あすなこ白書

日本のドラマっておもしろい!

『野ブタ。をプロデュース』が想像していた話と全然違って泣いた

『未満警察 ミッドナイトランナー』の延期を受けて、代わりに『野ブタ。をプロデュース』(以下:野ブタ。)の再放送が始まった。『野ブタ。』があった2005年、山Pの茶の間ヲタ(テレビ前で応援するファン)を経て、なぜかオーランド・ブルームに熱を上げていた10代の私は『野ブタ。』を一度も見たことがなかった。

 

そもそも内容を知らない私は、『野ブタ。』は「スクールカースト覇者の修二と彰が、ダイヤの原石こと堀北真希を人気者にして共に青春をエンジョイする話」だと思っていた。このように書くと大きく違わない気もするけれど、私が思い描いていたような学園シンデレラストーリーではなかった。少なくとも「ブスだと虐められていた女の子が美人になって人気者になる」的な、単純なルッキズムの話ではない。あとこれが一番衝撃なのだけど修二と彰はシンメではなかった。繰り返す。修二と彰はシンメではなかった。あんなにも「俺たちはいつでも二人で一つだった」と歌うくせにあの二人全然一つじゃない。しかし、修二と彰がシンメではないからこそドラマ版『野ブタ。』はおもしろい。

 

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クラスのムードメーカー的存在である桐谷修二(亀梨和也)は、周囲をどこか冷めた目で見ており、自分のポジションを守るために常日頃から人気者を演じている。学園のマドンナ・上原まり子(戸田恵梨香)と付き合っているのも“楽しい学校生活を送るために必要”だからで、彼女自身に特別な気持ちは無い。そんな修二が唯一上手く扱えない人間が、山P演じる草野彰だ。彰は掴みどころがないキャラクターで、修二曰く“ウザくて変なヤツ”で、千鳥ノブ風に言うとクセが強い。顔が山Pでゴールドカードをサラッと出してくるお金持ちなのに、なぜか彰のカーストは下の方だ。

 

顔が良いこと以外に共通点のない修二と彰だが、転校生の小谷信子(堀北真希)がいじめられている現場に遭遇したのがきっかけで、信子のプロデュースを始めることになる。芸名もつけたほうがいいんじゃないかとのことで“野ブタ”。第1話では超頑固親父が店主の本屋で立ち読みの新記録を作り、第2話では野ブタのイメチェンに成功した。ここまでの修二と彰はたしかに“俺たちはいつでも二人で一つだった”な感じもするが、第3話では野ブタを含めた3人の関係に微妙なズレが生まれてしまう。

 

第3話:何もない自分が、ものすごく、不安だった

寝落ちしてしまった弟の浩二(中島裕翔)と、傍らにある作文を思わず読んでしまう修二。なんとも微笑ましい光景から3話は始まる。

 

「ボクの兄」

ボクの兄は高校生だ。家ではヨレヨレのボサボサだ。でも外ではすごくかっこつけてる。 (中略) 兄は他人によく思われたいのだ、それしか考えていないらしい。でもそんなことをしていて、兄はちゃんとした大人になれるのだろうか。

 

全く微笑ましくなかった。大天使・中島裕翔の声で再生される「ボクの兄」はなかなかエッジの効いた内容だ。特に「兄は他人によく思われたいのだ。それしか考えていないらしい」という浩二の見解は、修二自身が気づいていなかった(もしくは目を逸らしていた)心の奥底で眠るパンドラの箱を「ここにあるよ」と無邪気に照らし出したようにも見える。

 

一方、学校では文化祭シーズンを迎えた。いじめっ子・坂東によってクラスの出し物がお化け屋敷に決まり、責任者を野ブタに押し付け、口をはさんだ彰が雑用係に任命されてしまう。周りの目を気にする修二はクラスメイトがいる前で二人の輪に加わることはなく、遠回しに協力を促したり、授業中に作業を進めたり、友達と一度別れた後に学校へ戻って二人を手伝っていた。3人は頑張ってお化け屋敷を完成させるが、文化祭当日に何者かの手によってめちゃくちゃにされてしまう。人当りの良い修二は各所から助っ人を頼まれているので(演劇部のエキストラ、ファッションショーのカメラマン、教師とライブ出演など)彰と野ブタを手伝うことが出来ない。そこで修二は文化祭に来ていた他校の生徒を勧誘し、彰と野ブタと他校生たちにお化け屋敷を任せる。修復どころか更なる進化を遂げたお化け屋敷は大好評のうちに終わった。

 

片付けを始めようとしていたら浩二が登場し、どうしてもお化け屋敷に入りたいと修二を誘う。ここで修二は彰と野ブタが自分の想像を遥かに超えるものを作っていたと、身をもって知ることになる。

 

修二:お前さ、俺みたいになるんじゃないぞ

浩二:俺みたいって?

修二:だから…...要領ばっかよくて、何も作れない大人にはなるなってこと

 

修二:(俺はショックだった。野ブタや、バカだと思っていた彰が、あんなにちゃんとしたものを作ってたってことが。ものすごいショックだった)

 

修二:(明日になったら教室は元に戻るだろう。野ブタはまたいじめられて、彰は相変わらず煩わしいヤツで、俺は人気者で。それは絶対変わるはずないのに、俺は不安だった。何もない自分が、ものすごく、不安だった)

 

修二には悪いけど、ここがめちゃくちゃおもしろいし興味深い。最高の形で終わったはずの文化祭プロデュースが、皮肉にも修二の心に影を落としてしまったのである。達成感に満ち足りた彰と野ブタに対し、どれも中途半端な形で参加した修二はなにかを残した手ごたえがない。ここにきて、山Pによる「もともと優等生設定だった彰をチャラチャラしている男にキャラ変更した」という偉業がめちゃくちゃ効いてくる。修二はいじめられっ子の野ブタだけではなく、彰のことも格下に見ているからこそヘコむのだ。下だと思っていた二人に先を越されたことが悔しくてヘコむのだ。もし彰が従来通りの優等生で常に周りから評価されている人間だったら、修二がこんな類の焦りを感じることはないだろう。もしこれがちびまる子ちゃんの世界ならば、杉山くん一人が大活躍で終わっても、大野くんは「やったな杉山!」と爽やかに終わるはずだ。修二は「やったな彰!」と心から言えなかった。満ち足りた気持ちで文化祭を反芻していた彰と野ブタに対し、ぼんやりと夜空を見上げる修二の顔がどこか寂しそうに見えた。

 

第4話:「野ブタパワー注入!」と「あみだくじ」

 

そしていつも通りの学校生活が始まる。文化祭を終えた後、今度は「114の日」を迎えようとしていた。校内独自のイベントで、全校生徒の中から選ばれた一人が愛の告白を行うらしい。い い よ で縁起がいいから11月4日。告白がOKならば祝福の花を降らせ、嫌だったらバケツの水をぶっかけるらしい。なんなんだこのイベント。「114の日に修二が野ブタに告白すれば、野ブタは一気に人気者になるんじゃない?」と今回は彰が提案する。修二は「人を使って人気者になっても野ブタの為にならない」と断固拒否するのだが、自分の人気を落としてまでプロデュースをしたくないのが本音だった。修二は文化祭を機に二人を遠ざけるようになり、態度も一層とげとげしくなる。悪態をつく修二の姿にこちらの腸も煮えくり返りそうになるが、修二は二人との間に線を引くことで自分の心を保とうとしており、その方法でしか自分の心を守れなくなっていたのだ。

 

114の日の二日前。またまた何者かによって、校庭一面に大きく“修二と野ブタの相合傘”が描かれる。時代だ……。これを見たいじめっ子・坂東は114の立候補ボックスに野ブタの名前を勝手に入れ、野ブタが修二に告白すると噂を流す。他の生徒から詰め寄られる度にはぐらかす修二だが、「水をかけることになると思う」と野ブタには事前に断りを入れた。

 

彰:野ブタは坂東たちに嵌められたんだぜ

修二:そんなことわかってるよ

彰:お前に水かけられたら相当へこむと思うよ。坂東たちに水かけられるのとはワケが違うんだからさ。水かけた後で「ごめんごめん、本当はかけたくなかったんだ」じゃすまないのよ。いったん潰れたコ・コ・ロはそう簡単に復活しないんだから。お分かり?

