あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

明日菜子的「このドラマがすごい!2021」

どうも、明日菜子です!みなさま年末いかがお過ごしで…え、年末じゃないの!??

 

去年の年間ベスト記事に「来年こそは余裕を持って更新します!」と書いたはずなんですが、おかしいな。去年はコロナに罹ってしまい(ブログを死に物狂いで書いてるときは風邪だと思っていた)ギリギリになってしまったんですが、今年は普通にスケジュール管理が甘かった。でも大丈夫、私はジャニオタです。ジャニオタには13月という概念があるので。

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さて、今年もドラマを沢山見ました。朝ドラや大河、覚えている限りの単発ドラマを含めて完走したドラマはなんと122本!連ドラは117本。2020年は91本らしいです。私が視聴枠を増やしたのではなく、ドラマ枠そのものが増えたんですよね。2022年が恐ろしい!

 

▼視聴リスト▼

NHK『オリバーな犬、(Gosh‼︎ )このヤロウ』を入れ忘れたので、正しくは117本です。あんなに確認したのに!)

 

年間ベストは毎年うんうん悩みながら書くんですが、先に言っときます。2021年は過去最高くらいに悩みました!2021年はブログを一つも更新しなかったので、ありったけのブログ熱をぶつけます!!(ゴゴゴゴゴゴゴ)

 

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第10位『うきわー友達以上、不倫未満ー』(テレビ東京

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夫の転勤で地方から社宅に引っ越すことになった麻衣子(門脇麦)。新しい土地で新しい生活が始まるはずが、夫(大東俊介)が会社の後輩(蓮佛美沙子)と不倫。孤独を感じる麻衣子は、お隣に住んでいる夫の上司・二葉さん(森山直太朗)の存在に心救われ、ほのかな恋心を抱くようになる。二葉さんの妻(西田尚美)も若い陶芸家(田中樹)の恋人がいて……そう、お気付きでしょうか。ここの登場人物、伝説のトンチキ不倫ドラマ『黄昏流星群』並みに不倫をしているんです!!!!(例えが悪い)

 

今作のなにがすごいって、とにかくドラマ作りが上手い…!『チェリまほ』も好評だった風間太樹監督率いる演出、『アライブ がん専門医のカルテ』の倉光泰子脚本、そして信頼のテレ東ドラマ班…ド、ドラマ作るのが上手すぎるとしか言いようがない……!野村宗弘氏のWEBコミックが原作なんですが、台詞はあまり多くないんですね。

ドラマも他の半分くらいしか台詞がないと思う。なのに1時間があっという間。大きな事件が毎回起きるわけではないのに(世の中的には事件でもなんでもないのに、パートと家が世界の中心である麻衣子にとっては、一つ一つが大きな出来事なのがこれまた切ないのですけど)時間があっという間。台詞がなくとも麻衣子や二葉さんの気持ちが伝わる映像演出の数々が本当に素晴らしく、役者陣も最高です。演技力おばけが揃う中、やっぱり主人公は門脇麦なんだなと思わせる彼女の求心力の高さがすごかった。

最終回、サレ者同士だった麻衣子と二葉さんはそれぞれの選択をする。もう二度と会うことはないのだろう。それでも、麻衣子は二葉さんへの気持ちを宝物のように抱きしめながら生きていくのかもしれないと、三浦透子『通過点』を聞きながらゆらゆらと考えた。


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名曲!

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第9位『半径5メートル』(NHK

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世間を揺るがす大スクープを扱う一折班で大失敗した風未香(芳根京子)は、読者の“半径5メートル以内”にある身近な話題を扱う二折班に異動することに。今までとは全く違う二折班でのハウツーを、名物ライターの宝子(永作博美)から学ぶ。「○○くらい作れおじさん」や断捨離、ワンオペ問題など今作が扱う話題はとにかく広くてキャッチー。普段何気なく見過ごしていたことを考える機会を与えてくれる。

 

  • マイベスト回:第4話「なりすましにご用心」

女性として生きていきたかったカオリンは、カミングアウト後に離婚。娘とも会わず状態だったが、高校生になった娘とSNSを通じて交流を重ねている。しかし自分の正体は明かさず、あくまでも「25才のOL・松ぼっくりさん」として娘の相談相手になっていた。その事情を知ったふーみんが代わりに娘に会いに行く……という流れなんですが、話の空気感がとびきり澄んでいて大好きな回。なによりも北村有起哉が上手すぎる。映画『ヤクザと家族』や『ムショぼけ』とヤクザな北村有起哉を摂取した2021年だったが、180度違うカオリンの姿にひっくり返った。『アンナチュラル』の下品な記者の印象が強い方が見たら、泡吹いて倒れるんじゃないでしょうか。本当にすごい役者さんです。

 

(別回ですがこちらも印象的)

メディアを担ぐ者としての矜持が芽生え、成長していくふーみんや軽やかな宝子さん。登場する女性たちと作品自体から感じるしなやかさがとても美しくて好きだった。『今ここにある危機とぼくの好感度』(名作!)や『ここは今から倫理です。』(名作!)もだけれど、NHKドラマは考えつづけることの大切さを世の中に訴えつづけているような気がします。

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第8位『ハコヅメ』(日本テレビ

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あらゆるハラスメントに屈しないクールビューティー・藤さん(戸田恵梨香)と真面目が取り柄のポワポワ系新人・川合(永野芽郁)が現代日本を守りま〜す!そう、二人はハコヅメ!というわけで、第8位はみんな大好き『ハコヅメ』です。今作は、回を重ねるごとにキャラクターたちへの愛が募り、全てが可愛く見えてしまう沼コンテンツ。私の中のマイキーが「ハコヅメ嫌いなやつ、いる!!?いねえよなぁ!!?」と叫んでる。

 

『ハコヅメ』を一言で表すならば“イマドキ”。藤さんの川合への教育方針や二人の距離感、問題提起に対してのアンサーや主題歌も含めて全てがイマっぽい!土台となる原作の軸がかなりしっかりしており、世間に伝えたい明確なテーマがありながらも説教くさくならない。だけど、見終わった後に考えさせられる。この絶妙な塩梅がイマっぽい。日テレドラマのライトな作風とも相性が良かった。

改めて戸田恵梨香の魅力に「恵梨香様…!」とクラクラした方も多いと思うんですけど、それと同時に永野芽郁ちゃんの特別感に気付いた方も多いのではないでしょうか……。永野芽郁ちゃんすごく特別じゃないですか……。あの天真爛漫な川合に対して、マイナスな感情を持たせることなく、ただただ「かわいい」と「いとおしい」の感情に昇華できたのは誰でも出来ることではない。永野芽郁の特性が川合というキャラにどハマりしてた。仲良しのバーのマスターと『ハコヅメ』の話をしてたときに「永野芽郁綾瀬はるかコースにいってるよね、そういう売り出し方だよね」と言っててあまりにも合点がいったので、「万が一永野芽郁関連コラムの依頼が来たらその説まんま使うね!!!」と堂々パクリ宣言しときました。

なんか出てる

 

藤さんと河合の上司役がムロツヨシで、放送前はなんと安易なキャスティング…と思っていたけど、放送を見ると安易なのは私だ!!!と机に頭ガン。三浦翔平も山田裕貴も基本変なキャラクターだったけど、ここぞな時に芝居の上手さが出てました。日テレ的にも余力を残しての最終回だったように思うので、また帰ってきてほしい!ハコヅメ、待ってるね〜!!!!!!

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第7位『岸辺露伴は動かない』(2作目)

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去年から年末の定番となった高橋一生主演NHKスペシャルドラマ『岸辺露伴は動かない』。私は今作のせいで二年連続頭を抱えている。なぜならば、それまでにTOP10候補を決めていたとしても、年末ギリギリに放送される岸辺露伴が入ってきてしまうからどうしても一作削らないといけない。今年も露伴のために一作削ったよ……。

去年の私、夢かなったな!

