としてはブランクだけど、家事も育児も精一杯やってきたからそれがなんの力にもなってないなんて思わない」(第1話)

女性の働き方について何かと言われるこの時代、家庭を一途に守った16年を、“自分の糧”だと言い切る杏子が眩しかった。優秀な弁護士だった蓮見杏子は、妻となり、母となったことで何十倍もの力をつけて帰ってきたのだ。

 

なぜ今作のタイトルが『グッドワイフ』なのかを、私はずっと考えていた。蓮見杏子は弁護士としても、母としても完璧で、司法修習生時代のように多田と笑いあう姿も美しい。しかし夫・壮一郎との関係性は冷え切っていて、妻として夫を庇ったり、何か行動を起こすことはなかったのだ。

 壮一郎の保釈が決まり、家族4人に戻った第6話。ついに、杏子が壮一郎の件で立ち上がることになる。壮一郎だけではなく、あくまでも家族を守るためだ。

 「あなたが変われないなら、待つのはやめる。中に入って、自分で真実を探す」

「私が決めたの。あなたに選択権はない」

夫のニュースを憂鬱な顔で見ていた第1話の杏子は、そこにいなかった。なぜ『グッドワイフ』にしたのか。 タイトルの意味を漸く理解できた気がする。

 

杏子が生きる世界は、彼女にとって決して優しいものではない。杏子が入ると決めた“中”の世界は、更に理不尽で人の憎悪に溢れている。それでも杏子は強い信念を胸に、曇りない眼差しで真実に立ち向かっていくのだろう。美しき蓮見杏子の勇姿を、一人でも多くの人に見届けてほしい。       

 

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