 

彰~~~~~~~~~~~!!!!好き~~~~~~~~!!!!なにも考えなしに行動しているように見える彰は、なんというか、すでに開けている人なのだ。教室でも野ブタと普通に接するし、野ブタを普通の友達として扱う。周りの目を気にすることのない彰は、自分の中の「善」と「悪」に従って行動を起こすことが出来る。もし彰が修二のように人気者だったら、彰は114の日に野ブタへ告白するんじゃないかと思う。

 

ちなみにこの第4話は「野ブタパワー注入!」が初めて登場した回でもある。野ブタに力が出る方法を聞かれた彰が思い付きで出たのが「野ブタパワー注入!」だった。パワー注入後の野ブタは一人で坂東の元へと向かい、114の日の候補を取り下げてほしいと頼む。彰に釘を刺されまくった修二はと言うと、最終的にあみだくじで「花or水」を決めようとしていた。結果から言うと、野ブタは修二に告白しない。代わりに別の人を指名することになるのだけど、文化祭の最高に次ぐ最高に美しい形で114の日は幕を閉じた。

 

修二:(俺は野ブタの上に、花を降らせるつもりだった。人気者の修二くんを投げ捨てでも、振らせるつもりだった。それは多分、あの二人が好きだったから。あの二人といる自分が好きだったからだ。そんなこと、自分でも信じられないけど、そうなんだからしょうがないじゃんか。)

 

そう、修二は花を降らせようとしていた。しかも導く先が“花”になるまであみだくじを書いていたのだ。修二の不器用さに胸が苦しくなると同時に、何度も書かれたあみだくじに“手繰り寄せた運命”というフレーズが頭に浮かび、切なさとエモさで私の心は再びぐちゃぐちゃになった。立場も性格も真逆な「修二」と「野ブタ」が実は求めていたものが同じだった展開もエモい。二人とも背中を押してくれるものが必要で、それが修二にとっては「花を示したあみだくじ」で、野ブタにとっては「野ブタパワー注入!」だったのだ。逆にあみだくじや野ブタパワーを注入せずとも自分の心赴くままに行動できる人も身近にいて、それが彰なのも絶妙。野ブタのプロデュースをとおして、自分自身と向き合うことになってしまった修二の今後が楽しみで仕方ない。3話も4話もまだまだ見どころがあるのでぜひ本編を見てほしい。

 

tver.jp

 (9日まで無料配信中!ぜひ1話から見て!)

 

さて。私はこの春、フォロワーさんのおすすめで『すいか』というドラマに出会い、『すいか』の脚本家・木皿泉が手掛けた『野ブタ。をプロデュース』というドラマに、またもや心を奪われている。木皿泉の言葉をもっと吸収したくなった私は先日、『ぱくりぱくられし』という名のエッセイ集を買った。ドラマでも映画でも音楽でも文章でも、あまりにも好きな作品に出会うと「好き」以外の言葉が出てこなくなる。『すいか』も『野ブタ。』も私にとってはその手の作品なのだけど、私が木皿脚本を好きな理由はこの文章にぎゅっと詰まっている気がした。

 

そして、今、苦しい思いをしているあなたへ。それは永遠に続かないから大丈夫。人はきっと変わることが出来るはず。この本で、私たちは、自分に向かって、世の中に向かって、そういうことを言いたかったのだと、このあとがきを書きながら今気づいた。

 

ぱくりぱくられし

ぱくりぱくられし

  • 作者:木皿 泉
  • 発売日: 2019/08/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

【これさえ見れば間違いなし!】FOD配信おすすめドラマ8選+α

どうも、明日菜子です。いかがお過ごしでしょうか。私は外出自粛をいいことに、思う存分ドラマを嗜んでおります。いつもと変わらないですね。新ドラマはもちろんのこと、それに加えてハマっているのが有料配信サイトで見る過去ドラマ。有料配信サイトはHulu、ParaviNetflixなどの種類がありますが、今月はFOD(フジテレビ系)に入会しました。

 

fod.fujitv.co.jp

 

ドラマの最終回をあやふやにして「続きは有料配信で!」みたいなやり方は大嫌いですが、私は有料配信でドラマを見ること自体は賛成で、むしろその楽しみ方も広まればいいのにと思ってる。CMやPR動画が入らずサクサク進むし、完結している作品ならば時間を待たずに一気に見れるし、思わぬ掘り出し物に出会えるのもいいですね。ドラマは長くて見る気がしないよと思う方、ドラマは積み重ねがいいのです。家にいる時間があって、何をするか決まっていない方はぜひ参考に!あ、ジャンルとあらすじは私の独断と偏見で書いているのでご了承ください。

 

 

1:リッチマン、プアウーマン(2012)

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【ジャンル】恋愛、お仕事

時価総額3000憶円のベンチャーIT企業「NEXT INNOVATION」の社長・日向徹(小栗旬)は、戸籍情報管理システム「パーソナルファイル」を新規事業として立ち上げようとしていた。ある日、彼は会社説明会で“澤木千尋”と名乗る内定ゼロの東大生と出会う。人の顔と名前が一度に覚えることが出来ない日向だが、その名前には聞き覚えがあった。

 

見た目はラブストーリー、蓋を開けてみればキラキラ系IT企業を舞台にしたお仕事ドラマにも見えますが、一つのジャンルに収まりきらないのが『リッチマン、プアウーマン』の良いところ。日向と千尋のいじらしい関係に胸を焦がすこともあれば、『半沢直樹』のような怒涛のビジネス展開もあり(半沢直樹みたことないけど)、誰もが思う“理想の月9”がここにあります。なんてったって小栗旬が超かっこいいし、石原さとみが超かわいい。まあ、小栗旬演じる日向に何度胸をときめかせても、我々人類が最終的に心奪われるのは井浦新演じる朝比奈さんなんですけどね。

 

2:ラスト♡シンデレラ(2013)

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【ジャンル】恋愛

 遠山 桜、39歳。職業・美容師で彼氏ナシ。最近、ヒゲが生え始めました。女であることを忘れはじめた今日この頃、同世代の友達と参加した合コンで酔っ払い、朝起きたら隣にはイケメンがいて……!?

 

好きな芸能人の中に“三浦春馬”が入っていない人は、99%の確率で『ラスト♡シンデレラ』を見ていないのだと思う。私は本放送と再放送2回の計3回完走していますが、何度みても『ラスト♡シンデレラ』の三浦春馬に恋をします。しかし藤木直人も捨てがたい、ぶっちゃけどちらも選びたい。

 

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「隣の家族は青く見える」(2018)

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【ジャンル】ヒューマン

こちらも『ラスト♡シンデレラ』の中谷まゆみによるオリジナル脚本で、コーポラティブハウス(集合住宅)で暮らす4組を描きます。不妊治療をはじめた夫婦、事実婚カップル、男性同士のカップルや幸せそうな家庭にも、それぞれ悩みがありまして……。豊作だった2018年ドラマの中でも上位に入るお気に入りです。

 

www.asunako-drama.com

 

 3:最高の離婚(2013)

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【ジャンル】ヒューマン

「結婚って、長い長い拷問ですよ」几帳面な夫・光生(瑛太)は、大雑把でズボラな妻・結夏(尾野真千子)にいつも不満を抱いている。離婚しようと決意するも何だかんだで先延ばし。ある日、誘われた草野球の帰り道で、光生はギックリ腰になってしまう。やっとの思いでマッサージ屋を見つけるのだが、そこは元恋人のあかり(真木よう子)が経営している店だった。

 

 『東京ラブストーリー』『Mother』『カルテット』など、幾度もドラマブームを起こす脚本家・坂元裕二。世の中には「明るい坂元裕二作品」と「暗めの坂元裕二作品」の二つが存在しますが、入門編には前者をおすすめします。特に『最高の離婚』は坂元節あふれる会話劇が痛快で、一癖も二癖もある登場人物がとても愛おしい。瑛太尾野真千子はもちろん、影のある真木よう子とゆるっとふわっとクズな綾野剛が絶品です。

 

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 「問題のあるレストラン」(2015)

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こちらも(雰囲気は)明るい方の坂元裕二です。コミカルながら、女性特有の葛藤や女性が抱える理不尽な問題を明確に鮮烈に描いています。今こそ放送すべき作品だと思うけど、ここには問題のある東出昌大もいるんだった。今ではかなりレアな二階堂ふみ×松岡茉優×高畑充希という日本を代表する20代女優の共演も!

 

4:デート~恋とはどんなものかしら~(2015)

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【ジャンル】恋愛、コメディー

東大卒のリケジョ・依子(杏)は、父(松重豊)から見合いを勧められるも連戦連敗。規則正しすぎて細かすぎる性格が裏目に出てしまうのだが、娘の幸せを願う父のために何としても結婚したいと思っていた。一方、自らを「高等遊民」と名乗るニート・巧(長谷川博己)は、老いた母に代わって新たな寄生先を探し始める。趣味も生き方もまるで違う、だけど目的だけは一致している二人の“初デート”がついにやってきた!

 

リーガル・ハイ』シリーズなどを手掛ける古沢良太の脚本、いちいち笑っちゃうんですよね。依子と巧は大きな“欠陥”を持つ人間として描かれています。恋愛不適合者の二人が必死に恋愛をする姿は可笑しくて笑っちゃうんですが、どこか切なく、愛おしくもなるんですね。夫婦漫才のような杏×長谷川博己の掛け合いがとにかく素晴らしい。長谷川博己が「あぁ~~もう!」と言いながらフラッシュモブに加わるシーンが特に好きです。

 

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「コンフィデンスマンJP」(2018)

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ダー子×ボクちゃん×リチャードが繰り広げる、目に見える者が真実とは限らないコンフィデンスマンJPの世界へようこそ!映画化もされていますが、コンフィデンスマンJPはドラマ版が断然おすすめ。月9枠での再放送版は傑作選として選抜エピソードを放送していますが、コンフィデンスマンJPドラマ版は必ず第1話から最後まで見てください!飛ばしたらだめです。初回長いけど頑張って!