 

皆んなお馴染みそして私は全く読んだことがない『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ、『岸辺露伴は動かない』を特撮アニメのヒットメーカー・小林靖子脚本で実写化。クセの強い漫画家・岸辺露伴が漫画のネタを求め、さまざまな怪奇現象に身を投じていく。原作未読なのでこの薦め方があってるかは分からないが、『世にも奇妙な物語』系統の話が好きな人は好みだと思う。

 

原作勢も絶賛の再構築力、あの独特な世界観に相応しい映像の美しさ。そして今回改めて感じたのは、岸辺露伴を演じる高橋一生がとにかくす ご い!!この空白で伝わるだろうか、す   ご   い!!!!特に第5話『背中の正面』のゲスト・市川猿之助との対峙が最高に痺れました。歌舞伎レベルの迫力で攻める猿之助、さらにその上を行く高橋一生、あれは本当にすごいものを見た。『カルテット』や『おんな城主直虎』など数々の代表作がありますが、2021年12月現時点の高橋一生の最高傑作は間違いなく『岸辺露伴は動かない』第5話。

 

第6話のメインゲスト・内田理央も良かった。間男の渡辺大地を誤って殺しちゃうんですが、そこから内田理央劇場。画面がモノクロになったら幕開けのサインです。また帰ってきてくれるだろう露伴のために、来年は選ぶのを最初から9作だけにしようかな。

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第6位『おちょやん』(NHK

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年間ベスト記事を何度か更新する中で、半年の朝ドラや一年にわたる大河ドラマは絶対ランキング内に入れないぞと心に決めていたのだが(ますます優柔不断が加速するし比較が難しい)、クールベストならまだしも年間ベストなら入れるべきでは……?とふと思ったので、今年から対象作品に入れました。長編ドラマだらけになってしまったらあれなんですが、一作はいれようかなと。

 

というわけで、マイベスト10に入ったのは朝ドラ『おちょやん』!『おかえりモネ』や『青天を衝け』も素晴らしく、今年はNHKドラマが全体的に豊作で甲乙つけ難いのですが、私は芸能や才能の話がものすごく好きなんです。(早くあまちゃんを見ろと言われた)なので喜劇女優・浪花千栄子の生涯をモデルにした『おちょやん』が特に好みだった。杉咲花も清原果耶も今か今かと朝ドラヒロインを待ち侘びていた人たちですが、どちらもなるべくしてなったといいますか、彼女たちの看板に相応しい作品が来たと思います。

 

『おちょやん』に関してはテルヲも一平もこんにゃろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!と思うことばかりで(特にテルヲに関しては中の人のことを一切忘れて生理的に無理なレベル)、ベースはあれど、あの決着の仕方が良かったか?と聞かれたら頭を抱えるんですが、最後の最後の回収があまりにも美しかった。この後にランクインしてる某作品を見た方はお分かりだと思いますが、そう……私はああいうメタ話が好きなんです……。千代の人生は円満ではなかったかもしれないけど、傷つけられた過去に赦しを与えられたことが彼女にとっては大きかったんじゃないかとも思う。そして杉咲花がめちゃくちゃ上手い。日本の映画界に大きく貢献している成田凌が国民的ドラマで大きな役を託されたのも嬉しかったです、どクズでしたけども。

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第5位『その女、ジルバ』(フジテレビ)

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百貨店の販売員から“姥捨山”と揶揄される工場勤務へ出向して早数年……金ナシ男ナシで40歳を迎えた新(池脇千鶴)は、ひょんなキッカケで熟女BAR「OLDJACK &ROSE」のホステスとして働きはじめる。

 

まず『その女、ジルバ』でなにが嬉しかったって、女優・池脇千鶴のテレビドラマ復帰ですよ。なんとTBSドラマ『ごめん、愛してる』以来4年ぶり、連続ドラマの主演は9年ぶり!やったーーーーーーーー!!!!!!!!!

↑やったー!!!!とツイートしつづけたらかファンの一人として呼んでいただきました。やったー!!!!

 

今年40歳を迎えた池脇千鶴ですが、『ジルバ』レギュラー陣の中では最年少座長。というのも、「OLDJACK &ROSE」のホステスたちは平均年齢70歳以上なのです。あえて年齢を書くと、草笛光子(88)中田喜子(68)草村礼子(81)久本雅美(63)、そしてマスター役の品川徹(86)……!縁側でのほほんとお茶を飲んでいたり、(失礼ながら)ベッドに横たわっている役どころが多い中、『ジルバ』ではカラフルなドレスやタキシードに身を包んで踊ったりと超パワフルなのです。

役を越えて役者本人の生きてきた重みを感じるシーンも多かった。ダメ男に引っかかった中田喜子に「やめなさい」と止める草笛光子に思わず、「ね、年輪……!」と仰け反るくらいに印象的。

『その女、ジルバ』はまさに人生讃歌の物語。誰もが一度は感じる年齢の呪縛を解くのは、「そんな風に見えないよ」や「まだまだ若いよ」の言葉ではなく、先輩たちが逞しく生きている姿なのかもしれません。主役の池脇千鶴だけでなく、大御所ベテラン役者たちの新たな代表作が生まれる瞬間に立ち会えたことも嬉しかった。

 

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第4位『俺の家の話』

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プロレスラー・ブリザード寿として活躍していた寿一(長瀬智也)は、離婚や怪我などが重なり、肉体的にも精神的にも崖っぷち状態に。ある日、のちに人間国宝となる能楽師の父・寿三郎(西田敏行)が倒れたことをキッカケに、寿一はレスラーを引退し、25年ぶりに家へ戻る決意をする。

 

長瀬智也の芸能界引退……それは2021年の芸能史に残る重すぎる一ページ。2021年の芸能界を振り返るに彼を思わずにはいられないと同時に、長瀬智也最後の主演作『俺の家の話』も挙げずにはいられません!宮藤官九郎をはじめとする仲間たちが、長瀬智也の集大成として用意した花道が『俺の家の話』なのです。

あまりにも今作が請け負うテーマが複合的なので割愛するけど、大河ドラマ『いだてん』をやりきった宮藤官九郎が描く物語が、さらに間口が広がっていたことに驚いた。個の「家」の話としながらも、どの人どの世代も置いてけぼりにしない物語だったように思います。でも、最後の最後は長瀬智也一人に向けられていました。粋だなぁ。

現段階における長瀬智也の最終作品が『俺の家の話』であることに全く異論はないけど、ラストステージが潤 沢になってしまったのは本当にええんか……?!と今でも思っています。

 

宮藤官九郎が脚本家としてさらなるフェーズに入ったことを感じた『俺の家の話』ですが、寿一の弟役・永山絢斗にも同じことを思いました。

長州力が毎回ベストアクトをキメていたことを私は孫の代まで語り継ぎたい!

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第3位『生きるとか、死ぬとか、父親とか』(テレビ東京

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ラジオ『トッキーとヒトトキ』ではコラムニスト・トキコ(吉田羊)のお悩み相談が大好評。独自のワードセンスでリスナーの心を軽やかにするトキコだが、彼女自身も実の父親(國村隼)との関係に悩んでいた。『俺の家の話』のあとに『生きるとは~』が放送された当時、なんか因果関係みたいなものを感じずにはいられなかった。こちらも父と娘の愛憎を描く「私の家の話」なのです。

 

『生きるとか〜』は、トキコのラジオコーナーから始まり、父とのエピソードを絡めながらトキコの日常を描いていく。ジェン・スー氏の自著伝をベースにしたドラマなのだけど、トッキーさんもといジェン・スー氏の言葉選びが素晴らしい。たった一人のリスナーに向けた言葉に、画面を通して何度も救われた。だけど、そんな彼女も”完璧”ではないし、彼女だけが”正解”ではないと作品内で示していることも良かった。演じる吉田羊もこれまた超がつくほどのハマり役!

『生きるとか〜』もドラマ作るのがすっごく上手い。山戸結希演出×井土紀州脚本といえば映画『溺れるナイフ』ですが、映像演出がすごく斬新。若いトキコを演じた松岡茉優のファーストシーンなんてほんの一瞬なのにガツーンと引き込まれる。今作は吉田羊も田中みな実もベストアクト級に最高なんだけど、松岡茉優がね~これまた良いんですよ~。第11話「不在とか、崩壊とか」の松岡茉優なんて特に忘れられないです。

 

トキコさんの爽快なお悩み相談にまつわるアレコレがメインかと思いきや、亡き母親についてのエッセイ執筆依頼を機に、父親との関係を一気に煮詰めていく。あえて蓋をしていたものを一つ一つ紐解いていく作業はひどく苦しいけれど、トッキーさんのように対峙しなくちゃならない瞬間は、誰の人生にも訪れるのかもしれない。

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▼現時点でアマプラでも見れます!

 

第2位『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK

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ブログが放送中に間に合わなかったドラマ『のほほん』の感想をここで書き切って、2021年の私は成仏する。

 

Twitterとかでドラマの感想を書いてると、有難いことに「次クールで楽しみなドラマはなんですか?」と聞いてくれる人がいるのだが、超チキンな私は吟味に吟味を重ねた上で「で、でも実際みないと分からないんですがね!」と予防線を張ってお答えしていた。ドラマ鑑賞は時間も労力も使うからです。

しかし上のツイートの通り、ドラマ『のほほん』に関しては割と早い段階で楽しみだと書いていた。キャストも原作もNHK制作なのも堅かったし、なによりも「脚本:ふじきみつ彦」。私はこれでイケると確信した。ふじきみつ彦脚本といえば、『バイプレイヤーズ』シリーズや『デザイナー渋井直人の休日』(2019年第7位)などなど……。そう、いまやお茶の間の人気者となったシンデレラおばさん(シンデレラおじさんは錦鯉らしい)こと阿佐谷姉妹の日常を描くに、ふじきみつ彦以上の適任はいないのです!!!

 

深夜一時の阿佐ヶ谷。コタツ越しに見えるみほさんは、かすかにいびきをかきながら眠っています。みほさんは、普段も静かで、いびきも静かです。

ー6畳1間の布団事情(エリコ)

しかし、姉はふたり暮らしを始めてこのかた1人になりたがるそぶりをまったく見せたことがないのです。私が1人になりたがると、なんだか寂しそうな顔をするのです。

いや、おかしいでしょう。家でも一緒、移動も一緒、仕事も一緒、帰りも一緒なのにですよ!絶対おかしい!何かあるんじゃないの?

ー姉よ、そんなに私が好きなのか(ミホ)

 

原作を読んだのでちょっと見てほしい。芸能人が背筋を正してパソコンをカチカチ響かせながら書いた文章を読む、というより「阿佐谷姉妹それぞれの話をステレオスピーカーで聞いている」気分になってはきませんか?こんな感じで江里子さん美穂さん江里子さん美穂さんとリレー形式で続くエッセイを、あんなにも上手く30分のドラマにまとめるなんて天才すぎやしませんか??構成も含めて上手すぎる。ドラマ作るのが上手すぎる!!!!!

実在する阿佐谷姉妹の物語にあえて〝フィクション〟というフィルターを挟んだのも良かった。おそらく阿佐ヶ谷姉妹本人が演じる選択肢もあったろうけど、女優二人が演じたからこそ心置きなく“作品”として楽しむことが出来たのだと思う。少なくとも私はそうだ。阿佐ヶ谷姉妹の関係性ってすごくイマドキで、疑似家族だったりシスターフッドだったりいろんなストーリーを付けたくなってしまうのだけど、一方で彼女たちに理想や希望を押し付けすぎているような気持ちになることもあって。考えすぎかもしれないけれど、そういう心配や懸念を取っ払って思う存分楽しませてくれたのがドラマ『のほほん』だった。

なによりも阿佐ヶ谷姉妹本人たちへのリスペクトに溢れたドラマ『のほほん』は、ピンクの衣装に負けないくらい華やかなエンドロールで幕を閉じる。研ナオコも宇崎竜童も良かったなぁ。まさに「ライフ・イズ・ビューティフル!」と叫びたくなる2021年の傑作。

 

▼言わずもがな原作も超面白いです。阿佐ヶ谷姉妹の解像度がますます上がる▼

ふじきみつ彦神をはじめ、創造神たちの裏話も超面白い▼

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第一位:お耳に合いましたら。(テレビ東京

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漬物会社勤務のOL・美園(伊藤万理華)は、尊敬するラジオパーソナリティーの一人・吉田照美が「好きの感情を言語化して誰かに伝えないと、好きが死んでしまう」と聞いて大ショック!喋り下手を克服するため、そして自分の“好き”を見失わないために、大好きなチェン飯(チェーン店グルメ)を語るPodcast番組『お耳に合いましたら。』を始める。

 

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2021年悩むに悩んだベスト10……けど『お耳』を一位にすることだけは決めていた!『お耳』はPodcastをはじめた美園の成長物語であり、大人たちの第二の青春物語であり、Spotify協賛のPodcast布教ドラマであり、そもそもグルメドラマなんです。

 

グルメドラマは、①実際のお店に訪れて美味い美味いと飯を食うパターン(『孤独のグルメ』シリーズ等)②主人公が料理するパターン(『きのう何たべた?』や『ホメられたい僕の妄想ごはん』等)に超ざっくり分かれると思うんですが、『お耳』は前者。基本的には首都圏中心のお話だったグルメドラマを、幅広く展開するチェーン店をテーマにすることで、どこに住む人も共感できる、足を伸ばせる身近な物語にしたところがジャンル的にも新しい。Podcast布教(周知)の面からみても上手くて、「手探り状態で音声配信を始めたなんの活動者でもない普通の子が、自分の内にある“好き”を発信しつづけて、いつしか誰かの特別になる」なんて美しすぎやしませんか。美園の活動理由である「トーク力向上のため」のフックも上手いなぁと思いました。ラジオのレジェンドパーソナリティたちが美園にそっと言葉を送る演出も、テレビでもネットでもなく”ラジオだけ”の特異性が上手く出てた。

 

こうやってストーリー以前の構造の話をすると結局「ドラマ作りが上手い」に着地してしまうんですが、なによりも『お耳』は美園・亜里沙井桁弘恵)・佐々木(鈴木仁)の漬物会社トリオが可愛い〜!亜里沙Podcastを薦めた友人で、ただのメカオタクな佐々木は『お耳』配信プロジェクトに巻き込まれただけなんですが、愛でも恋でもなく肩を並べる感じがめちゃくちゃイマドキっぽ~!令和っぽ~!となって超微笑ましい。学生時代を過ぎても、社会人になっても、あらゆる組織のしがらみに揉まれた大人にも青春はあることを提示してくれる『お耳』の優しい世界は、荒れ狂う現代社会を生き抜く大人たちのオアシスなのです。

 

  • マイベスト回:第8話「青春は、すっぱいぞ」銀だこ回

美園は会社のとあるプロジェクトに賛同するメンバーを集めるも、佐々木以外は全く共通点のない人たちばかり。「青春」がプレゼンの鍵を握るという結論になった一同は、美園の『お耳』で各々学生時代の話をするものの、いわゆる陰キャ側だった4人からはキラキラしたエピソードが出てこない……!一見寂しい回ですが、でも今の方が楽しくないですか?大人最高じゃないですか?と4人は超元気になっていきます。美園が「ああ、私たちあの頃みんな一人ぼっちだったんですね」とふと漏らした一言がすごく好きで、『お耳』らしさがよく出ていた回だなぁと思う。

 

お金持ちのお屋敷に勤める・シェフ(山崎樹範)が”お持ち帰りなら+1枚半額”のドミノピザ施策に対して「どういう商売してんだ……!」と真顔でいうのも好き。それな

 

井桁弘恵も鈴木仁(『消えた初恋』見てた人はぜひ見てほしい)も2022年は間違いなく飛躍の年になると思うのですが、私は女優・伊藤万理華の生涯にわたる代表作が生まれたことが嬉しかった。伊藤万理華×『お耳』松本壮史監督といえば、2021年映画『サマーフィルムにのって』も彼女らしさ全開で、伊藤万理華の強みを熟知されておる……。

キャスト、テーマ、演出、物語、音楽、そして何度も繰り返し見たくなるエンディングも含めて総合第一位!2021年一番大好きなドラマです!

 

▼現時点でアマプラで見れます▼

 

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というわけで、ベスト10ありがとうございました!あくまでも私の「好き」と「見てほしい」を基準に決めたランキングですが、『恋です!~ヤンキーくんと白状ガール~』『今ここにある危機とぼくの好感度について』『コントが始まる』『きれいのくに』『大豆田とわ子と三人の元夫』『天国と地獄』などが入らなかったのは自分でも意外でした(いつも二択サイトにぶち込んで決めるので…)『恋です!』や『ここぼく』もだけど、『夢中さ、きみに。』は深夜帯で見ている人が少ないので特に入れたかったんだけどなぁ……。

和山やま作品を実写化するならば『夢中さ、きみに。』スタッフでお願いします。先に見せた友人にはなんで『消えた初恋』入ってないんだよおおおおと言われました、ほんとだよね。上半期が特に激戦だった……。

 

全体的には、コロナの描写が減ったというか「マスクつけるかつけないか」論争が制作サイドの皆さんの中でも落ち着いたような。一昨年の方がリアリティーライン保てないんじゃないかと、とりあえずマスク着けた方がいいんじゃないか的なムードを制作側が葛藤しているように思っていたんですが、「描きたいテーマに準じる」みたいな指針が制作側にも視聴者側にもしっかりと芽生えた気がします。ベスト10には2作しか入ってないんだけど、オリジナル作品もすごく豊作でした!

 

▼毎年恒例▼

(『恋はDeepに!』の「体温は低め、好きな食べ物はワカメ!」by綾野剛を失念しておりました。2022年もトンチキ精進します)

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今年は……ではなくて、2021年もたくさんドラマ見ました。残念ながら2021年もフジテレビ批評にお呼ばれすることはなかったんですが(しくしく)、ドラマ感想の音声配信をしたりと準備はしておりますとも、ええ。寄稿させていただく媒体さんが増えたり、恐縮ながら記事にコメントさせていただいたりと新しいことにもチャレンジさせていただいた一年で、明日菜子的にはかなり充実した年でした。ありがとうございます。

 

 

そして明日菜子的2021年ビッグイベントといえば、劇場版『ルパンの娘』の応援コメントを書かせていただいたことです!過去シリーズの出演者の方々、エンタメ有識者の皆々様、映画泥棒さんからちぃたん☆さん…そして同じ並びに明日菜子……!本当にありがとうございます!!リアルサウンドさんで『ウチカレ』の記事を書かせていただいたんですが、北川悦吏子大先生に見ていただけたのも生涯にわたる思い出です!!