 

5:恋ノチカラ(2002)

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【ジャンル】恋愛、お仕事

 仕事も恋愛もどこか諦めを覚えてしまった30歳。ユニバーサル広告社に勤める籐子(深津絵里)はクリエイティブ志望だが、仕事でミスをしてしまい、左遷された総務部で仕事を続けていた。ある日、人気クリエイターの貫井(堤真一)が独立することになり、貫井と共に会社を立ち上げる壮吾(坂口憲二)から籐子に引き抜きの誘いがかかる。

 

『ラスト♡シンデレラ』による3回目の三浦春馬沼にハマった後、深刻なロスを解消すべく「ドラマ 日本 名作」とググって出たのが『恋ノチカラ』。『やまとなでしこ』のスタッフが制作していて、堤真一矢田亜希子など続投しているキャストもいます。そんな形で出会った作品ですが、今では一番好きなドラマになりました。なんといっても深津絵里演じる籐子が魅力的!等身大の籐子に何度も共感してしまうし、自分の気持ちに素直な籐子はいつまでも私の憧れです。1話の「終わってないわよ、まだ始まってもいないじゃない!」が痺れるくらい好きですね。この台詞に籐子の魅力がギューーッと詰まっている気がします。

タイトルを見るとラブストーリーど真ん中のように思うかもしれませんが、『恋ノチカラ』はお仕事ドラマとしての見応えもバッチリ。特に西村雅彦演じる吉武さんに、吉武さんに……吉武さ~~~~ん!!ネタバレになるので愛してやまない吉武さんのお名前だけ叫んどきます。明日から私も頑張ってみようかな、と背中を押してくれる作品です。無気力になってしまいそうな外出自粛期間中に、ぜひ。

 

6:王様のレストラン(1995)

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【ジャンル】お仕事、コメディー

 フレンチレストラン「ベル・エキップ」はかつての栄光も虚しく、今では廃れたレストランに成り果てた。初代オーナーである父の遺言を受けた禄郎(筒井道隆)はパトロンになる覚悟を決め、伝説のギャルソン・千石(松本幸四郎)に店を立て直す手伝いをしてくれないかと申し出る。

 

レストランを舞台にしたドラマって、比較的つくりやすそうだな(企画しやすそう)と素人ながらに思うんですよね。最高の一品を作る過程に必ずドラマが生まれるし、シェフやギャルソンなど個性豊かなキャラクターも登場させやすい。でも医療ドラマや刑事ドラマほどの数がないのは、すでに『王様のレストラン』という模範解答がこの世に存在しているからだと思うのです。もし私がドラマ関係の仕事をしていて「レストランを舞台にしたドラマを作れ」とオーダーを頂いたら、いやでも『王様のレストラン』が頭に浮かんでしまいますもん。

と、こんな極論を躊躇うことなく書いてしまうほどに名作です。15年経った今でも色褪せることなく、最高のワクワクが詰まっています!

 

7:アライブ(2020)

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恩田心(松下奈緒)は腫瘍内科医だ。腫瘍内科とはがんを扱う専門医で、全ての領域の悪性腫瘍を担当し、特に抗がん剤を扱うスペシャリストで治療のコーディネートをしている。心の旦那(中村俊輔)は不慮の事故により、植物人間状態になっていた。幼い息子を抱え不安と向き合う中、心は意識障害を持つ患者家族の集まりに参加する。明るく前向きに話す参加者たちに「こんなことをしてて意味があるんですか」と本心を言ってしまう心。自暴自棄になった帰り道で、家族会に参加していたと言う薫(木村佳乃)から声を掛けられる。

 

最近の作品も挙げときましょう。佐藤健フィーバーが起こった2020年冬ドラマ、過去にないほど医療ドラマが乱発していたクールでもありました。その中でも一番、いや、2020年全体を通しても間違いなく上位に入る良作です。まさに今の時代に合った医療ドラマ。命を扱うドラマだから感動するのではなく、その人の生き方にスポットを当てたストーリーに胸を打ちます。胸が苦しくなったときは、そっと深呼吸すればいい。

 

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・刑事ゆがみ(2017)

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【ジャンル】刑事

ビックコミックオリジナルで連載中の刑事漫画を実写化。『アライブ』を手掛けた倉光康子がメインで脚本を担当していました。ゲストも豪華で味のある作品なのに、どうしてか視聴率が全く良くなかった……!なぜ?今見てもおもしろいのに!事件解決のためならば違法捜査も厭わない刑事と出世のために日々奮闘する童貞刑事のバディを、浅野忠信神木隆之介が演じます。ひれ伏したくなるほど格好いい上司・稲森いずみもいるよ!

 

8:記憶(2018)

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【ジャンル】ヒューマン、ミステリー

敏腕弁護士としてテレビにも出演している本庄(中井貴一)は、依頼者の利益を守る為ならば、どんな手段も厭わない。現在担当している医療事故案件は、依頼者側に明らかな過失があるものだった。一方で、なんだか最近物忘れが増えたような気がしている。少しの不安を抱えつつも、本庄は淡々と仕事をこなすのだった。

 

今回挙げた作品はいずれも名作中の名作であり、ド鉄板中のド鉄板であり、野球で例えると4番しかいません。普段ドラマを見ない人でも100%楽しめる作品を選んでいるからです。ドラマは時間がかかりますからね、有意義な時間を過ごしてほしいのです!

という意味で、最後に挙げる『記憶』は知らない方も多いかも。もともとはBSのドラマで、再放送枠で地上波放送された地域もありました。私のTwitterやブログを見てくださっている方はご存じの方もいるかも。なぜなら私が定期的に唐突な布教を始める作品だからです。

 

www.asunako-drama.com

 

上記で1位に選んだのが『記憶』でした。54本完走した2018年ドラマの中で第1位に輝いたのだから説得力あるでしょう……?!私を信じて!

 

 

上記の作品、全て見終わったよ~!という方は……

 

とりあえず『古畑任三郎』を見ましょう!第3シーズンまであります、最高!

 

というわけで、2020年4月現在のFODおすすめ作品でした。私がこんなにもドラマを見るようになったのが2017年以降の話なので、2017年より前の作品は現在進行中で勉強中です。こちらも随時更新しております。

 

twitter.com

 

Amazonプライムとなんらかの有料配信サイトには毎月加入しているので、他配信サイトのおすすめも書いていけたらいいなと。こんなにも鉄板作品が揃っているのに、肝心のあの作品がない!と思う方もいるかもしれません。それは私が見ていない可能性があるのと、FODで配信されていない作品も多いんですよね。STAY HOMEせざるを得ないご時世なので、配信作の幅も広がればいいなぁと思ってます。私も好きだよ、ランチの女王。春ドラマの感想はTwitterで随時更新しております。

 

一刻も早く日常が戻ること、そして、春ドラマが始まることを祈って。

 

お題「#おうち時間

なぜ私は“勇者ちゃん”を受け入れることが出来なかったのか【恋つづ】

そのとき私は、しばらく健が供給されない悲しみと、なにか縛られていたものから解き放たれたような清々しさを同時に感じていた。後者の気持ちの方が大きかったもしれない。というのも、私はまっすぐな気持ちで『恋つづ』を楽しむことが出来なかったからだ。物語云々よりもヒロインである“勇者ちゃん”のことを最後まで好きになれなかった。


「健のことが好きだから、勇者ちゃんを受け入れられなかったのか?」

 

いや違う。それは嫉妬、醜い嫉妬だ。たしかに佐藤健の公式LINEアカウントを友達登録して友達どころか健と私は既に付き合っているんじゃないかと一瞬錯覚を起こしたことはあるけれど。あるけれど、私は勇者ちゃんに嫉妬していたわけではない。ぜってえ違う。なにか理由が他にあるはずだ。胸に抱いたこのドス黒い気持ちの正体を探るべく、私は全く見返す予定のなかった『恋つづ』を第1話からを見てみることにした。

 

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ツッコミ待ち系ヒロイン・勇者

いつ頃から勇者のことを好きになれなかったのかと聞かれると、わりと早い段階で好きではなかった。むしろあまり良くなかった第一印象が最後まで尾を引いていたように思う。決定打となったのは第2話。患者なしを初めて経験した勇者が「辞めます、辞めます……」と泣いたシーンで、私は心のシャッターを閉じた。勇者と魔王が恋人になって、初めてのすれ違いを描いた第5話。勇者が「公私混同してるのは先生の方じゃないですか!」と詰め寄ったシーンで、私は本日閉店の札を下げたのだ。

 

 

勇者は仕事が出来ないことは勿論、仕事への向上心も大して感じられたなかった。と、パワハラ上司のような文言を書いていたのだが、改めて『恋つづ』を見返すと、勇者は勇者なりに仕事へ励んでいることが分かった。すまない。(なぜ勇者の仕事への意欲があまり感じられなかったのかは後述)しかし、仕事はやっぱり出来ていなかった。