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2022年は楽しく、そして健康に気をつけながらドラマを見ていきたいです。あと気軽にブログを更新したいですね。長々とありがとうございました。みなさま今年もドラマ楽しみましょう!よろしくお願いしまーす!

寄稿記事など

ブログを飛び出して執筆する機会を頂きました。ありがとうございます。

お問い合わせはメールまたはDMでお願いします。

 

※ドラマ本編が始まる前の記事は書けません。ご了承いただけますと幸いです。

 

◆2020年◆

 

 

 

 

 

◆2021年◆

 

2021年ジャニーズ部門第三位頂きました!

 

 

realsound.jp

 

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な、なんと劇場版『ルパンの娘』にドラマウォッチャーとしてコメントさせていただきました…!光栄すぎます!

『劇場版 ルパンの娘』絶賛コメント続々!!

◆2022年◆

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◆2023年◆

bunshun.jp

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woman.mynavi.jp

bunshun.jp

bunshun.jp

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↑『真夏のシンデレラ』はまさかの寄稿依頼被りが発生しました。トンチキハプニング!

bunshun.jp

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試写会感想

コメント掲載

(素敵な記事にコメントさせていただいております!)

 

 

 

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▼TVログ▼

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明日菜子的「このドラマがすごい!2020」

今年も一年お疲れ様でした!毎年更新頻度が落ちているブログですが、年間ベストだけはブログで書こうと決めている明日菜子です。

 

2020年に完走したドラマは91本!それに加え。単発ドラマ十数本、朝ドラ2本(『スカーレット』&『エール』)になります。1クールを超える朝ドラと大河ドラマはランキング対象外にしていますが、『スカーレット』がマイベスト朝ドラにランクインするほど好きな作品になりました。『麒麟がくる』もすごく楽しく見ています。今回もランキング作成ツールさんにお世話になりました。どうぞ今年もお付き合いください!

 

第10位『17.3 about a sex』(abema)

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”17.3”この数字は、初体験の世界平均年齢にあたるらしい。17歳を迎えた咲良たちは、あることをきっかけに”自分の身体”や”性”について考えるようになる。なぜ高校生はセックスをしたらいけないの?人を好きになれない私は異常?正解がない問いかけに対して”一つの答え”を提示する今作の姿勢は、とても真摯に映りました。abemaというプラットフォームも、このセンシティブなテーマを扱うのに相応しい場所だった。高校生の自分がどうやって”そういう知識”を得たのか覚えてすらいないけど、もし高校生の頃に『17.3 about a sex』のようなドラマに出会えていたら、とても心強かったと思います。

 

  

programnews.abema.tv

 

第9位『ルパンの娘』(フジテレビ)

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2019年版は惜しくも(?)ランクインを逃しましたが、2020年バージョンは堂々の9位に!前作を見ていた方は分かってくださると思いますが、「続編の方がおもしろい」という稀有なパターンになりました。前作のようなマンネリ化を防ぐべく、怒涛のテンポ感で展開されるストーリー構成は見事!メインテーマだと思っていた華の妊娠出産は2話で終わり、6年の月日も秒で流れていきましたが、主要キャラの老化問題にはきちんと言及する。そんな”ちゃっかり感”がドラマ版『ルパンの娘』の好きなところでもあります。円城寺のスピンオフをテレビドラマで見せてくれるところにも、視聴者への愛を感じました。映画化をきっかけに多くの人が見てくれたらいいな~と思います。

 

 

www.fujitv.co.jp

 

第8位『捨ててよ、安達さん』(テレビ東京)

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なかなか”モノ”を捨てられない安達さんのもとへ舞い込んできた断捨離企画。安達さんが断捨離した”モノ”が擬人化した姿が夢に現れ、彼らを通して自分自身と向き合うことになります。コミカルなエピソードもあれば、安達さんのプライベートにかなり立ち入ったエピソードもあり。第4話の片桐はいりゲスト回からハマり、回を重ねるごとに夢中になりました。女優・安達祐実だからこそ、今の安達祐実だからこそ実現できたのだと思います。

 

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

 

第7位『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京)

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私がいつものようにテレビドラマを見ている間に、巷ではタイのBLドラマが流行っていたそうな。同じような感じ?と知人に聞いたら、「本丸が現れたと盛り上がっている」と言われました。どんだけ凄いのだ”チェリまほ”……!

 

「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」この都市伝説の通り、30歳を迎えた安達は触れた人の心が読めるようになってしまう。そして同僚・黒沢の恋心をも知ることに…!赤楚くんのモサっとした感じや町田啓太のシュッとした感じ……もの凄く……王道BLのそれっぽくないですか……?好きな女性を腐女子と呼ぶように、今も昔も“BL”はニッチなジャンルだと私は思っています。そのドラマ版『チェリまほ』が本来のターゲット層を超え、多くの人に愛された理由の一つに「安達の成長物語に重きを置いたから」ってのがあるんじゃないかなと。先述した「安達さん」同様、映像もめちゃくちゃ綺麗でした。ドラマ版オリジナルエピソードも見事で安達の優しさが仕事の成果となって表れた社内コンペも良かったし、優しさが溢れこぼれた最終回はただただ“尊い”の一言に尽きる…!

 

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

第6位『岸部露伴は動かない』(NHK)

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www.nhk.jp

 

30日まで放送されていたドラマがここに来てランクイン!それほどにね、良かったんですよ。『HUNTER×HUNTER』どころか実は『ジョジョ』も読んだことないのです、私。それでも十分に楽しめた、というかすっっっごく面白い。高橋一生が持つ"イロモノ"感が絶妙にマッチしていて、気づけば作品が持つ独特の世界観にすんなり入っておりました。数々のドラマで癖ある女を演じてきた飯豊まりえも丁度いい賑やかし。NHKには金田一シリーズのようなシリーズ化を希望します……!

 

 

www.nhk.jp

 

第5位『#リモラブ~普通の恋は邪道~』(日テレ)

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2020年と切っても切り離せないのが「新型コロナ」。エンタメ業界も大打撃を受けることになってしまった一方で、コロナ禍を舞台にしたドラマも生まれました。「#リモラブ」という言葉も去年の私に聞くと、何の言葉か分からないんでしょうね。そう思うと不思議な気分です。

鐘木パルプコーポレーションに勤める産業医の美々は、外出が出来なくなった緊急事態宣言中にソシャゲを始める。そこで出会った“檸檬”と名乗る人が気になっていくコロナ禍の恋愛を描いたストーリー。ぶっちゃけ視聴者からすると作品内でコロナを描こうが描かまいが何方でも良く、制作サイドの良きように計らってくれ!と思うのですが、この未曾有の大事態を逆手に取り、コロナ禍を徹底的に描いた『#リモラブ』は、今の私たちに一番近いテレビドラマになりました。NHKを皮切りにコロナを題材にした単発ドラマは各局にあれど、連続ドラマは『#リモラブ』が初めて。その企画力の速さも凄いし、説明台詞が多くなるのを見越して回転寿司くんという名のストーリーテラーを思い切って置いたのも上手いんですよね。あの回転寿司くんの立ち位置も、最近のドラマで見ていたら二番煎じ感が出てしまいますが、それも見事に回避していました。価値観が大きく揺らいだ2020年だけど、大切なことはきっと何ひとつ変わっていない。そんなことを気づかせてくれた作品でした。

 

www.ntv.co.jp

 

第4位『アライブ~がん専門医のカルテ~』

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2020年の1月期(冬ドラマ)は医療ドラマが6本くらいあって、過去ないくらいにジャンル渋滞を起こしていました。医療ドラマはもう見飽きたよ~と思う方にこそ見てほしい医療ドラマ。そもそも、なぜ医療ドラマは感動するのでしょうか?人の命を扱うから?奇跡が起こったり、起こらなかったりするから?そんな医療ドラマは多々あれど、私たちが胸を打つのって医療ドラマを通してその人の生き様を見ているからだと思います。死へ向かう通過点を見ているからではなくて。

今後どうなるか分からないけど、医療ドラマが飽和状態にあるこの時代に『アライブ』のように”その人の生き様・生きがい”を描いた医療ドラマが出てきてくれて本当に嬉しい。聞いたことのない難病ではなく、現代を生きる私たちを蝕む可能性が大いにある”癌”に着目したのも良かったです。名優・高畑淳子のベストアクトを是非体感してください!

 

 

 

www.fujitv.co.jp

 

第3位『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京)

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医療ドラマが大渋滞を起こした2020年冬ドラマの中に差した一筋の光、ならぬ一筋のオヤジ……。数々のドラマで役を演じてきた古館寛治&滝藤賢一の全てが今作に詰まっているのではないかと思うくらいのハマりっぷり。「真面目な兄とちゃらんぽらんな弟がレンタル親父のバイトをする」という導入からキャッチーですが、クスっと笑えるエピソードもあればしみじみと考えさせられるエピソードもあったり。ここまで来るとランク付けするのが苦行になってきます、どれも大好きなので……

 

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

第2位『心の傷を癒すということ』(NHK)

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それは、まだ心の病気が認知されていなかった阪神淡路大震災の頃。傷ついた人々の心に寄り添い生涯を遂げた精神科医安克昌の同名小説を実写化した作品になります。わずか4話の物語ながら、今も深く心に残っています。ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を取った『スパイの妻』と同じく映画化されることになったので、こちらも映画化を機に多くの人の目に触れることを願っています!

 

 

www.nhk.or.jp

 

 

 

 

第1位『MIU404』(TBS)

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今年のランク付けは例年にないくらい悩みました。そして悩み抜いた上の第1位は『MIU404』に……!先述した『コタキ兄弟』や『心の傷を癒すということ』などと比べても大きな差はなく、紹介した10作品すべて大好きなのですが、やっぱり『MIU404』が毎週起こすインパクトが凄まじかった……。こんなものをテレビで見せてくれるんだ……と毎週慄きました。特に菅田将暉演じる久住が今年1のインパクト!名優が更なる才能を開花させた瞬間に立ち会えたことを、この上なく幸せに思います。テレビドラマはリアルタイムで見るべきだと改めて強く思った作品でした!

 

 

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***

 

というわけで、今年もお付き合いくださりありがとうございました!去年より早くまとめ記事を書こうと毎年思うのですが、2020年のまとめは過去ないくらいにギリギリになりました。ここに来て今年初の風邪を引いてしまったからです。前座的なノリでまとめた「このドラマがおかしい!」の方がだいぶ余裕を持てたな……

 

 

今年はコロナに悩まされた一年でした。みんなが大変な中で、それでもエンタメの火を絶やさないでいてくれたドラマや映画に何度心を救われたことか。過酷な状況の中でもテレビドラマをつくってくださった全関係者の皆様に、心より感謝します。

 

2021年は穏やかな年になりますように。来年もどうぞよろしくお願いします。

 

 

野ブタ。ロスになった人へ、名作『すいか』を勧めたい

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野ブタ。をプロデュース』のことを書いてから一カ月以上が過ぎた。「あの二人まったくシンメじゃない」と私が嘆いた修二と彰は、唯一無二の輝きを放つシンメとなり、全10話の物語はエンディングを迎えようとしている。(と書くが、この記事を投稿する頃には終わっている)春ドラマが再開するのは嬉しい、けど『野ブタ。』がない土曜日はさみしい。ものすごくさみしいのが本音だ。

私のように“野ブタ。ロス”になるかもしれない人へ。とある一つのドラマを勧めたい。『野ブタ。』を生んだ最強最高タッグ、脚本家・木皿泉河野英裕プロデューサーが手掛けた『すいか』というドラマだ。

 

 

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www.ntv.co.jp

 

野ブタ。』の2年前、2003年に放送された『すいか』と出会ったのは、2020年になってのことだった。最近!というのも、STAY HOMEが提唱された3月のはじめくらいにHuluの無料視聴キャンペーンがあり、「Huluのおススメ教えてください」と呟いた際に教えてもらった作品の一つだ。あの時『すいか』を丁寧に、且つ情熱的に勧めてくださった全ての方に、私はこの春一番感謝している。

 

 

野ブタ。をプロデュース』というドラマが“10代のための教科書”ならば、『すいか』は“大人のためのバイブル”だと思う。長い間のどにつっかえて取れずにいた魚の骨を、するっと取ってくれるような、そんなドラマだ。

 

三軒茶屋にある賄いつき下宿「ハピネス三茶」。そこに住む個性豊かな人たちのありふれた日常と、ありそうでなさそうな非日常を描いている。大家の娘・ゆか(市川実日子)を含めて、ハピネス三茶の住人は計4人。親元を離れてハピネス三茶に転がり込んできた信用金庫のOL・基子(小林聡美)と、双子の姉を亡くした売れないエロ漫画家・絆(ともさかりえ)を中心に展開していく。特に真面目で器用に生きることが出来ない基子は、今の時代で言う典型的な“こじらせ女子”だ。しかし、そんな基子を「とても煮詰まった人」だと表現するところに、この物語のやさしさを感じる。もし今の時代に木皿泉が『すいか』の脚本を書いたとしても、基子のことを“こじらせ女子”とは書かないだろうと思う。さて。今回は基子と絆に加え、『すいか』に欠かすことの出来ない超重要人物3人について書いていく。

 

1:迷える若者を導いてくれる“大人”な教授・崎谷夏子(浅丘ルリ子)

 

ハピネス三茶に学生の時から39年間住みつづける年齢不詳の最古参住人。浅丘ルリ子に「時間の止まった吸血鬼みたいでしょ?」と言わせるのがなんとも憎い。職業は大学教授。第1話では授業中に泣きだした生徒を「女の子だし、可哀想」と庇う男子学生に対して、「ここは貴方の愚かな偏見を開陳する場所ではありません」と言い切った姿が爽快だった。教授は『すいか』の“核”と言える超重要人物で、同じ第1話で教授が放った「居て、よしッ!」は木皿作品を代表する名場面である。

 

教授:あなた、この世にそんな女がいるとは信じられないと思いましたね。

 

基子:はい。

 

教授:それは違います。いろいろ、居ていいんです

 

基子:私みたいなもんも、居ていいんですかね

 

教授:居てよしッ! (1話)

 

私はこの教授が大好きで大好きで、大好きだ。『野ブタ。』で言うところの教頭(夏木マリ)や本屋の店主(忌野清志郎)と同じ役割を担っていて、迷える基子たちをさりげなく導いてくれる“大人”でもある。生徒からは怖がられている教授だが、ハピネス三茶の住人たちには温かく、変なクレーマーを黙って見過ごせずにボッコボコにして「アタシ、人間が出来ていませんから」と膨れて帰るチャーミング(?)な一面も好き。

 

基子たちの何歩も先を歩く教授だが、彼女にも日々新しい発見があり、まだまだ知らないことも後悔も過ちも恐れもあるのが、教授の“大好きで大好きで、大好きな”ところだ。大人になると嫌でも自分の天井を意識してしまう中で、私より何歳も上の教授が歩みを止めない姿を見ると、自分の中でも奮い立つ“なにか”があった。序盤では住人たちを見守るポジションにいた教授だが、後半では教授の身にも大きな出来事が起こる。その際に教授はある一人の生徒と向き合うことになるのだが、教授としてではなく、生徒と同じ目線で「私たちはまだまだラッキーよ」と語るシーンが印象的だった。大人は「完成」された姿でもないし、大人だから「完璧」になれるわけでもない。そして「完璧」になれずとも、居てよしッ!なのだろう。

 

2:非日常を生きる元OL・馬場チャン(小泉今日子)

 

馬場チャン:今日ね、生まれて初めて飛行機乗ったよ。ビジネスクラス、思ったより普通だった。そんなもんだよね。ブランド品も山ほど買ったけど、あんまりおもしろくなかったなぁ (1話)

 

余談だが、亡くなった私の父は小泉今日子が大好きだった。「お父さんね、キョンキョンのこと、永遠の28歳だと本気で思っているの」と母が笑いながら話していた時、我が父ながらヤベエやつだな……と真顔になったことがある。でも『すいか』を見たとき、私は父の気持ちがすこし分かったような気がした。

 

小泉今日子演じる“馬場チャン”こと馬場万里子は、『すいか』の第二の主人公とも言える。基子とは信用金庫の同期で、薄暗い休憩室で「海外も行ったことないし、大トロも食べたことないよね~」と駄弁りながらお弁当をつつく仲だった。そんなある日、基子と同じ普通のOLだったはずの馬場チャンは3億円横領事件を起こし、一躍“時の人”になってしまう。前に書いた”ありそうでなさそうな非日常”は馬場チャンのことだ。

 普通にしか生きられない基子に対して、破天荒な人生を歩むことになった馬場チャン。枠にとらわれない生き方をする馬場チャンを基子は羨ましいとさえ思ってしまう。だけど、馬場チャンが手にした”非日常”は本当に幸せなのだろうか。3億円を手にした馬場チャンは食べたことがなかった大トロを真っ先に買うのだが、手を付けることなく、そのままゴミ箱に捨てている。十分すぎるほどのお金を手にした馬場チャンの表情は、いつも寂しそうに見えた。