改めて『恋つづ』を見ると、私は勇者が「ツッコミで成立するヒロイン」なことに苦手意識を感じていたようだ。勇者の代名詞と言えば「ドジっ子」。職場でもプライベートでも奇想天外な行動を起こし、誰かがツッコミを入れて、「てへへ~」な感じでオチがつく。私はその鉄板の流れが苦手だった。

このツッコミ待ち行動は、勇者が魔王の彼女に就任してから益々増えたように思う。出来立てのたこ焼きを一口で食べる、アンバランスなソフトクリームを最下層からペロッと舐め上げて鼻にクリームをつける(一生言う)、頼んでもいないのに病院を勝手に辞める、潰してくださいと言わんばかりの場所におにぎりを置く。たーまごかけご飯納豆ご飯まぜると元気の出るご飯ってその歌なんなんだよ。最終回ではダチョウ俱楽部も息をのむような速さで、出来立ての小籠包を一口で食べて、案の定ハフハフ言っていた(ちなみにこの下り2回する)

 

 

なぜ勇者はここまでぶっ飛んだ行動をとるのか。それは、勇者の奇想天外な行動によって、健の「ヴァーカ」が発動するからだ。「ヴァーカ」「このヴァカ!」「ヴァカか、お前は!」つまり勇者のぶっとび行動は、いつの間にか「ツンデレ天堂(健)」の発動条件になっていたのだ。このように考えてると、勇者は我々視聴者のためを思って行動していたのかもしれない。あの一連の行動が計算無しの“素”ならば、どう考えても正気の沙汰ではないからだ。しかし私は、勇者の行動がどうしても好意的に受け取れなかった。むしろあざとく感じてしまったために、最後まで苦手意識が拭いきれなかったのだと思う。

 

比較対象となったパーフェクトガール“酒井さん”

勇者へのネガティブな気持ちを日に日に膨らませていったのが、吉川愛演じる勇者の同僚・酒井さんの存在だ。

 

勇者「酒井さん、まさに即戦力だってみんなから褒められてた。羨ましい……」

酒井さん「私は佐倉さんが羨ましい」

勇者「え!?」

酒井さん「母が看護師だったの。でももうやってなくて、医療事故で訴えられて。悔しかったと思う。だからその分、私が優秀な看護師になって胸張らしてあげたいなって。だから簡単にやめるわけにはいかないの。佐倉さんみたいに、動機が一目ぼれとか羨ましい。シンプルで」

勇者「すごいねえ、酒井さんは。(中略)私にはとても出来ない……」

酒井さん「私は勉強したい、あなたは好かれたい。その違いじゃない?」

 

 実はこの酒井さん、原作では中盤から登場するキャラクターだ。見た目も可愛く、仕事が出来るのはドラマでも一緒。しかし原作では、天堂が好きで勇者をライバル視している“ぶりっ子腹黒ライバルキャラ”として登場する。この設定をそのままドラマに採用しなかったのは英断!しかし、ここで酒井さんを「真面目で仕事熱心なキャラ」に軌道修正したために、公私混同しがちなドジっ子ナース・勇者との間に皮肉にも差がついてしまった。酒井さん唯一の欠点と言えば、同期や患者に対してドライに接してしまうところ。でもぶっちゃけ職場で浮ついている勇者よりは良いと思う。

ドラマ版の酒井さんは、天堂ではなく来生先生に恋をしている。同期の仁志くんの恋愛パートよりも圧倒的に少なく、なかなか上手くいかない恋の行く末を視聴者は親のような目線で見守っていた。多くの人が「こんなに良い子が報われないなんて……なぜ……」と疑問に思ったことだろう。「こんなに良い子が報われないなんて……なぜ……勇者はこんなにもトントン拍子に……」と思ったのは私だけではないと願いたい。

 

 

さて、ここまで2500字。そろそろ皆さんもお気づきになっただろうか。私も気づいた。私が勇者を受けいれられない理由は嫉妬ではないと書き始めたが、私が勇者に抱いた気持ちは間違いなく「嫉妬」だ。勇者がどれだけ仕事が出来なかろうが、一言多い性格だろうが、行動があざとく見えようが、同期の優秀な子に比べてトントン拍子にすすもうが、すべて「嫉妬」という気持ちの上に成り立つものだった。

 

 

しかし、勇者が圧倒的「勝ち組」である事実は揺るがない。不特定多数と同じ内容ではなく健からのお言葉を直に貰える勇者……sugarではなく普通の電話で健と話せる勇者……。自称ではなく堂々と“佐藤健(天堂)の女”を名乗れる勇者は、この春一番の勝ち組だ。すくなくとも、こんなにも晴れた三連休初日に荒んだ文章を書いている私よりは。

 

ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。最後はこの歌で終わりましょう。この三か月好きだった天堂先生と佐藤健へ捧げます。

 

それでは聞いてください、Official髭男dismで『Pretender』

 


Official髭男dism - Pretender[Official Video]

 

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▼恋はつづくよどこまでも感想▼

 

 

やっぱり優柔不断な私が決める年間ドラマBEST10【2019】

こんにちは、明日菜子です。皆さん、ドラマ見てますか?今年もお疲れさまでした。

 

一年前の31日に年間記事を書いて「来年こそは余裕を持つぞ!」と心に決めたものの、気づけばまた31日でした。今年こそ間に合うかどうかわかりません。でも今年もやります。そして今回も私だけでは決められなかったので、今年もソートサイトを使ってロボットに決めてもらいました。

 

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ちなみに2018年版です。不朽の名作『アンナチュラル』を基準に決めましたが、年末一挙再放送を見て、もっと上でも良かったなと思ったり。この記事を見ると去年完走したドラマは54本、今年2019年は74本でした。大河と朝ドラを含めたら76本。たぶん去年の数え方が間違ってますね。今年は正真正銘、74本の中から選びます!

 

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第10位『腐女子、うっかりゲイに告る。』(NHK)

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原作:浅原ナオト『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』

出演:金子大地、藤野涼子etc

脚本:三浦直之

 

LGBT」を扱ったドラマもそろそろ飽和状態だろう……と思った春先に彗星の如く現れたフレッシュな作品。『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』をドラマ化したら、『腐女子、うっかりゲイに告る。』になると誰が想像したでしょう。タイトルからセンスの良さが溢れ出しています。

主人公の純(金子大地)は自分がゲイだと自覚しつつも、将来は結婚して子供がいる“普通の家庭”に憧れる男子高校生。ある日、クラスメイトの三浦さん(藤野涼子)がBL本を買っている姿を目撃してしまい、「このことは絶対他の人に言わないで!」と釘を刺されるものの、本性を知られた三浦さんと共に行動をするように……。

 

“ゲイ”と“腐女子”。一見交じりそうで交じわらない二人が抱える悩みは共通して「擬態」。周りの人から見られる自分と、本当の自分とのギャップに悩んでいました。二人が年齢を重ねていけば、もっと楽に考えられることもあるかもしれない。決して簡単ではないセンシティブなテーマを丁寧に、かつ軽やかに描いていたのが印象的でした。『明日の約束』で目を引いた金子大地のミステリックな危うさが全開で、そこに対する“普通の女子高生”三浦涼子が最高!「自分は何なのか」と問うアオハルな二人をバックに流れるQUEENが最高にエモイ作品です。

 

 

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第9位『みかづき』(NHK)

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原作:森絵都みかづき

出演:高橋一生永作博美

脚本:水橋文美江(『スカーレット』、『母になる』etc)

 

家庭教師をしながら女手一つで娘を育てていた千明(永作博美)は、私塾を開いて子供たちに勉強を教えていた小学校の用務員・大島吾郎(高橋一生)に才能を感じ、共に学習塾を経営する。昭和から平成に渡り、学習塾業界に身を投じた夫婦の姿を描きます。

私は今作を見た時すでに「秋から始まるスカーレットは大丈夫だ」と謎の確信を持っていました。それくらい良かった。わずか5回という短い回数ながら、作品の良さがギュッと凝縮されていて、見た後はなんとも心地よい余韻が……。グイグイ攻めつつも、ふとした時に弱さが見える千明がなんとも愛おしかった。『カルテット』の高橋一生が好きな人は『みかづき』の高橋一生もストライクど真ん中でしょう。タイトル「みかづき」の意味を、じっくり感じてほしいです。

 

 

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第8位『わたし、定時で帰ります。』(TBS)

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原作:朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』

出演:吉高由里子向井理etc

脚本:奥寺佐渡子(『夜行観覧車』、『Nのために』、『リバース』)

  清水友佳子(『リバース』、2020年朝ドラ『エール』)

 

「絶対定時帰宅」がモットーの東山結衣(吉高由里子)が働くWEB制作会社では、現代の日本が抱える労働問題が続出。パワハラ上司・福永(ユースケ・サンタマリア)を筆頭に、社員たちが抱える悩みを結衣が解決しつつも、誰一人として“モンスター”扱いしないのが新鮮でした。扱う問題はどれも重たくてウッとするようなリアルさを帯びているものの、ヒロイン・吉高由里子の持ち前のゆるさで緩和されていた。主人公が無敵状態ではなく学びがあるのも良くて、新時代のヒロイン像を見た気がします。あと何と言っても向井理が最高。向井理がいる職場ならば馬車馬の如く働いきたい(矛盾)。

 

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第7位『デザイナー渋井直人の休日』(テレビ東京)

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原作:渋谷直角『デザイナー渋井直人の休日』

出演:光石研岡山天音etc

脚本:ふじきみつ彦(『バイプレイヤーズ』)、松本佳奈

 

「まわりは僕をこだわりの人と呼ぶ。否定するつもりもなければ、肯定するつもりもない」

 

いつもこうして語り始めるのは、主人公・渋井直人。職業はデザイナー。仕事だけではなく料理やDJも嗜み、休日にはカフェやお洒落な書店に赴く。意識が高くてどことなくいけ好かないオジサンの話かと思えば、蓋を開けてみれば惚れっぽいおじさんが毎度毎度返り討ちに合う話でした。それのどこが面白いのかと聞かれれば未だによくわからないのだけど、松重豊が黙々とご飯を食べる姿と同じくらい、光石研が立て続けにフられていく姿も見ていたいと思ってしまう。『バイプレイヤーズ』でオジサンの魅力的な描き方を完璧にマスターしたふじきみつ彦が描くアイタタおじさん・光石研が最高です。テレ東のセンスも爆発していて、肩を落としながら夜道を歩く渋井直人の姿が、なぜか小洒落て見えてしまうのだから不思議。

 

 

放送当時、すごく面白くて沢山の人に見てほしいなぁと思い記事を書いたけれど「何が面白いのかはよくわからない」という着地点になっています。でも脚本のふじきさんが読んでくださって、とても嬉しかったです!

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第6位『グランメゾン東京』(TBS)

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出演:木村拓哉鈴木京香沢村一樹及川光博玉森裕太etc

脚本:黒岩勉(『モンテクリスト伯』、『メゾン・ド・ポリス』)

 

一度は全てを失ったフレンチ料理のシェフ・尾花夏樹(木村拓哉)が、味覚だけは抜群の料理人・早見倫子(鈴木京香)と共にビストロを開き、ミシュランの三ツ星を目指す。ドラマでは珍しく30日に最終回を迎え、今期一押しの作品ながら私も毎度固唾を飲んで見守りました……。

一言で例えるならば「レストラン版ONE PIECE」。離れた仲間を呼び戻して夢を目指す尾花はめちゃくちゃルフィ。これでもかと言わんばかりの王道激アツ展開は爽快そのもので、登場人物一人一人の造形も深く、全員がハマリ役でした。いつ何時も仕事熱心な木村拓哉の姿は最高にカッコよかった。私はクールベストで平古祥平役の玉森さんを助演男優賞に選びましたが、最後の最後まで京野役の沢村一樹さんと悩んだ。作品を彩る料理のカットも美しく、レストランドラマとしては100点満点。ただ、内容が詰まりすぎてて、最後は駆け足感が否めず。もう少し削っても良かったし、逆に深く掘り下げてほしいところもあったり。でもなぜか満ち足りた気持ちになりました。ありがとう、ありがとうグランメゾン……!

 

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第5位『だから私は推しました』(NHK)

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出演:桜井ユキ白石聖etc

脚本:森下佳子(『おんな城主 直虎』、『義母と娘のブルース』)

 

キラキラOLの愛(桜井ユキ)はふとしたことをキッカケに、地下アイドルの世界へどっぷりとハマっていく。発展途上のグループ「サニーサイドアップ」の中でも、愛が推そうと決めたのはグループの端っこで自信なさげに踊るハナ(白石聖)だった。人が誰かを推す理由は千差万別いろいろあれど、愛はグループに馴染めてなさそうなハナの姿に無理をしている自分自身を重ねてしまうのです。これは沼、この理由は間違いなく沼行き……。

NHKが誇るアイドルを作ろう」との意気込みでオーディションを実施して、選ばれた「サニーサイドアップ」のメンバーはガチ。期間限定なのは惜しいけれど、刹那的なものだからこそより輝かしかった。暗いトンネルを抜けた先にある光が差し込むような暖かいラストが印象的です。

 

 

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第4位『トクサツガガガ』(NHK)

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 原作:丹羽庭トクサツガガガ

出演:小芝風花倉科カナetc

脚本:田辺茂範(『表参道高校合唱部!』、『レンタルの恋』)

 

OLで特撮女子・中村叶(小芝風花)のヲタク生活と苦悩を描いた作品。特撮ヲタクをターゲットにしたニッチな内容かと思いきや、ヲタクの人もヲタクではない人も、全方向から楽しめます。実写化したのがNHKで良かったと原作未読の私が思うほどに、特撮へのこだわりが凄まじい!特撮パートは勿論、特撮ソングやグッズ、そして携わるスタッフまで特撮づくし。日曜のテレ朝で流しても違和感が無いクオリティの映像が、金曜の夜にNHKで流れていました。語彙力豊富なヲタクならではの名言も続出。「スーツは尻が命ですから」と断言する吉田さん(倉科カナ)の言葉が忘れられません。

 

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第3位『グッドワイフ』(TBS)

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原作:CBC Corporation制作『The Good Wife』

出演:常盤貴子唐沢寿明小泉孝太郎etc

脚本:篠﨑絵里子(『紙の月』、『まれ』)

 

夫・壮一郎(唐沢寿明)の逮捕をきっかけに、16年ぶりに弁護士として職場復帰をすることになった蓮見杏子(常盤貴子)。杏子がブランクありの弁護士として奮闘する様を描きながら、壮一郎の事件の真相に迫っていきます。人気海外ドラマの日本版リメイクときいて、誰もが「やめとけ……」と思っていただろうマイナスな前評判を一蹴!日曜劇場に相応しく、ドラマチックで、現代の日本の現状にも訴えかける爽快な作品になりました。

主人公の杏子を演じた常盤貴子も民放連続ドラマへの登板は久しぶりで、日曜劇場に関しては『ビューティフルライフ』以来19年ぶり。彼女の“ヒロイン力”(と私は呼んでいる)は健在で、杏子の台詞に何度も心を動かされました。他にも水原希子賀来千香子など、働く女性がとてもカッコいい!放送当時はあまり視聴率が芳しくなく、一人でも多くの人に見てほしくて、このご時世にアナログな相関図(手書き)付きの記事を書きました。これも一年クールでしてほしかった、セカンドシーズン待っています!

 

 

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第2位『きのう何食べた?』(テレビ東京)

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原作:よしながふみきのう何食べた?

出演:西島秀俊内野聖陽etc

脚本:安達奈緒子(『サギデカ』、『透明なゆりかご』)

 

弁護士のシロさん(西島秀俊)と美容師のケンジ(内野聖陽)、ゲイカップルの日常を描いた大人気漫画。原作そのものも素晴らしいですが、実写化されるべくして実写化された作品だと思います。このキャスト、このスタッフ、そしてテレ東で良かった……!

 

“ゲイカップルの日常”と聞くと一瞬マイノリティなイメージを抱く方もいるかもしれませんが、倹約家のシロさんが作るメニューは普段の食卓でも作れるものばかりだし、シロさんとケンジが抱えているものは家族や老後のことなど、誰にでもあてはまる問題です。嬉しい時も悲しい時も喧嘩をした時も、二人で一緒にご飯を食べる。「きのう何食べた?」というタイトルながら、「明日何食べようかな」と思わせてくれる明日への活力をくれる作品です。

 

現在も連載中の原作漫画・16巻から厳選したエピソードがどれも秀逸!ケンジを演じた内野聖陽さんが内野さん以外考えられない程のハマり役で、チャーミングで真っすぐなケンジの姿に後半はたくさん泣かされました。あまりの人気っぷりに、レシピ本や「何食べ展」なるリアルカフェ企画も実施、このお正月には宮沢りえさんをゲストにスペシャルで帰ってきます。アマゾンプライムなどでも見れるので、まだ見ていない方は原作と併せて是非見てください!

 

 

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第1位『G線上のあなたと私』(TBS)

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原作:いくえみ綾『G線上のあなたと私』

出演:波瑠、中川大志松下由樹etc

脚本:安達奈緒子

 

大人のバイオリン教室で出会った無職の也映子(波瑠)、大学生の理人(中川大志)、主婦の幸恵(松下由樹)。バイオリン三銃士が織りなす、恋あり友情あり涙ありの多重構造物語です。今作は“時間の無駄”という重い言葉が一つのキーワードで、也映子たちが通う「大人のバイオリン教室」はまさに“時間の無駄”の象徴。主人公・也映子と同世代のアラサーだけではなく、あらゆる世代の胸を打つ物語です。アラサーどんピシャの私は胸を打たれすぎて三度くらい死亡。『G線』を見るといろんな思いが溢れ出して、さまざまなところで書きました。

 

 

『G線上のあなたと私』感想まとめ

 

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というわけで2019年ベストドラマは『G線上のあなたと私』に決まりました!10作品どれも責任を持って推せる作品ばかりで、特にTOP5からは非の打ちどころがありません。ソートサイトで決めても優柔不断な私はグラグラしてて、わりと序盤からワケがわからなくなってしまったのですが、1位だけは心に決めていました。ちなみにTOP10に入れようか迷ったのは、『インハンド』(TBS)と『これは経費で落ちません!』(NHK)の2作。正直言うとあまり大差ありません。

しかしおもしろいくらいNHKとTBSに偏っている。2020年こそフジテレビ批評に出演しておススメドラマを語りたいのですが、なかなか雲行きが怪しいですね……!まず16作品くらいまで絞った中で、フジテレビ製作は『ルパンの娘』くらいだったでしょうか。今年も名作ぞろいで層が厚い一年になりました!