 

「基子が生きる日常、馬場チャンが生きる非日常」は『すいか』が描くテーマの一つだと思っている。基子と馬場チャンの場面は照らし合わせながら見てほしい。とことん普通な小林聡美も最高だし、浮世離れした小泉今日子も最高。永遠に28歳だと思っていた父の中で、小泉今日子ミッキーマウスとかと同じ類の“キョンキョン”という生き物だったんじゃないかと思う。その“キョンキョン”というキャラクターを全面に活かした役が、他でもない“馬場チャン”なのだ。

 

3: 物語の気づきを“言葉”にしてくれる大家の娘・ゆか(市川実日子)

 

ゆか:言われてみれば私にも、基子さんにも絆さんにも綱吉にも、間々田さんにも、みんな終わりがあるのですね。でも終わるのも楽しいかもと私は思います。やっとアイスのはずれが出た時のあのほっとした感じ。やっと終わったーという解放感。私はそんなふうに一生を終えたいです。 (3話)

 

 最後に紹介するのは、市川実日子演じる大学生・ゆか。スリランカへ旅立った父親に代わり、ハピネス三茶の大家を務めている。煮詰まった基子や過去に縛られている絆と比べてみると、わりとのびのび生きている方だ。悩みや困ったことがあると一瞬で顔に出る素直なタイプでもある。

毎回物語の終わりに、ゆかはスリランカにいる父へ手紙を書く。住人たちとの関りや日々の気づきを書いた文章は物語のまとめでもあり、『すいか』を見て溢れてくる気持ちを、私の代わりに言葉にしてくれているようにも感じる。7話のゆかの言葉が特に好きだ。“どうしようもなく寂しい時、寂しいよねってうなずいてくれる誰かの声”や“暑かった一日が終わって、優しい風に吹かれる心地よさ”と同じものを、私は『すいか』に感じている。

 

ゆか:ただ才能なんかなくっても、この世にはそのままきれいな宝石箱にしまっておきたくなるような、かけがえのない瞬間があるんだと思います。それはどうしようもなく寂しい時、寂しいよねってうなずいてくれる誰かの声。暑かった一日が終わって、優しい風に吹かれる心地よさ。そんな些細なことだと思うんです。

 

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これは私のマシュマロ(匿名の質問箱)に送られてきたものだ。「とりあえず、『すいか』見てくれ……感想は…あとで書くから……」みたいな私のツイートで実際に視聴してくれた人がいるのがとても嬉しかったし、この方の「全話見たら、自分の人生がすこし嫌いじゃなくなりました」という言葉に胸がいっぱいになった。あの時私に『すいか』を勧めてくれた全ての人たちにも届くように、と願いを込めてブログに再掲。私に『すいか』を勧めてくださった方々、本当に、本当にありがとうございました。

 

『すいか』が放送されたのは2003年、文庫本に描かれているらしい10年後の2013年も優に超え、時代は2020年になった。私は『すいか』がHuluで配信されている限り、この先何度も『すいか』を見返すだろうし、基子や教授たちの言葉に何度も何度も救われることがあるのだと思う。万が一配信がなくなったら円盤購入を検討しよう。「大人のためのバイブル」と先述したがバイブルと言うよりかは、ポーチの奥底にある絆創膏のように、いつも手元に置いておきたい作品だ。この文章を書いている中で改めて思った。『すいか』には好きなシーンも好きなセリフも数え切れないほどあるけれど、最後は一番好きなセリフをお借りします。

 

 

 

「遅すぎることなんてないのよ、私たちはなんでも出来るんだから」

 

すいか DVD-BOX (4枚組)

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  • 発売日: 2003/12/21
  • メディア: DVD
 

 

オーディション番組「Nizi Project」をしってるか?

オーディション番組にハマることはないだろうと思っていた私は今、「Nizi Project」に夢中になっている。物心ついた時からジャニーズが好きな私は、男女問わず「アイドル」というカテゴリーの人たちが好きだった。AKB系も乃木坂系もそれなりに知っていると思う。特に選抜総選挙が大好きで、大勢のメンバーから誰がどういった理由で選ばれて、彼女たちがファンに向けてどんな言葉を発するのかに興味があった。

 

一方で、私にとって一番の親友と言える“R”は、オーディション番組が大好きだ。というより、もともとKPOPが大好きなRは、韓国発の人気オーディション番組「PRODUCE 48」を機に、オーディション番組ばかり見始めるようになる。Rの家に行ったときは、またもや彼女がどハマりしていた「PRODUCE 101」(日プ)の最終投票が地上波放送される日で、名前くらいしか知らなかった私も食い入るように画面を見た。二時間を超える生放送を見た後に「ジャニーズJr.って終わりのない日プみたいだね……」と呟くと、「そうだよ!!!(オーディション番組に)ハマる素質あるよ!!!!!!!」とRに肩を強く掴まれたことを覚えている。そっか、私ハマる素質あったんだ。

 

niziproject.com

 

「Nizi Project」(以下:虹プ)は、韓国の事務所・JYPエンターテイメントとソニーミュージックによるガールズグループ発掘プロジェクト。国民投票でメンバーを決めていたPRODUCE系とは違い、虹プはTWICEなどを発掘した天才的プロデューサーのJ.Y.パークが審査をする。虹プを見るまでJ.Y.パークのJさえ知らなかったが、今ではすっかりJ.Y.パークの虜…というより、弟子のような心持ちでいる。ちなみに愛称は餅ゴリ。ストレートに“餅が好きなゴリラ”という意味らしいが、このあだ名を受け入れている時点でJ.Y.パークさんの器のデカさが伺える。私もJ.Y.パークに運命託してみたかった。

 

www.youtube.com

 

地方予選、東京合宿と進み、ついに最終選考の韓国合宿編を迎えた。1万人の中から13人に選ばれるだけでスゴイ!と凡人の私は思ってしまうのだが、この韓国合宿編も新たなスタートに過ぎなかった。彼女たちはプロのアーティストが立つ華やかなステージで、個人ミッションやグループミッションに挑戦する。韓国合宿編のルールは二つ。

 

・ 優れたパフォーマンスにはキューブが与えられ、キューブを多く獲得した者がデビューメンバーに選ばれる

・個人順位で最下位を2度経験すると脱落

 

詳しくはWikiへ。ちなみに今は、①個人ミッション→②グループミッション→③2度目のグループミッションの真っ最中で脱落者はいないが、連続でキューブを獲得するメンバーもいれば、いまだにキューブを手にしていないメンバーもいる。

 

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虹プメンバーの最年長は19歳のマコ。並べられると皆んな同じ顔に見える~~とクラクラしてしまう人もいるかもしれないが、既にそれぞれのキャラクターと個性が確立されているので、番組を一度でも見たら一人くらいは顔と名前が一致すると思う。週2でダイジェスト版を放送している「スッキリ」では、コメンテーターの菊池弁護士がとても滑らかに“ミイヒさん”と言っていた。

 

最終選考までくると、さすがに凡人の私も“天才型”のメンバーがわかってくる。最年長のマコは優れた才能を持ちつつも努力を怠らず、その努力を実力に結び付けられる人だ。パフォーマンスも人柄もオールパーフェクトなマコを我々が好きにならない理由がない。マコに次ぐ第2位通過で韓国合宿に来たのが、同じく天才型のミイヒ。TWICEのコンサートでスカウトされて研修生になったというエピソードを聞くだけで、ミイヒは“選ばれた人”なのだと確信する。愛らしいルックスだけではなく、パフォーマンスも抜群。彼女が個人ミッションで披露した「No Body」は15歳とは思えぬ艶やかさで、聞いていたJ.Y.パークさんも開いた口が塞がっていなかった(物理的な意味で)。

 

マコ、ミイヒ、そして圧倒的な美しさと優れた語学力を持つリマという天才型タイプ3強の戦いだと勝手に思っていた韓国合宿は大混戦!特に躍進を遂げたのがマヤ。マヤはどちらかというと“努力型”だと思っていて、東京合宿の最終結果では「実力は70点くらいだけど、それ以上に魅せる力が貴方にはある」とJ.Y.パークに言われたメンバーだ。カメラにチラチラと映る彼女の姿を画面越しで見ているときは特に何も思わなかったが、韓国編の大きな舞台に立つ彼女を見て、この言葉の意味がハッキリと分かった。マヤが持つ“ステージ映え”の才能がどれだけ大切なのかということも。マコ、そして私のイチ押し・リオと共に披露した「Swing baby」が最ッッッッッ高だった。今まで上位レースには特に名を連ねることがなかったマヤは、この「Swing baby」で初めての1位を獲得する。

 