 

総合:『いだてん』(NHK)

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出演:中村勘三郎阿部サダヲetc

脚本:宮藤官九郎

 

3か月の連続ドラマと一年の大河ドラマを同じ土俵で比べるべきではないと常々思っているので、ランキングにはあげませんでしたが、『いだてん』抜きには語れない2019年になりました。大河ドラマは後から見返そうと思っても、そう簡単に見返せるものではありません。「いだてん見ればよかった……」と後悔をしてる方へ。もし再放送の機会があれば是非トライしてほしいし、『いだてん』に限らず面白いドラマはたっくさんあるので、今後ともチェックしていただきたいです。

 

 

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今年一番衝撃的だったことは「Twitterアカウントが凍結状態になったこと」といの一番にあげるくらい、Twitterづくし、ドラマづくしな2019年になりました。何か一つのことを続けてみようと、『なつぞら』の感想を全156話毎日更新して無事完走。あんな大変なことは二度としません。フォロワーさんと会ってご飯を食べに行ったりと、Twitter発信で新しい出会いもありました。これからも新しいことがたくさん待っているのかと思うと、3時間後に飛行機で飛び立つことなど忘れて無性にワクワクしてきますね。まだ準備は出来ていません。

 

2019年も本当にありがとうございました!来年も、いろんなところからドラマの良さを発信できたらと思います。2日ごろにはテレビの前にいる予定です。2020年が皆さんにとっても私にとっても素敵な一年になりますように、そして素敵なドラマに出会えますように!

 

キムタク世代が織りなすリブートの物語『グランメゾン東京』

俳優・木村拓哉が好きだ。画面を通して“非日常の世界”へ連れて行ってくれる、唯一無二の存在だからだ。私の隣にキムタクはいない。でも、私の世界にもいてくれたらいいのに、といつも思う。例えば、なにかの事件に巻き込まれた時に取り調べを受けるなら久利生公平にしてもらいたいし、空港で新海元とすれ違ってみたいし、初めて行った美容院で「今日担当します、沖島です」って愛想のない挨拶をされてみたい。私の世界にキムタクはいない。でもなぜだろう。彼の作品を見ているときだけは、あのキラキラとした世界に、私も足を踏み入れたような気分になる。

 

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日曜劇場『グランメゾン東京』|TBSテレビ

 

令和になって初のキムタク主演ドラマとなった『グランメゾン東京』。彼が今回演じる役どころは、フレンチのシェフだ。パリの三ツ星店で修業した後に開業した「エスコフィユ」というレストランで二ツ星を獲得し、シェフとして絶大な人気と地位を確立していた尾花夏樹(木村拓哉)。しかし2015年の日仏首脳会談の昼食会にて、仏首脳がアレルギーのナッツを何者かが混入した。店の従業員に対して差別的な発言をした仏官僚に対して暴力事件を起こした尾花は逮捕され、“日本人シェフの恥”として料理界から追放されることになる。3年近くパリで堕落した生活を送っていた尾花の目の前に現れたのが、同じ日本人シェフの早見倫子(鈴木京香)だ。料理の腕こそは普通だが、彼女は抜群に優れた舌を持っていた。ミシュランの星が取りたかったと話す倫子に、尾花は一緒に店を開こうと声をかける。「世界一のグランメゾンを作ろう」と。

 

ナッツ混入事件で各地に散らばった仲間を呼び戻し、ミシュランの三ツ星という名のひとつなぎの大秘宝を目指す展開は、さながら『ONE PIECE』のようだ。かつて「エスコフィユ」で尾花と共に働いていた最高のサービスを提供するギャルソン・京野(沢村一樹)、WEBレシピの貴公子・相沢(及川光博)も再集合し、ついに「グランメゾン東京」がオープンする。誰もがすぐさま仲間になるだろうと思っていた尾花大好き祥平(玉森裕太)が、未だに仲間になっていない(グランメゾン東京のメンバーではない)ところがミソだ。対立構造もわかりやすい。「グランメゾン東京」のライバルとなる二ツ星店「gaku」のオーナーシェフ・丹後(尾上菊之助)は、パリ修業時代からの尾花のライバルだ。「gaku」のオーナー・江藤(手塚とおる)も、視聴者の矛先を受け止めるために生まれてきたような胡散臭い関西人で、憎んでくれと言わんばかりにあらゆる罠を仕掛けてくる。

 

主役の木村拓哉からスポットで登場する冨永愛まで、あーこれこれと頷きたくなるキャスティングの良さ。しかし、オーナーシェフとして店を引っ張る倫子を演じるのが、なぜ鈴木京香なのだろうと暫く疑問に思っていた。演技力が足りないとか役に合わないとか、もちろん問題はそこではない。木村拓哉と店を開くパートナーが、なぜ“あえての鈴木京香なのか”ということだ。

 

(でも「ロンバケ以来のキムタク×山口智子の共演!!」という激アツカードは既に他作品で切られてしまっている……)

 

 

見ての通り、当時の私は鈴木京香にしっくりきていない。

早見倫子はそこそこの料理人だが、食べると食材と料理工程が一瞬でわかる“超ド級の能力者”だ。母の死をきっかけに倫子は自分の店を畳み、単身でパリへ渡る。三ツ星レストラン「ランブロワジー」で一から始めようと採用面接を受けるものの、開始早々に言われてしまう。「もうすぐ50歳ですか。やる気のある若い料理人はいくらでもいますよ」。ここでオーナーシェフが「料理に年齢は関係ない」と断言したので救われたが、一緒に並んでいる若い男性料理人たちにニヤニヤされるのを見て辛かった。一番の自信作を披露した倫子は実技テストに落ち、自分に足りないものは何だったのかと「ランブロワジー」に勤めていた尾花の料理を食べにいく。手長エビのエチュベ(蒸し煮)を口にしてなにかを悟った倫子は、涙を流しながら言葉を絞り出すのだ。

 

おいしい。すっごく…おいしい。なんで私には作れないんだろう…。

 

このシーンは、第1話のハイライトと言える名シーンだと思う。本当に良いシーンだけど、余計に胸が痛くなった。鈴木京香は美しい人だ。その彼女が年齢を理由に哂われたり、そう見たくはないのに、彼女の頑張りが空回りに見えてしまうことがイヤだった。尾花と「オジサン」「オバサン」と言い合うのもイヤだ。……こう、もうちょっと、シュッとする方法が、他にあったんじゃないか。どちらかというと、鈴木京香には超クールな女経営者みたい役で関わってほしかったのである。

しかし、抱いていた違和感は物語が進むにつれてなくなる。『グランメゾン東京』は、40~50代のミドル層が再び立ち上がる【Reboot=再起】の物語だった。今作は全世代が力を貰えるエネルギッシュな作品だが、制作陣が特に背中を押したいのが40~50代の“キムタク世代”なのではないだろうか。50歳でゼロから出発しようと立ち上がった早見倫子は、今作の最適なヒロインであり、尾花の最適なパートナーだ。マネージャー側として登場してほしかったなんて恐ろしいほどに見当違いだった。現役のプレイヤーであり続けたいと奮闘する50歳の倫子だから意味があるのだ。

 

私のようにキムタクドラマが好きな人もいれば、苦手な人もいるだろう。木村拓哉が存在する世界の中でもやっぱり木村拓哉は稀な存在のようで、多くの作品は彼を”別格”として扱ってきた。仕事に対しては熱心かつ超一流だが、普段は飄々としていて癖も強い。作品に登場する多くのパンピーたちは、たいてい木村拓哉にヤキモキしている。『グランメゾン東京』も他と同様に、そっち系のキムタクドラマだ。しかし、今までのキムタク作品とは明 ら か に違う点がある。『グランメゾン東京』では、あの木 村 拓 哉 が「頭を打つ」のだ。

例えば第2話。銀行先から融資を受けられない倫子たちは、知名度のあるシェフを勧誘しようと、人気WEB料理研究家として成功を収めた相沢(ミッチー)の料理教室を訪れる。そこで尾花は相沢に即席料理対決を挑むが、まさかの惨敗。尾花が作った超高級じゃがバター(みたいな料理)は、審査員の奥様方から「トリュフなんか使われても家にねーよ」と酷評されてしまうのだ。

 

 

「最高級の料理を作るためには最高級の食材を」がモットーの尾花に対し、「ここは日本。高級食材はもはや敬遠されてると考えた方が良い、時代は変わっているんだ」と現役時代は大きくリードを取っていた相沢から、逆に諭されること。しかしこの一件が、プライドの高い尾花の価値観を大きく変える転機となる。

 

 

キムタクっぽくないドラマを作ろうとしていた昨今に対し、『グランメゾン東京』は王道ど真ん中のキムタクドラマを貫こうとしている。しかしその中で、新たな「木村拓哉」像を打ち出そうとしていることも確かだ。再起を図る尾花夏樹の姿に、今の木村拓哉を勝手に重ねてしまうのは私だけではないと思う。まだ折り返しの第5話だが、私の中では早くも「令和のキムタク代表作」になる予感がしている。大人も子供も、おねーさんも、キムタク好きにも、キムタクアレルギーにも見てほしい。そしてやっぱり今作でも思ってしまうんだ、「グランメゾン東京」がこの町のどこかにあればいいのにって。

 

 

tver.jp

 

明日まで無料配信の第5話、ラストが激アツなのでとりあえず見てください。

 

【2019秋ドラマ】初回感想③俺の話は長い・ニッポンノワール・G線上のあなたと私etc

「ドラマは最初から見たほうが絶対おもしろい!!」を信条にしている私が、各ドラマの初回感想を足早に話します第2弾~!あくまでも初回感想なので、途中から急激に面白くなったら各所でゴリ押ししますね。★3で普通です。

 

放送終了後一週間までは、TVer(https://tver.jp/)などの各配信サイトで無料配信を行っているので、気になる作品はぜひチェックを!しかし今回は既に間に合っていない〜〜くぅぅうううう〜!!!