 

youtu.be

 

そして今日、私が朝早くから泣いてしまったのがマヤチームの「Feel Special」。一度目の最下位から5位に返り咲いたアカリは確実に自信を取り戻していたものの、東京合宿編では高評価だったユナはプレッシャーで十分な力を発揮できず、韓国編で一度もキューブを獲得していなかった。またこのユナがですね、実はキッズモデル出身で、もともとJ.Y.パークの事務所の練習生なんですよ。虹プ出演者はわりと経験者が多いけど、中には独学でダンスを勉強している子もいて、その中で芸歴もあるユナのプレッシャーは凄まじいものだったと思う。韓国編の個人審査を見ても(上の5:00~)緊張が伝わってくる。

 

そんなユナがいるチームに与えられた課題曲が、TWICEの「Feel Special」。J.Y.パークから「ガールズグループに入るために生まれてきたような子だね」と言われたユナをはじめ、オンリーワンを目指す虹プメンバーに刺さりまくりの曲でしょう。私にも刺さった。

 

You make me  feel special

世の中がどんなに私を落ち込ませようとも

痛くて苦しい言葉で私を傷つけようとも 

あなたがいるから私はまた笑う

 

こんな素晴らしい歌詞を一体だれが書いているのか。天才プロデューサーのJ.Y.パークさんですよ、一生ついていく。自信を失いかけていたユナが「特別な私に変わる!」と歌うパートが最高だった。そして泣いた。

 

tver.jp

 

Huluでの本配信とスッキリのダイジェスト放送に加えて、「虹のかけ橋」という番組でも見れるのでぜひ。唯一無二の美しさを見せるマヤも素晴らしいけど、なんといってもこの「Feel Special」はアカリが最高に良い。この子も15歳なんですよ、15歳の私にこんな輝きはなかった。そしてここにきて完全無欠のエース・ミイヒがまさかのスランプ……!恐れを知らない天才型プレイヤーが最終局面一歩手前のステージで誰もが持つ感情に悩まされる的な。でも彼女なら必ずや乗り越えてくれるだろうと思わせてくれる力がミイヒにはある。そしてミイヒにごめんと謝るメンバーにまたまた泣いてしまった。

 

 

AKBの選抜総選挙ではアイドルたちの言葉に心動かされた私だが、虹プメンバーの言葉には良い意味での“あどけなさ”が残る。高いスキルを有しつつも、客前でのパフォーマンスやファンとの接触を経験したことがない彼女たちの言葉そのものは等身大で、同世代の女の子たちと変わらない。じゃあ言葉以外のなにで彼女たちの努力が分かるのかというと、他でもない“パフォーマンス”だ。私たちが見ている場面は彼女たちの日常を切り取ったごく一部に過ぎないけれど、ステージの上で披露されるパフォーマンスには彼女たちが歩んできたもの全てが詰まっている。

 

残すところ、今回のグループ審査とファイルステージのみになった。ここまで来ると「みんなデビューしてくれ~~~!!」の気持ちになってくる。ギリギリの13位通過で韓国に来たアヤカとかもね、すごくいいのよ。どんなに願ってもアラサーの私がJ.Y.パークにプロデュースされる日は来ないけど、日々努力を重ねる虹プメンバーの姿を見て、私も腹筋くらいは頑張ろうかなと18回目くらいの決意をした。

文春オンラインに寄稿しました【ハケンの品格】

どうも、明日菜子です。このたび、文春オンラインさんで『ハケンの品格』についてのコラムを書きました。

 

 

 

これ、め~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っちゃうれしかった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!めっちゃ嬉しかったので記念にブログ書きます。2020年嬉しかったことTOP5に入る。5月27日は文春オンライン記念日に決定。今日だけお付き合いください。

 

ドラマの感想垢を作って2年半くらいになります。(この間radio talkで3年くらい、っていった記憶があるけどジャニーズ方式でカウントしてた、2年半です)感想垢の中にはいろいろな人がいると思うんですが、私は「ドラマの楽しさを知ってほしい!広めたい!」という割と暑苦しい目的を持ったタイプの人間です。ポジティブな感想もネガティブな感想も書きますが、どちらも根底にある気持ちは一緒です。

 

そんな私にとって、今回の寄稿はとてもとても大きな出来事でした。自分のホームであるTwitterやブログを飛び出して、外部のメディアで書くことは本当に本当に大きいです。「フジテレビ批評のドラマ徹底討論に出たい!」は何十回とTwitterに書いてますが、あ~私も寄稿とかしてみたいな~と内心めちゃくちゃ思ってました。だけど、ライターでもない私には難しいかなと思って誰にも言わず、手帳の目標リストにだけ書きました。なので今回の寄稿は本当に本当に嬉しいです。声をかけてくださった担当さんは”2020年感謝すべき人TOP5”に入ります!ありがとうございます!!!!

 

bunshun.jp

 

ハケンの品格』については記事で存分に書いているので、ぜひこちらを。一ドラマ好きとして、ドラマはデフォルメが大前提!と思いつつもあえて書いてます。ちなみに私は文春さんの社員ではないよ!(書いてる方もいたので念の為)

何もかもが初めてでどこまで言っていいのか分からず、でもNGだと何かしら言っていただけるだろうと思って好き放題に書いた結果、自分の意見がゴッリゴリに反映された内容になりました!続編に備えて完走したのが3月終わり頃かな。まさかもう一回全話見ることになるとは!

 

 

 

今回お話をくださった担当さん、そしてブログを読んでくださる方、本当にありがとうございます!ブログを読んでくださる人がいなければ今回の話はありませんでした。不定期更新なくせに言うのもなんですが、自然に流れてくるTwitterと違って、ブログを読んでもらうのって本当に難しいんだなと日々思います。ワンクリックの手間をかけてブログを読んでくださる方に、本当に感謝してます!。

 

Twitterに甘えず、ブログもこまめに更新できるよう頑張るぞ~~!!!そして関係各所の皆々様、フジテレビ批評の方々(狙い撃ち)、よろしければ是非お声がけください~~~~~!!!

『野ブタ。をプロデュース』が想像していた話と全然違って泣いた

『未満警察 ミッドナイトランナー』の延期を受けて、代わりに『野ブタ。をプロデュース』(以下:野ブタ。)の再放送が始まった。『野ブタ。』があった2005年、山Pの茶の間ヲタ(テレビ前で応援するファン)を経て、なぜかオーランド・ブルームに熱を上げていた10代の私は『野ブタ。』を一度も見たことがなかった。

 

そもそも内容を知らない私は、『野ブタ。』は「スクールカースト覇者の修二と彰が、ダイヤの原石こと堀北真希を人気者にして共に青春をエンジョイする話」だと思っていた。このように書くと大きく違わない気もするけれど、私が思い描いていたような学園シンデレラストーリーではなかった。少なくとも「ブスだと虐められていた女の子が美人になって人気者になる」的な、単純なルッキズムの話ではない。あとこれが一番衝撃なのだけど修二と彰はシンメではなかった。繰り返す。修二と彰はシンメではなかった。あんなにも「俺たちはいつでも二人で一つだった」と歌うくせにあの二人全然一つじゃない。しかし、修二と彰がシンメではないからこそドラマ版『野ブタ。』はおもしろい。

 

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クラスのムードメーカー的存在である桐谷修二(亀梨和也)は、周囲をどこか冷めた目で見ており、自分のポジションを守るために常日頃から人気者を演じている。学園のマドンナ・上原まり子(戸田恵梨香)と付き合っているのも“楽しい学校生活を送るために必要”だからで、彼女自身に特別な気持ちは無い。そんな修二が唯一上手く扱えない人間が、山P演じる草野彰だ。彰は掴みどころがないキャラクターで、修二曰く“ウザくて変なヤツ”で、千鳥ノブ風に言うとクセが強い。顔が山Pでゴールドカードをサラッと出してくるお金持ちなのに、なぜか彰のカーストは下の方だ。

 

顔が良いこと以外に共通点のない修二と彰だが、転校生の小谷信子(堀北真希)がいじめられている現場に遭遇したのがきっかけで、信子のプロデュースを始めることになる。芸名もつけたほうがいいんじゃないかとのことで“野ブタ”。第1話では超頑固親父が店主の本屋で立ち読みの新記録を作り、第2話では野ブタのイメチェンに成功した。ここまでの修二と彰はたしかに“俺たちはいつでも二人で一つだった”な感じもするが、第3話では野ブタを含めた3人の関係に微妙なズレが生まれてしまう。

 

第3話:何もない自分が、ものすごく、不安だった

寝落ちしてしまった弟の浩二(中島裕翔)と、傍らにある作文を思わず読んでしまう修二。なんとも微笑ましい光景から3話は始まる。

 

「ボクの兄」

ボクの兄は高校生だ。家ではヨレヨレのボサボサだ。でも外ではすごくかっこつけてる。 (中略) 兄は他人によく思われたいのだ、それしか考えていないらしい。でもそんなことをしていて、兄はちゃんとした大人になれるのだろうか。

 

全く微笑ましくなかった。大天使・中島裕翔の声で再生される「ボクの兄」はなかなかエッジの効いた内容だ。特に「兄は他人によく思われたいのだ。それしか考えていないらしい」という浩二の見解は、修二自身が気づいていなかった(もしくは目を逸らしていた)心の奥底で眠るパンドラの箱を「ここにあるよ」と無邪気に照らし出したようにも見える。

 

一方、学校では文化祭シーズンを迎えた。いじめっ子・坂東によってクラスの出し物がお化け屋敷に決まり、責任者を野ブタに押し付け、口をはさんだ彰が雑用係に任命されてしまう。周りの目を気にする修二はクラスメイトがいる前で二人の輪に加わることはなく、遠回しに協力を促したり、授業中に作業を進めたり、友達と一度別れた後に学校へ戻って二人を手伝っていた。3人は頑張ってお化け屋敷を完成させるが、文化祭当日に何者かの手によってめちゃくちゃにされてしまう。人当りの良い修二は各所から助っ人を頼まれているので(演劇部のエキストラ、ファッションショーのカメラマン、教師とライブ出演など)彰と野ブタを手伝うことが出来ない。そこで修二は文化祭に来ていた他校の生徒を勧誘し、彰と野ブタと他校生たちにお化け屋敷を任せる。修復どころか更なる進化を遂げたお化け屋敷は大好評のうちに終わった。

 

片付けを始めようとしていたら浩二が登場し、どうしてもお化け屋敷に入りたいと修二を誘う。ここで修二は彰と野ブタが自分の想像を遥かに超えるものを作っていたと、身をもって知ることになる。

 

修二:お前さ、俺みたいになるんじゃないぞ

浩二:俺みたいって?

修二:だから…...要領ばっかよくて、何も作れない大人にはなるなってこと

 

修二:(俺はショックだった。野ブタや、バカだと思っていた彰が、あんなにちゃんとしたものを作ってたってことが。ものすごいショックだった)

 

修二:(明日になったら教室は元に戻るだろう。野ブタはまたいじめられて、彰は相変わらず煩わしいヤツで、俺は人気者で。それは絶対変わるはずないのに、俺は不安だった。何もない自分が、ものすごく、不安だった)

 

修二には悪いけど、ここがめちゃくちゃおもしろいし興味深い。最高の形で終わったはずの文化祭プロデュースが、皮肉にも修二の心に影を落としてしまったのである。達成感に満ち足りた彰と野ブタに対し、どれも中途半端な形で参加した修二はなにかを残した手ごたえがない。ここにきて、山Pによる「もともと優等生設定だった彰をチャラチャラしている男にキャラ変更した」という偉業がめちゃくちゃ効いてくる。修二はいじめられっ子の野ブタだけではなく、彰のことも格下に見ているからこそヘコむのだ。下だと思っていた二人に先を越されたことが悔しくてヘコむのだ。もし彰が従来通りの優等生で常に周りから評価されている人間だったら、修二がこんな類の焦りを感じることはないだろう。もしこれがちびまる子ちゃんの世界ならば、杉山くん一人が大活躍で終わっても、大野くんは「やったな杉山!」と爽やかに終わるはずだ。修二は「やったな彰!」と心から言えなかった。満ち足りた気持ちで文化祭を反芻していた彰と野ブタに対し、ぼんやりと夜空を見上げる修二の顔がどこか寂しそうに見えた。

 

第4話:「野ブタパワー注入!」と「あみだくじ」

 

そしていつも通りの学校生活が始まる。文化祭を終えた後、今度は「114の日」を迎えようとしていた。校内独自のイベントで、全校生徒の中から選ばれた一人が愛の告白を行うらしい。い い よ で縁起がいいから11月4日。告白がOKならば祝福の花を降らせ、嫌だったらバケツの水をぶっかけるらしい。なんなんだこのイベント。「114の日に修二が野ブタに告白すれば、野ブタは一気に人気者になるんじゃない?」と今回は彰が提案する。修二は「人を使って人気者になっても野ブタの為にならない」と断固拒否するのだが、自分の人気を落としてまでプロデュースをしたくないのが本音だった。修二は文化祭を機に二人を遠ざけるようになり、態度も一層とげとげしくなる。悪態をつく修二の姿にこちらの腸も煮えくり返りそうになるが、修二は二人との間に線を引くことで自分の心を保とうとしており、その方法でしか自分の心を守れなくなっていたのだ。

 

114の日の二日前。またまた何者かによって、校庭一面に大きく“修二と野ブタの相合傘”が描かれる。時代だ……。これを見たいじめっ子・坂東は114の立候補ボックスに野ブタの名前を勝手に入れ、野ブタが修二に告白すると噂を流す。他の生徒から詰め寄られる度にはぐらかす修二だが、「水をかけることになると思う」と野ブタには事前に断りを入れた。

 

彰:野ブタは坂東たちに嵌められたんだぜ

修二:そんなことわかってるよ

彰:お前に水かけられたら相当へこむと思うよ。坂東たちに水かけられるのとはワケが違うんだからさ。水かけた後で「ごめんごめん、本当はかけたくなかったんだ」じゃすまないのよ。いったん潰れたコ・コ・ロはそう簡単に復活しないんだから。お分かり?

 

彰~~~~~~~~~~~!!!!好き~~~~~~~~!!!!なにも考えなしに行動しているように見える彰は、なんというか、すでに開けている人なのだ。教室でも野ブタと普通に接するし、野ブタを普通の友達として扱う。周りの目を気にすることのない彰は、自分の中の「善」と「悪」に従って行動を起こすことが出来る。もし彰が修二のように人気者だったら、彰は114の日に野ブタへ告白するんじゃないかと思う。

 

ちなみにこの第4話は「野ブタパワー注入!」が初めて登場した回でもある。野ブタに力が出る方法を聞かれた彰が思い付きで出たのが「野ブタパワー注入!」だった。パワー注入後の野ブタは一人で坂東の元へと向かい、114の日の候補を取り下げてほしいと頼む。彰に釘を刺されまくった修二はと言うと、最終的にあみだくじで「花or水」を決めようとしていた。結果から言うと、野ブタは修二に告白しない。代わりに別の人を指名することになるのだけど、文化祭の最高に次ぐ最高に美しい形で114の日は幕を閉じた。

 

修二:(俺は野ブタの上に、花を降らせるつもりだった。人気者の修二くんを投げ捨てでも、振らせるつもりだった。それは多分、あの二人が好きだったから。あの二人といる自分が好きだったからだ。そんなこと、自分でも信じられないけど、そうなんだからしょうがないじゃんか。)

 

そう、修二は花を降らせようとしていた。しかも導く先が“花”になるまであみだくじを書いていたのだ。修二の不器用さに胸が苦しくなると同時に、何度も書かれたあみだくじに“手繰り寄せた運命”というフレーズが頭に浮かび、切なさとエモさで私の心は再びぐちゃぐちゃになった。立場も性格も真逆な「修二」と「野ブタ」が実は求めていたものが同じだった展開もエモい。二人とも背中を押してくれるものが必要で、それが修二にとっては「花を示したあみだくじ」で、野ブタにとっては「野ブタパワー注入!」だったのだ。逆にあみだくじや野ブタパワーを注入せずとも自分の心赴くままに行動できる人も身近にいて、それが彰なのも絶妙。野ブタのプロデュースをとおして、自分自身と向き合うことになってしまった修二の今後が楽しみで仕方ない。3話も4話もまだまだ見どころがあるのでぜひ本編を見てほしい。

 

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さて。私はこの春、フォロワーさんのおすすめで『すいか』というドラマに出会い、『すいか』の脚本家・木皿泉が手掛けた『野ブタ。をプロデュース』というドラマに、またもや心を奪われている。木皿泉の言葉をもっと吸収したくなった私は先日、『ぱくりぱくられし』という名のエッセイ集を買った。ドラマでも映画でも音楽でも文章でも、あまりにも好きな作品に出会うと「好き」以外の言葉が出てこなくなる。『すいか』も『野ブタ。』も私にとってはその手の作品なのだけど、私が木皿脚本を好きな理由はこの文章にぎゅっと詰まっている気がした。

 

そして、今、苦しい思いをしているあなたへ。それは永遠に続かないから大丈夫。人はきっと変わることが出来るはず。この本で、私たちは、自分に向かって、世の中に向かって、そういうことを言いたかったのだと、このあとがきを書きながら今気づいた。

 

ぱくりぱくられし

ぱくりぱくられし

  • 作者:木皿 泉
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)