 

 『俺の話は長い』

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岸辺満(生田斗真)は、喫茶店を営む母、房枝(原田美枝子)に寄生しながら暮らすニート。ある晩、姉の秋葉綾子(小池栄子)が夫の光司(安田顕)とすき焼き用の牛肉を携えて岸辺家にやってくる。今回の訪問の目的は、マイホームの建て替え完成までの3か月間、娘の春海(清原果耶)も加えた家族3人がここで同居する許可を取り付けるためのものだった。

(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★★.5(3.5)

 

『俺の話は長い』は、30分2本立ての珍しい構成だ。私が今のようにドラマを見始めた2017年頃まで遡ってみても、同じような構成で作られたドラマは…ない。

コーヒー屋として起業するも失敗し、ニートとして暮らしている満(生田斗真)と満の家族を描く。満は、一を言ったら十は返ってくるほどの屁理屈屋で、タイトルの『俺の話は長い』はもちろん満のことを表している。日常の何気ない会話から構築されるホームドラマは、このご時世に新鮮ではあるけれど、どこかでみたこともあるような。頭の片隅にある記憶を引き出すために、私は目を閉じた…。

 

 

ちなみに、TLは概ね高評価だった。30分×2本の異色構成は、疲れ切った土曜の夜にちょうど良いし、出演している役者は誰をとっても素晴らしい。生田斗真×清原果耶の絡みマジ尊い。「ながら見できる“ゆるっとしたドラマ”」を見たい人にはおススメしたい作品だ。

一方で私には、これだけのキャスト(生田斗真小池栄子原田美枝子安田顕、清原果耶etc) と脚本家・金子茂樹が組むのなら普通に1時間枠で見たかった……という少し残念な気持ちの方が残った。会話劇として成立してるのかも謎だった。しかし、びっくり。第2回(3話・4話)が思っていたより良かったので、早々に手のひらを返そうか、まだ待つか。今真剣に悩んでいるところだ。

 

ちなみに2話め↓

 

『ニッポンノワール

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生い茂る木々。風が吹きすさぶ森。その中にある一軒の山小屋。うっすらと瞼を開けた男、遊佐清春(賀来賢人)。彼の目に最初に飛び込んできたのは一人の女性刑事:碓氷薫(広末涼子)の亡骸――。そして、自分の右手には拳銃が握られていた。確実に自分が彼女を殺したこの状況。しかし、清春はなぜかここ数ヶ月の記憶が綺麗に吹き飛んだようになくなっていた。(公式HPより引用)

 

初回満足度:★☆☆☆☆ 

 

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↓2話

 

『ブラック校則』

 

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2019年11月1日(金)公開の同名映画のオリジナルストーリーを、Huluと同作で展開する。とある高校で、クラスの空気のような存在の創楽(佐藤)と、お調子者の中弥(高橋)。そんな正反対の2人が、規律を重んじる高校の“ブラック校則”をつぶすために立ち向かう姿を描く。(ザテレビジョンより引用)

 

初回満足度:★★.5(2.5)

 

ジャニーズに詳しくない方はご存じないかもしれないが、あのキラキラアイドルたちも、えっ…と驚くような深夜ドラマに出ている。日テレの「シンドラ」。自他ともに認めるジャニーズ専用枠で、その内容のカオスっぷりには「ジャニーズもこんなドラマ出るんだ…」と衝撃を受けるかもしれません。 というわけで回りくどい言い方をしたけど、シンドラは大抵ひどい。シュールをというものをはき違え、特にヤマもない話が10話も続きます!つら!

 

今回の『ブラック校則』も同じような感じかと思えば、あ、あれ?ちょっとおもしれーじゃん…。

舞台は、とある高校。朝から教師たちが校門の前に立ち、髪型やスカートの丈をああだこうだと厳しくチェックしている。茶髪の希央(モトーラ世理奈)も勿論注意される。黒髪に染めるか、地毛証明書を提出しろと。数日後、希央は似つかわしくない真っ黒な髪で、教室に現れる。「学校の体裁を守るためだけの“生徒いじめ”では?」今の校則に疑問を持った真面目で気の弱い創楽(佐藤勝利)と、おチャラけキャラの中弥(高橋海人)が、ブラック校則を変えるために立ち上がる。

あ、あれ?ちょっとおもしれーじゃん…。しかも、いきなりレジスタンス運動を始めるのではなく、徐々に、ほんと徐々に、ささやかな抵抗を始めていくところにイマドキっぽさとリアリティを感じた。ただ、映画と連動している作品なので、ドラマだけでは完結しないのではないかと懸念だけしている。

 

 

『G線上のあなたと私』

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「ごめん、今になって」「すきな子がいる」と、小暮也映子(波瑠)は寿退社間近に婚約者から婚約破棄を告げられる。放心状態でフラフラと立ち寄ったショッピングモールで「G線上のアリア」の生演奏を耳にしたのをきっかけに、大人のバイオリン教室に通い始める。教室で同じクラスになったのはイマドキの大学生・加瀬理人(中川大志)と主婦の北河幸恵(松下由樹)。人間関係もバイオリンも一筋縄ではいかない3人を取り巻く人間模様と、それぞれの想いが交錯していく…。(公式より引用)

 

初回満足度:★★★★✰

 

ドラマを見たあとに原作を読んで驚いた。ここと、あそこと、ここが合わさって、あの第一話が生まれるの…?そもそもあのシーン、原作になくない?

 

原作は、主人公・也映子の婚約破棄のシーンから始まる。ごめんなさい、なかったことにしてくださいと頭を下げる婚約者に(できるかボケがぁーーーー!!)と呆然する也映子。次のページを捲ると、ぎこちなくバイオリンを弾く也映子たち3人の姿が既に描かれている。

一方ドラマの始まりは、ショッピングモールのイベントスペースだ。後に講師となる眞於のバイオリンの音色に、それぞれ聞き入る也映子たち。也映子は婚約破棄のことを思い出し、幸恵は姑に急かされて席を立ち、理人は切なげな表情で眞於を見つめる。たったわずかなシーンでも、3人を取り巻く事情がすんなりと入ってくるのだ。

 

いくえみ作品は言わずもがな名作揃いだが、原作通りにドラマを始めていたら、もう少し唐突な印象を受けていたと思う。原作を読んだら、より感じる。今作は原作の再構築がめちゃくちゃ上手いのだ。誰だ、こんな脚本を書いた方は!誰か!誰か脚本家を呼んでくれ!と、まるでシェフを呼んでくれ的なテンションでクレジットを覗いた。

 

脚本・安達奈緒子(『透明なゆりかご』、『きのう何食べた?』etc)。

 

ああ、納得……。幸恵の年齢を41→46に上げて、松下由樹をキャスティングしたのもすごく良い。全4巻の漫画で連ドラ実写化なんて無謀だとは思っていたけど、このスタッフならば、たぶん、いや絶対何とかなる気がしてる。欲を言えば『あなたのことはそれほど』を引きずってほしくなかったなーと、思ったり。

 

 

『死役所』

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目を覚ました三樹ミチル(黒島結菜)は、見知らぬ場所にいた。ここはどこなのか?戸惑うミチルに声をかけたのは、総合案内係として働くシ村(松岡昌宏)だった。シ村の言葉で殺されたことを思い出したミチルは、他殺課でイシ間(でんでん)に「どうすればあの女に復讐できるのか」と訴える…。その頃、シ村はベンチに座る中学3年生の鹿野太一(織山尚大)に声をかけていた。シ村は、曲がった脚を見て、自殺課へ連れていく。成仏するには、成仏許可申請書に具体的な自殺理由を書かねばならない。ためらいながらも書き始める太一だったが、自殺の要因となった陰湿ないじめ、無関心な両親など嫌な過去が蘇り錯乱してしまう。(公式より引用)

 

初回満足度:★★★★★

 

Twitterでも書いたけど、「いつかドラマ化したい漫画ランキング」があるならば、必ず『死役所』はランクインすると思う。原作自体がおもしろいし、間違いなく“実写映え”する作品だからだ。特に日テレやテレ朝あたりが狙ってそう。

 

でも結果、テレ東で大正解の初回だった!夜が深くなっての30分という時間帯もかなり効いて、よりおどろおどろしくなっている。松岡昌宏のシ村も世界観を壊していないし、むしろ、かなり不気味だ。ニシ川役の松本まりかも、あのアニメ声が非日常的な台詞によく合っている。シ村やニシ川、死役所の役員たちの過去って…?と今後の視聴欲を搔き立てるラストもすごく良かった。CGには笑ったけど。

 

ドラマをあまり見ない人にあえてドラマを勧めるならば、今期は間違いなく『死役所』を選ぶ。しかしビビリな私は絶対リアタイできない!

 

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というわけで、だいぶ遅くなりましたが第3弾。今期こそは「.5」を生まないぞー!と思っていたが、優柔不断な私は生んでしまった。それでは皆様、素敵なドラマライフを~!まだまだ続きます!

 

 

【2019秋ドラマ】初回感想②同期のサクラ・4分間のマリーゴールド・時効警察はじめましたetc

「ドラマは最初から見たほうが絶対おもしろい!!」を信条にしている私が、各ドラマの初回感想を足早に話します第2弾~!あくまでも初回感想なので、途中から急激に面白くなったら各所でゴリ押ししますね。今期はいつもより時間に追われています!

 

放送終了後一週間までは、TVer(https://tver.jp/)などの各配信サイトで無料配信を行っているので、気になる作品はぜひチェックを!といっても『同期のサクラ』は本日放送ですね、あちゃー!

 

『同期のサクラ』

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病院のベッドに横たわり、意識の戻らないまま人工呼吸器につながれた女性・北野桜(高畑充希)。知らせを受け彼女の元に駆けつけたのは、携帯にたった4人だけ連絡先が登録されていた会社の同期、百合(橋本愛)、葵(新田真剣佑)、菊夫(竜星涼)、蓮太郎(岡山天音)だった。その10年前の2009年、春―。大手ゼネコン・花村建設の新入社員となったサクラは入社式に急いでいた。(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★☆✰✰

 

脚本家・遊川和彦が手掛ける令和初のテレビドラマが、高畑充希×『過保護のカホコ』チームが再集結した『同期のサクラ』だ。タイトルが「○○の○○(名前)」となっているのも、一風変わった主人公が周りの人たちに影響を与えていく流れも、遊川作品のドドドドドドドドド定番と言える。……私はど~~~~~も『○○妻』以降の遊川作品が苦手で、見るたびに難癖をつけてしまう。(でも『初めまして、愛しています』は良い)今回もフラットな視点を心がけて、一応心がけて、書いていきます!

 

まず、内容自体に新鮮さや真新しさは無かった。主人公のサクラは、超がつくほどマイペースで、おかしいことにはおかしいと声を上げる“忖度”しない性格だ。新入社員のサクラが始めに取り組んだことは、配属先を左右するグループワーク。グループワークでも一切妥協しないサクラに対し、グループのメンバーたちは疲れと不満が募っていき、まさかの発表前日に仲違い!当日になってサクラが不在のまま発表を進めるも、上司に盲点を突かれたメンバーたちが慌てふためいたところに、遅れてサクラが登場する。手にはバージョンアップした橋の模型。最後まで妥協できなかったサクラは、一人で徹夜をし、指摘をカバーする完璧な模型を作り上げてきたのだ。しかしなぜか社長賞に選ばれたのは、めちゃくちゃ手抜きな他グループの作品。誰もがおかしいだろ……と思っていたら、そこへ「なぜあれを選んだのですか?他の作品の方が社長賞に相応しいです」と物申すサクラ。いやいや君ぃ、自分たちのグループが選ばれなかったからって文句を言うのは……と上司の椎名桔平がニヤつくと、サクラ「いえ、私たちではなく○○班(他グループ)こそ社長賞に相応しいと思います」とあ~~~~~~ここまで全部想像つく~~~~~~~!!私は遊川和彦なのか?私が遊川和彦なのか!??(違う)

  

内容はオーソドックスかつベーシックだが、制作陣が注目してほしいのは話の構成の方かもしれない。今作では1話=1年と見立て、サクラと同期たちの10年間を振り返っていくそうだ。なぜ“振り返る”形になっているのかというと、現在のサクラが意識不明の状態で人工呼吸器を繋がれているからだ。うーん、こういうのもねえ…すごく遊川さんらしいんですよねぇ…。『純と愛』のように、ヒロインが最後まで目覚めない展開だけは勘弁してほしい。

 

しかし、なんといっても『同期のサクラ』はキャストが豪華!高畑充希を始め、橋本愛、新真剣佑、竜星涼、えっ岡山天音まで……!?20代の手慣れ勢を、これでもかと言わんばかりに集めている。第一話では「あんたのこと、仲間なんて思っていないから」と吠えた橋本愛がすんばらしかった!というわけで、こんなに言いつつも私は『同期のサクラ』を諦めきれない。頼む、頼むよ遊川さ~~~~~~ん!!!!!!

 

 

『ミリオンジョー』

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千道社 『週刊少年グローリー』編集部・呉井聡市(北山宏光)は、累計発行部数3億冊突破の国民的大ヒット漫画『ミリオンジョー』を担当するマンガ編集者。そして、グローリーで10年以上連載を続け、人気NO.1を走り続けるモンスター級のマンガ『ミリオンジョー』を生み出すのは漫画家の真加田恒夫。極度の人間嫌いで、対面できるのは呉井とチーフアシスタントの寺師のみという変人だ。呉井はたまたま真加田の担当になっただけのやる気も愛情もない編集担当だったが…。締め切り間際のある日、呉井の元に一本の電話が…。(公式HPより引用)

 

初回満足度:★★★☆☆

 

えっ、ドラマParavi枠なのに「もう一つのエピソードはParaviで配信!」とかしないんですか!?それだけで好印象。元漫画家志望の編集者が、担当中の人気漫画を作者不在の中でどうやって支えていくかという話。なぜ作者不在なのか……は、メインビジュアルを見たら御察しですね。続きは気になる。

 

 

『4分間のマリーゴールド

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救急救命士として働く花巻みこと(福士蒼汰)には、手を合わせた人の「死の運命」が視えてしまう特殊な能力があった。最期の様子をビジョンで視てしまった患者に対し、みことはあらゆる手を尽くすのだが、一度視た運命はいつも必ず現実になってしまう。助けたいのに助けられないジレンマを抱えながら、それでも日々救急救命に全力を尽くしていた。(公式HPより抜粋)

 

初回満足度:★★☆✰✰

 

 

主人公(福士蒼汰)はなぜか、手を合わせた人の最期が見えてしまう特殊な能力を持つ。しかしなぜ救急救命士といういばらの道へ……!?と頭を抱えていたら、彼が正式に能力を自覚したのは就職後のことらしい。私なら辞めてしまいそう!

全体的に少し歯に浮く感じがしてて、それが原因なのかは不明だが、2000年代前半くらいのノスタルジックな雰囲気を感じる。いいか悪いかではなく、血の繋がりがない“義姉”の描写もすっごく青年誌っぽい。この手の主人公に福士蒼汰はドドドドドドドドド鉄板だけど、悪女を脱却した菜々緒はどうなのか。希望を言うと、菜々緒様にはまだまだ意地の悪い女を演じていてほしい。

 

 

時効警察はじめました』

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 時効になった事件を“趣味”で捜査する男・霧山修一朗(オダギリジョー)はある日、総武警察署の食堂で働く女性から、冷蔵庫に入れっぱなしになっていた遺留品の箱を預かる。それは箱に書かれた「要玲蔵(かなめたまぞう)」という文字を誰かが「要冷蔵」と読み間違え、時効を迎えてから10年にもわたって冷蔵庫に保管していたものだった――。(公式より引用)

 

初回満足度:★★★★✰

 

結婚できない男』と同時期に『時効警察』シリーズを履修した。チープとディープのの狭間を行く、他では作れない唯一無二の作品だと思う。「要玲造(かなめたまぞう)」を「要冷蔵」と間違えるって、どんなセンスをお持ちなのですか…!今回が初見になる方々も、わりと付いていける内容だとは思う。楽しむコツは「考えるな、感じろ」。

変わらないキャストと変わらないテンションの中で、今作から新規投入されたのが、新米刑事の彩雲(吉岡里帆)と鑑識の又来(磯村勇斗)。欲を言うならば、彩雲は又来と同じくらいの比率で事件に関与してほしい……。吉岡里帆の無垢なあざとさが炸裂しちゃってるのよ…新ヒロインポジション来ちゃう?来ちゃう?今回のメインビジュアルが3人横並びなのもすごく気になる。三日月の対抗馬にはならないでほしいなぁと。でも相変わらず、良い感じに岩松了わけわかめなので最高です!

 

 

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というわけで、初回感想第2弾でした!2話以降はTwitterで実況をしています。ぜひ第3弾もお付き合いください~!